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コロナウイルスⅡ~そして退職へ

7月に2度目の新型コロナウイルス感染症に罹り、前回同様そこそこにこじらせ、夏休みを棒に振り、入れ替わりで入社してきた新人にちゃんと引継ぎをやって退職。そういう夏だった。

元々来春にボーナス(決算賞与しかない)をもらって退職しようという腹積もりだったのが、ボーナスをもらうまでの時間と労力を投下して得る対価が見合わないという判断に至ったのが理由で、感覚としては投資していた労働力の引き上げに近い。
通勤+拘束で毎日12時間持っていかれると少々の金額をもらったところで何も嬉しくないということが分かった。5年くらい食うや食わずで生きてきたので、これは意外な発見だった。(ただし、基本給が一定水準に届いていなかったのでその分は差し引く必要はある。)

8月いっぱいを回復に充て、9月にほんの少し働いて有休消化へ。並行して積極的に応募してみたいと思った求人へアプローチもしつつ、お出かけ欲も育まれていく。
コロナに罹る前の6月末に、JR東日本アプリに入っている「トレすご」というすごろくのミニゲームのサービス終了予告のアナウンスがあり、未消化のミッションと未訪問の新駅のチェックインをしておこうという動機もあった。

県単位で言えば、青森・岩手・秋田・山形・新潟・長野・山梨にチェックインしたい駅があった。
???「全部隣同士だね!」
JRの乗車券はなるべく長い一筆書きにした方がお得(こちらの記事を参照)なので、本体の乗車券を極力長くして、経路から外れる駅は別途手段を講じることにする。この方針から出力された経路は以下の通り。

経由したい駅(上図中青い四角の駅)は甲府、飯山、戸狩野沢温泉、十日町、東能代、弘前、五所川原、青森、前潟、山形。ルートの色が変わるところ(鶴岡・北上)で宿泊を予定した。

横浜市内→横浜市内
経由:大口(横浜線)八王子(中央東線)塩尻(篠ノ井線)篠ノ井(信越本線)長野(北陸新幹線)飯山(飯山線)越後川口(上越線)宮内(信越本線)新潟(白新線)新発田(羽越本線)秋田(奥羽本線)新青森(東北新幹線)仙台(仙山線)羽前千歳(奥羽本線)福島(東北本線)東京(東海道本線)横浜

運賃計算キロ1756.8km 普通運賃18,480円

JR東日本管内で完結しているため、株主優待券を金券ショップで仕入れて割引を適用させたので乗車券部分のお値段は11,220円となった。普通列車乗り放題の北海道東日本パスという選択肢もあったが、特急や新幹線に乗るたび乗車券代が掛かり、行程が伸びる分だけ宿代も掛かるということで選択肢から除外した。
乗車券は特急券を足すだけで特急に乗れるのでおトク。
出てきた乗車券はこちら↓

使用後のすがた

ギリギリ16経路(上記経由のカッコの数をカウント)なのでみどりの窓口ですぐ出せるはずと思いきや、常備券(手書きで書き込むきっぷ)で当日出せる(1週間掛かると案内されるのが相場なのに)という絶妙なところに着地した。(わかる人向け:マルスの出札モードだとエラーになるけど、POS機能の常備券販売実績では入力できた。経由の文字数が省略を許容できないくらいに溢れたか?)

天気のことなど全く気にしていなかったのだが、局所的に荒天に見舞われ、全日程で計画変更を余儀なくされることになった。
9月20日は長岡まで進んだ時点で羽越本線村上〜酒田の大雨運休の報を受けた。新潟に着いた17時の時点でなおも「運転見合わせ」の案内だったので、改札の係員に「この時間で『本日の運転取り止め』と案内してないということは…?」と聞いたところ、特急いなほの代行バスを出すとのことだった。
村上まで進むと、抑止が解除されて運転を再開したようであったが、乗る予定だった酒田行き普通列車に関する案内はなく、待合室に案内された。曰く、再開はしたが徐行しているので時間が掛かるとのこと。どこトレで在線状況を見るとどんどん遅延が膨れてるので、25km/hくらいで走っているようだった。
降りるのは鶴岡なので、いなほの代行バスに乗せてもらい、予定より1時間弱の遅れで到着した。定刻であればさらに乗り継いで秋田まで行けたのだが、鶴岡で留めたのは正解だった。

