フジロック初参戦あとがき(後編)
来たる2023年7月29日、FUJI ROCK FESTIVALに行ってきましたという話の後編です。
前編はこちら↓
前編は、到着後ひととおりフジロックの会場の位置関係を覚えるのがやっと。
さあ音楽を本格的に楽しもう。と思った矢先、空を見上げると一面完璧な曇り空。さあどうなるのでしょう。
フジロックを満喫③ どっぷりと音楽に浸る
TESTSET(16:10~ WHITE STAGE)に到着。少しギリギリになってしまい、たくさんの人!と思いかけましたがこれはフェスマジック。人をかき分けて進んでいくと、意外と場所は空いているものです。これは数々のフェスでの経験が活きました。みんなそんな入口にたまってないで、ステージの近くまでいこうよ。
TESTSET、観るのはこの日が初めてでしたがほぼ前身といえるMETAFIVEはよく聴いていました。そのMETAFIVEからLEO今井、砂原良徳に加え白根賢一(GREAT3)、永井聖一(相対性理論)の4人から成るTESTSET。このフジロックの数週間前に1st Album『1STST』をリリースしたばかりでした。胸をうつサウンドにLEO今井氏の鋭いボーカルが突き刺さる。ある種都会的な音楽ですがこれを大自然の中で聴くというコントラストがたまりません。
ただ、TESTSETも半ばで去らなければなりませんでした。またどこかで聴けることを信じつつ・・・
というのも、17時からのステージは非常に魅力的。また少しエントランスまで戻ってALANIS MORISSETTEか奥まで進みGOGO PENGUINか。悩むだろうと最初から思っていましたが、本当に直前まで悩みました。
結局決め手は「GOGO PENGUINは来日公演決まってるからそれに行こう!」となり、GREEN STAGEへ歩みを進めます。調べてたらO-EASTじゃないですか。渋谷一帯のライブハウスは割とお気に入りです。ワクワクだ。ちなみに友人はGOGO PENGUINのステージに行っており、人がたくさんいて大盛況だったよというレポートがありました。
というわけでGREEN STAGEに到着。遅くなってしまいましたがGREEN STAGEでゆっくりとライブを観るのはなんだかんだこの時が初。後方のイスエリアに腰を下ろす。結構ぐったりしている人を見かけましたが、自分はぴんぴんしていました。これがアドレナリンというやつか?まあこの日だけの参戦だったから、というのもあったかもしれません。
腰を下ろした場所の近くは外国人女性グループがいました。アラニス観たくて来てるのかな。いや、フジロックのファンなのかな。しかし他のフェスと比べてもフジロックは本当に外国人の方が多い。この女性グループの皆さんも、始まるまでは静かでしたがアラニスのステージが始まると大歓声大合唱!色んな人が純粋に音楽を楽しむ姿が見られるのは、当事者でもなんでもないのに嬉しくなります。
さてALANIS MORISSETTEのステージ。正直有名どころしか知らずに臨みましたが非常に楽しめました。さすがに女性ロックシンガーの先駆けなだけある。重厚なバンドサウンドも艶のある歌声もばっちりこのGREEN STAGEに響き渡っていました。個人的な有名どころ『You oughta know』『Hand In My Pocket』などが聴けて嬉しかったです。
なんだろうかこのロックなのはもちろん、ポップスでもありカントリーでもありグランジでもある。ライブは初めてだったはずがどこか昔に感じたことのある気持ち。こういう景色・感情を求めてこの場所に来たのだな、と改めてフジロックの素晴らしさをひしひしと感じました。さっきまで観るかどうか迷っていて、全く知らないわけではなくて、でも渇望していたステージではないかもで。偶然的な音楽の出会いにより向き合えるフジロック。最高だ。
ALANIS MORISSETTEの最高なステージを見終え大満足。さて時刻は18時。ここからが本日の大一番を迎えていく時間帯となっていきます。
フジロックを満喫④ いざヘッドライナー
