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谷川俊太郎日記 11/23

2024/11/23

谷川俊太郎が亡くなった。数日前の朝、起きがけに母に「谷川俊太郎亡くなったって」と言われた。信じられなかった。「谷川俊太郎って、あの谷川俊太郎?」と聞き返した。「そう、谷川さん」知り合いみたいに母は答えた。

谷川俊太郎を一度だけ目にしたことがある。谷川俊太郎の朗読会を見に行ったときだ。私が小学一年生の時だから、13年も前のことだけど。題材は『めの まど あけろ』で、兄が朗読のメンバーだった。本当は私も朗読に参加したかったのだけど、「まだ小さいから」と言われて諦めるしかなかった。

正直、詩の内容は覚えていない。私がその時のことで覚えているのは、本を買ったことだ。私が初めて自分から「欲しい」と言って買ってもらった本が、谷川俊太郎の『ぼくは ぼく』と『あな』だ。この本は『星の王子さま』(サン=テグジュペリ)と共に、本棚で一番の古株だ。

その朗読会で見た谷川俊太郎は「おじいちゃん」という感じだった。そりゃあそうだ。あの時でも谷川俊太郎は79歳だったんだから。でも、おじいちゃんなのに凄く元気そうだった。あのときのイメージがあるから谷川俊太郎はずっと生きるものだと思っていた。死神、というか不老不死というか。老いていたから不老ではないんだけども、死ぬなんて思わなかった。

優しそうな見た目をしているけれど、私は谷川俊太郎が鉄で出来ていると思っていた。どんな攻撃を受けても死なない強固な人間だと思っていた。そんなわけないのにね。あの谷川俊太郎が亡くなるんだから、みーんな死ぬんだわ。それがなんか、納得できてしまう。それくらい、信じられなくて、やはり悲しい。亡くなったことを知ってから、ふとしたときに悲しみに襲われそうになる。

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