9月21日も天気は安定せず、羽越本線酒田〜秋田は9時から運転見合わせというアナウンスが出ていた。予定通りに鶴岡から始発の下り列車に乗車し、酒田で乗り換えた秋田行きも時間通りに出発した。
ところが、秋田県に入って西目に着いた時点で、雨量が規制に到達したらしく運転取り止めとなってしまった。今度はタクシー代行と案内された。
元からそのつもりだったのか、10分ほどでタクシーがやってきて、秋田へ向かう他の乗客といっしょに乗り込む。70過ぎ(本人の申告による)のおじいちゃんドライバーのネイティブ秋田弁を時々翻訳しつつ、マシンガントークを打ち返すスポーツが始まった。前走車をガンガンに掘っていく運ちゃん。車間距離が狭い。

秋田には予定より40分ほど遅れて10時20分ごろに到着した。乗り換え予定の9時44分発の大館行きは当然発車した後だった。計画ではこの列車で大館、さらに弘前と乗り継いで五所川原でトレすごチェックイン、五所川原から弘南バスで青森市内へ向かうはずだった。秋田駅に到着した時点では次善策としてリゾートしらかみ3号で東能代から五能線を進むことも考えられたが、直前になって車両故障で運休となってしまった。

その次に奥羽本線を青森県内まで進む11時40分発の弘前行きを見送り(後で調べたら当初予定の1本遅いパターンで進めた)、12時49分発のスーパーつがる1号で新青森へ向かい、新青森でカーシェアを借りて五所川原と青森のチェックインを済ませることにした。
秋田駅に訪れるのは2021年2月ぶりで、この時も福島県沖地震による東北新幹線運休という輸送障害に由来するものだった。前回も1時間半ほど乗り換え時間があったので遅い昼食を摂ったのだが、今回も乗り換え時間を利用した昼食(ただし早め)となった。秋田港にクルーズ船が来ている関係で駅ビルが混んでいた。

車両側面の表示は「つがる」だった

スーパーつがる号は今年の3月に設定された列車で、既存のつがる号より停車駅が少ない。また、令和によみがえった「スーパー」愛称として趣味者の間で話題になった。平成時代、すなわち国鉄が民営化してJRになった直後には従来の車両から新型車両に置き換わるタイミングで列車名が「スーパー〇〇」とされることが多かったのだが、新幹線ができたり2周目の代替わりで別の名前になったりで、今年のダイヤ改正以前で現存するのはJR西日本管内のみとなっていた。(詳しくはこちらの記事を参照)
スーパーつがる号に充当されるE751系車両は、かつて盛岡と青森を結ぶスーパーはつかり号としてデビューしたもので、私はその当時にも乗車経験がある。20年以上ぶりにスーパーを冠する列車として再開することに深い感慨を覚える。

新青森でカーシェアを借りて五所川原と青森のチェックインを済ませ、進路を南に転じて岩手県へ向かう。花巻でアキュートリリーの同僚と再会する約束をしていて、順調にいけばその前に盛岡で再びカーシェアを借りて前潟でチェックインできるはずだった。新青森→盛岡→前潟→花巻→北上泊という順番を新青森→盛岡→花巻→北上泊→前潟→北上を組み替えることにして、前潟のチェックインは北上でカーシェアを借りて向かった。

残すミッションは山形でのチェックインのみとなった。山形からは新幹線で帰るつもりで、乗車券を株主優待で買ったときと同時購入で割引の特急券を持っていた。指定した列車は今年デビューしたE8系が充当されるつばさ188号だ。
しかし、三日連続で悪天候が行く手を阻む。北上から盛岡往復の一仕事を終え、仙台から山形へ向かう車中で奥羽本線米沢~山形間が大雨で運休という情報が入ってきた。そうは言ってもそこまで強い雨は降っていないので、運転再開の可能性があると踏んで山形まで向かった。
結果として、見合わせ区間の運転は再開した。しかし、指定を取っていたつばさ188号は運休、駅員に問い合わせたところ当日のE8系の運行は無しと言われてしまった。
幸い無職になって急ぐ理由はないので、特急券は翌日のE8系充当列車であるつばさ124号に変更してもらった。朝は早いが、東京へ向かう上り列車で最も停車駅が少ない列車なので、韋駄天ぶりを堪能した。

3日の全ての日程で輸送障害に遭い、挙句追加の日程が発生するという事態は、これまでの人生で初めてであった。常にその場での判断を強いられるのはスリリングであるが、国内、まして馴染み深い東日本とあれば気持ちいい刺激のうちに入る。とはいえ、こうやって楽しんでいられるのも無職だからであって、よほど暇でない限り労働なんてするものじゃないなという思いを、改めて強く持ったのであった。

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