夕刻以降の動きは決まっていました。19:00からFIELDS OF HEAVENでUA。それが20:10頃に終わり21:10からGREEN STAGEでお待ちかねFOO FIGHTERS。それが22:40頃に終わり、後ろ髪を盛大に引かれながら帰宅できるのだろうか。といった感じです。
UA→FOO FIGHTERS の間が1時間あり、当初はこれが空きすぎていないか、間延びしてしんどくなったりしないだろうか、と少し不安に思っていましたが結果的にジャストタイムになりました。本当にフジロックはタイムスケジュールを思っている何倍も長く見ておいたほうがいいんだなと。
さて、19:00からのUAのステージは、今回のフジロックで一番楽しみにしていたこともあり、感想もとんでもないものとなりましたので、こちらは後日別記事にて紹介させてください。笑
いや~本当にすごかったんです。さすがは20年来フジロックで歌っているだけあるな・・・
というわけでUAステージ後から書いてまいりますが、1時間後のFOO FIGHTERSのステージはGREEN STAGEで、FIELDS OF HEAVENからだと昼にも歩いた通り、会場を端から端まで横断することになります。昼間に歩いた時は確か30分ほどかかったような。夜だから少し早足になるかな?などと思っていましたがここで想定外の事態が。
ちょうどそのタイミングでWHITE STAGEで行われたVaundyのステージが入場規制で、WHITE STAGEを通り抜けてGREEN STAGEへ、という昼間に通ってきたルートが通れなくなってしまいました!なんとなんと・・・入場規制の類は想像していましたが、通行ルートも大きく変わってしまうのか・・・
こうして昼間とは異なりボードウォークを通ってGREEN STAGE 方面へ抜けていくことになりました。このボードウォーク、山道の中を通っており急がば回れのごとく若干の遠回りで狭い通路ではありますが、ステージへ直行するには幾分便利な通路、ではありますがこの時はGREEN STAGEへ向かう人が押し寄せ大混雑。歩行も徐行運転となり想定以上に移動時間がかかってしまいます。これにより、1時間のインターバルというのは結果的にちょうどよい具合になったのでした。
なんとかボードウォークを抜けGREEN STAGE付近へ。FOO FIGHTERSは友人も同じく観る予定にしていましたが、昼過ぎから別行動になる関係や電波が繋がりにくい状況から、終わったらここで合流しよう!ということだけ約束をし、特にこの時点で合流をする予定にはしていませんでした。が、友人が自分宛てにダメ元で送ってくれたLINEをたまたまキャッチ。なんとか合流ができ、FOO FIGHTERSのステージを一緒に観ることができました。
なんとか合流できたら嬉しいな、とは思っていました。というのも前編で触れた、昼過ぎにガラガラだった物販で実はFOO FIGHTERSのタオルを買っており、このタイミングで友人に渡せたら嬉しいな、と思っていました。朝には混雑で物販に並ぶことを半ばあきらめていた友人の姿を見ていましたし、仮に友人が必要としなかったら自分がもらおう、と思い実はこっそり購入。
結果的にステージ前に渡すことができ、テンションMAXでライブに突入することができました。友人に対しフェス先輩風を吹かせる自分。こういう時に買っておかないと一生後悔するぞ、ネットで売ってるから・・・とは意味が違うんだぞ、と。
さて21時を回りいよいよ本番。SEが特に流れないヘッドライナー待機の時間の独特の雰囲気、パンパンのスタンディングエリアを眺めながら空を見渡すと星空に大きな月。本当にここまでも雨は全く降りませんでした。奇跡のような1日、、、と感傷に浸っているとなんと5分前倒しでFOO FIGHTERSのステージがスタート!
ALL My Life ~ the Pretender と、キラーチューンを惜しげもなく立て続けに演奏。1曲1曲のスケールを広げながら、オーディエンスを煽りコール&レスポンスを響かせながら、後方まで大合唱の渦に包まれるGREEN STAGE。大自然の中でこんな光景が見られるなんて、と数曲終わっても夢か現か分からないほどでした。
中盤になるとなんとサプライズゲスト登場とのこと!なんと、先ほどステージを観たALANIS MORISSETTEがステージに出てきたのです!
