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なってしまったものは仕方ないのだ

病気・・・こと癌となると、
「なんで?あれが悪かった?これが悪かった??」
となる。

自分が、癌になってしまった理由を知りたくなる。
知ったところで、今自分が癌であるという現実は変わらないのですが・・・

これはまぁ、家族でもそうかも知れないですね・・・
私の母の場合は、癌ではなくて、45歳でクモ膜下出血で倒れたのですが、
酒もたばこもやらない、どちらかというと食品添加物とか気にするタイプの
健康志向な人だったので、
酒もたばこもガンガンやる父は現実を受け止めきれなくて
保健師さん(当時父は保健所長だった)に
「俺と違って酒もたばこもやらないのに・・・どうして・・・」
と電話で話していたことを覚えています。

病気に限らず、人間って理由を知りたい生き物なのかもしれないです。
理由を知ったところで、結果は変わらないのですが、

例えば身近なところだと、
「なぜ私の賞与の評価は〇×なのか」
とか。

知ったところで結果は変わりませんが、知りたい。

私も、癌が分かった当初は理由を求めてさまよいました。

そこで驚くべき文章を見て、私は本当にショックを受けました。

「女性ホルモンにさらされている期間が長いほど、
 乳がんのリスクが高まる」

つまり、初潮が早ければ早いほど、乳がんのリスクが高まる、と。

男性にはピンと来ないでしょうが、
私の初潮は9歳でした。

これはちょっと正常と異常の狭間くらいの早さでした。

初潮を迎えた時、母が父に心配そうに話していたことを、
今でも覚えています。

生まれつき股関節が悪くて、何度も何度もレントゲン撮影をしていて、
(つまり微量の放射線を浴びていて)
それが、原因なんじゃないか、と・・・

父がなんと応えていたかは、はっきりとは覚えていないのですが、
まぁ「そんなことないだろうし、あっても今更どうしようもない」
みたいな感じだったと思います。

しかし。
「乳がんは女性ホルモンにさらされている時間が長いと~」
なんて文章を見てしまって、私は9歳の時の出来事が、
頭の中でばーーーーっと流れました。

レントゲンをたくさん浴びたから初潮が早くて、
それで乳がんになった???

ちょっとそんな風に思考が傾いたのは事実です。

癌の告知を受けたクリニックからがん研にまわされた初診、
一通りの話が終わって、
「じゃ、そういうことで~」
みたいにあっさりと先生が終わろうとしたので、
びっくりした私は先生に慌てて尋ねました。

「あの・・・日常生活で何か気を付けることとか・・・?」

「なにもないよ😊」

「癌ってね、直接これが悪かったとか、こうしたら良くなるとかないから」
「色んな理由が複雑に絡み合って、そうなっただけだし、
 今日明日で急に悪くなることもないからね」
「まぁ、不健康な生活習慣を改めるくらいはしても良いけど、
 それで何か劇的に変わったりはしないからね😊」

なんというか・・・
理由を知りたい、なんとか手術しないで良くなりたい、
みたいな気持ちを見透かされてるのかと思って、
一瞬焦りましたが。

多分私みたいな思考になってる患者さんが
とっても多いってことなんだろうなぁ・・・と
思いました。

私は母に、癌になったことを伝えていません。
(母のケアマネさんには、母には伝えないことも併せて伝えました)

母に心配をかけたくない、とか、色んな理由はありますが。

もしかしたら母は、私が幼い時にレントゲンをたくさん撮影したこと、
初潮がとても早かったこと。

それを私の乳がんと結びつけてしまうかも知れない。

そういう思いが大きいです。

幸い母は今、施設で生活してもらっているので、
私が元気に生還さえすれば、
一生ばれないでいけるはずです。

なってしまったものは、きっと仕方がないのです。
私が不健康な生活をしていたせいかもしれないし、
そうじゃないかもしれない。

でも少なくとも、誰かのせいではないのです。

母は、私が病気をもって生まれたことで、
随分と辛い思いをしたようです。
(当時の日記などから)

この上、それが原因でがんになったかも知れない、なんて、
思わせたくないのです。

なってしまったものは、仕方ないよね。

これが今の私の気持ちです。

誰も悪くないし、私も悪くない。
みんな悪くない。


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