地下アイドルになった話③
2回目のスタジオ練習の日がやって来た。
1回目のスタジオ練習は、私は用事で行けなかったので、私がいない間にYちゃんとMちゃんが仲良くなって、2:2:1になるのはごめんだった。
私が1番先にスタジオに着いて、皆を待っていたら、Yちゃんがやって来た。その次に2人組の1人、Aちゃんがやって来た。私がAちゃんに向かって手を振ると、Aちゃん反応無し。Yちゃんには話しかけていたが、私は何も話しかけられなかった。Aちゃんは私に対してだけ対応が冷たい気がする。私が1番年上だからか?とはいっても、Aちゃんとは1歳しか変わらないが。
皆揃ったので、歌とダンスの練習を始める。
Yちゃんが腕まくりをした時に、何となく目線を腕の方に向けたら、腕の全体に切り傷があった。私も腕を切っていたので、ビックリはしなかったが、Yちゃんと私が似てるのが嫌だ、と思った。何故なら、可愛い子とブス、どちらも辛い思いをしていて、心配されるのは圧倒的に可愛い子の方だからだ。そういう訳で、私は可愛い子が大っ嫌いだ。しかも、私は整形しても自分の満足のいく、可愛い顔を手に入れることが出来なかった。
練習が終わって、スタジオから出ると、「わー」っていう感じで、YちゃんとMちゃんがぎゅーしていた。1回のスタジオ練習で、私を置いてもうそこまで仲良くなったのかと思うと、悲しくなった。
皆でアー写を撮ることになったのだが、私は自分の顔が嫌いで、自撮りならまだいいのだが、他撮りだとブスがバレるので、最悪の時間だった。
1人ずつ写真を撮る時、名前を呼ばれるまで、YちゃんとMちゃん2人で話していたので、私は1人ぼっちだった。なんでいつも私は1人取り残されるんだろう。楽しそうに話してる声が鬱陶しかった。
私が「つまんないなー」と思いながら、石で遊んでいると、Yちゃんがこっちに来て「何してるの?」と話しかけてきてくれた。可哀想に思ったのだろうか。バイトの話になって、Yちゃんが「店長にストーカーされて怖かった」って言う話を聞いた時は、羨ましいと思った。ストーカーされるほど可愛いっていうことが。
Yちゃんの番になって、2人組に「可愛い」と言われながら、写真を撮られていた。どうせ私はYちゃんのように褒められないんだろうなと思うと、帰りたくなった。
最後、私の番になった。2人組の1人、Nちゃんが「肩の力抜いて」って言ってきたのだが、私は全く力を入れていない。元々、私は肩幅が広くて、いかり肩に近いので、そう言われてるんだろうな、と思った。コンプレックスの1つ。Nちゃんは悪くない。私がこんな肩を持っているのが悪い。
皆の写真を撮り終わったので、解散。
家に帰ると、今日撮った写真が送られてきた。皆、可愛い。私、圧倒的ブス。普段あまりしない化粧もしたのに、ブスなのは隠せてなかった。
ツイッターに写真を載せられ、公開処刑。
Yちゃんが自撮りを載せて、フォロワーを増やしていたので、私も同じようにフォロワーを増やそうと、自撮りを載せるが、RT数もいいね数も、Yちゃんには負ける。
承認欲求を満たす為に地下アイドル始めたのに、全然満たされねえじゃん。どんどん周りと自分を比較して、満たされるどころか減っていく。
ずっとこんな思いが続くのなら、もうアイドルなんて辞めてしまいたい、と思った。惨めだね。