後で知ったことなのですが、FOO FIGHTERSの元ドラマーで2022年3月に急逝したテイラーホーキンスはアラニスのバックバンドを務めていたそう。これほどにゆかりのあるミュージシャンが日本のフェスの同じ日に出ているだけでなく、こうして同じステージに立ってくれること、とても素晴らしいことだなと思いました。
披露したのはこちらも先日亡くなったシンガー、シニードオコナーの『Mandinka』。この時初めて聴きましたが、アラニスの歌にすごく合うなと思いました。最初はアラニスの曲かな?と思ってしまうほどでした。またとないコラボレーションを観ることができたこと、そして先立ってしまった偉大なミュージシャン達への追悼の気持ちを感じることができたこと、1曲だけでしたが特別な時間でした。
さらにこのあとも「もう一人のメンバーを紹介しよう!」という(ような口調だったと思う)紹介で出てきたのは、なんとなんとWEEZERのドラマー、パトリックウィルソン!WEEZERはこの日の翌日、フジロック3日目にラインナップされていましたが、前日入りで登場するとは思いもよりませんでした。
FOO FIGHTERSとWEEZER、自分が音楽を知るはるか昔からフジロックにともに名を連ね、以後同じ時代を駆け抜けた、デイヴグロールの言葉を借りるのであれば非常に良き「戦友」なのだと思います。色々振り返ると、WEEZERがNirvanaの『Lithum』をカバーしたときの記事が出てきました。素敵な関係性だなあと。
この日はパトリックはドラムではなくギターを手に持ち『Big Me』をともに演奏しました。
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/80604/2
入れ替わり立ち替わりで登場するゲストも楽しんでいると、気が付けばステージも終盤。デイヴも「Foo Fuji!!」という煽りを繰り返しながら、(聴くところだとフジロックでいつもやっている煽りらしい笑)「Last song…one more? two more? hundred more??」と寂しさを引き立てるMCをしたところで演奏されたのは『Best of You』。
元よりスケールの大きさを感じるこの曲でしたが、苗場の広い広いGREEN STAGEで聴くのは格別でした。「Oh~Oh」と歌う場面があるのですが、もちろん大合唱。我々一般人がギリギリハイトーンで出るか出ないかの音域で、フジロック最後のステージで力を振り絞ってオーディエンスが歌う空間というのは何にも代えがたいものでした。
Last song? などと思いながら、そういえばここまでのセトリで一番個人的にも欠かせないと思っていた1曲をまだ演っていないのです。これで本当にラストソング。そこで流れてきたイントロの演奏は、その待ちかねた1曲、『Everlong』でした。
圧倒的にワクワクするこのイントロ。4分のストロークと16分のビートというシンプルな構成から疾走感を駆り立てられ、歌い出しの "Hello, I've waited here for you" というのはまさに今回の私とフジロックとの会話のような。
齢30手前にしてようやく足を踏み入れたフジロック。フジロックからすると、「やっとかよ!」と言わせんとばかりだったと思います。それほど個人的には満を持して、のフジロック初参戦でした。1日だけではありましたがようやくフジロックの扉をたたき、そしてまた来年!と大手を振って帰りたい。それほどに素敵な1日でした。『Everlong』を聴きながら、またこの広い自然と素敵な音楽に出会えることを思いながら。ふと見上げると大きな満点の夜空が広がっていました。
フジロックを満喫(終) 帰るまでが
フジロックです。FOO FIGHTERSに心打たれ、友人と呆然状態のまま観衆の波に押されるがままエントランスへ。あとはなんとか帰るのみ。正直ここからのことは何も考えていませんでした。少なくとも思っていたのは、一睡もせずこのまま都内は戻ることは不可能。どこかで仮眠をするか。苗場で寝る方が涼しそうでいいなあ、でも寝起きで長い時間運転するのは・・・
などと考えているとエントランスへ到着。本当に終わってしまったんだなあ。また来年必ずきます。
駐車場まで歩みを進めます。行きは下り道だった、ということは帰りは上り道。しっかり戻れるだろうか、と不安でしたが夜ということもあり少しは涼しくはありました。歩く分には問題ありませんでしたが、押し寄せてくるのは空腹感。いくつか出店などはありましたが、ゆっくり腰を下ろして食べる店があるといいな、でもそんな店なんてこんな遅くにあるわけ・・・
と思っていたところ、1軒のラーメン屋さんを発見!「わかきや食堂」さんです。なんとフジロック期間中は深夜2時まで営業とのこと。中閉め後の開店時刻が23:00とはなんともフジロックに合わせた営業スタイル。ということで開店したてのラーメン屋で休憩させて頂きました。基本に忠実なラーメンで、非常においしかったです。
空腹を満たし、眠くなるかなと思いきや逆に元気が出てきたので戻るところまで戻ろう!と思い車を走らせました。が、案の定途中でギブアップ。(たしか)三芳PAで車を停め、仮眠すること2時間ほどだったでしょうか。眠る前は暗かった空も目覚めたときにはすっかり朝。苗場の涼し気な空気もどこへやら、灼熱の東京へと向かい都内に着いたのはAM7時半ころ。
帰りも渋滞事故などアクシデントなく、車での往来は非常に快適な1日でした。このタイム感で今後も行くことにしよう。などと考えながら無事帰宅。帰るまでがフジロック、いや、荷ほどきするまでがフジロック、、、かくして記念すべき初フジロックの1日は終了しました。
あとがきのあとがき
大満足のフジロックでしたが、体験できていないことはたくさんあります。行けていないステージやフードエリアもあり、川にも入っていません。キャンプする日が来るのでしょうか。そしてなにより雨を体験していません。こればっかりは体験しないに越したことはないのかもしれないですが、フジロックを十分に知り尽くした!とはまだまだいい難いでしょう。
そんなこともあり今回のフジロックを終えて決意したこと、それは来年も必ず行こうということです。来年のフジロックまで英気を養いつつ、様々な音楽を聴き裾野を広げ、その日を迎えたいと思います。ありがとうフジロック!また来年必ず!!