週刊オールライター第96号 「大規模運休! まずすべきことは」
今年7月22日、東海道新幹線豊橋〜三河安城で線路作業車同士が衝突事故を起こし、1日中名古屋〜浜松で東海道新幹線が動かなくなりました。また、今月に入って台風などの自然災害で東海道新幹線が再び動かなくなりました。皆さんは、このような大規模アクシデントが起きた時、どう行動するべきだと思われますか?私はこう思います。
「まずはその場に止まってよいか否かを考える」
今回は、鉄道ファンの身分としても、鉄道ライターを目指す身分としてもどうしても伝えたいことがあるので、この内容を書きます。
1. 私の体験談 2023年8月5日東海道本線電柱倒壊事故
まず、対処法をお話しする前に、私の「大規模運休に出先で巻き込まれた」という体験談をお話しさせていただきます。上記過去記事にも書いている内容ですが、文章構成が稚拙ですのでここに改めて書き直します。
2023年8月5日深夜、JR東海道本線大船〜藤沢で老朽化によりボロボロになった電柱が花火大会のために運行された臨時普通列車の回送に倒れるという大事故が発生し、翌日にかけて東海道本線とそれに関わる横須賀線や湘南新宿ライン、上野東京ライン、高崎線、宇都宮線などが大規模に遅延しました。
この事故発生当時、私は富士スピードウェイで泊まりの夜勤アルバイトをしてい他のですが、休憩中に友人からのLINEでこの事故の話を聞かされて驚きました。そしてその後の勤務中、私の頭の中は「(JR東日本の)東海道線が動けない中どうやって家に帰ろうか」ということばかり考えていました。そして考えついたアイディアが以下の通りでした。
①御殿場駅からJR御殿場線に乗車し、松田駅で下車して隣にある新松田駅から小田急に乗って新宿駅に向かうルート
②御殿場駅からJR御殿場線に乗車し、沼津駅まで出て静岡方面からのJR東海の東海道線に乗って熱海駅に向かい、JR東日本の東海道線に乗り換えて小田原駅に出て小田急に乗って新宿駅まで向かうルート
③御殿場駅から富士急モビリティのバスに乗って富士山駅に向かい、そこから富士山麓電気鉄道富士急行線に乗って大月駅に出てそこからさらにJR中央本線に乗り換えて都内に出るルート
④御殿場駅から小田急ハイウェイバス(小田急箱根高速バス)に乗って新宿に出るルート
⑤御殿場駅で小田急新宿駅と御殿場駅を直通するロマンスカー「ふじさん」の特急券を買って「ふじさん」で新宿駅に向かうルート
とにかく、目的地を家ではなく都内に定めて考えていました。所持金も少なかったので、ゆっくり帰る以外選択肢がなく、どうやったら混乱をかわせるかを考えました。その結果、乗りたい列車があったこともあり、上記選択肢の中から②を選んで帰ることにしました。その結果、通常であれば3時間半かけて帰宅できるところを約5時間かけて帰宅しました。
2. 振替輸送について
振替輸送は、運転が難しいと判断された区間の乗車券・定期券を持っている乗客に対し、他の路線・交通機関に誘導するサービスのことです。
私も普段乗車している上野東京ライン・湘南新宿ラインと京浜東北線・埼京線のいずれかが人身事故や天災などで大規模に運休・遅延している場合は都営地下鉄・東京メトロを駆使して半蔵門線に脱出し、そこから東武スカイツリーラインに直通する急行・準急に春日部まで乗車し、春日部からは東武アーバンパークラインに乗車して大宮に出るという手段をよく使っています。
振替輸送は、その該当する区間の乗車券・定期券があれば目的地までの別手段に乗れるので、時間がかかっても確実に目的地に行きたい人は使用する価値があります。以下に、振替輸送になった際に実際に使える例を挙げます。参考にしてください。
・上野〜大宮
JRが使えない場合、東京メトロ日比谷線・東武スカイツリーライン直通に乗車して春日部まで向かい、春日部から東武アーバンパークラインに乗車して大宮に向かう。
・東京〜名古屋
東海道新幹線が運行不能でなおかつ中央本線に異常がなければ、名古屋〜塩尻で「しなの」、塩尻〜新宿で「あずさ」と中央本線の特急を乗り継いで都内入りが可能。
・京都〜神戸
関西の場合はJRと私鉄が並走して敷設されている場合が多いので容易に想像がしやすい。この区間は仮にJRが止まってしまっても、以下の2ルートで移動可能。
①京都駅から近鉄京都線に乗車して大和西大寺駅まで向かい、奈良線・大阪線と阪神電鉄を直通する列車に乗り換えて(阪神)尼崎駅まで乗車し、山陽電鉄直通に乗り換えて高速神戸駅まで乗車する
②京都駅から京都市営地下鉄烏丸線で烏丸に向かい、烏丸から阪急京都線に乗車し、十三で阪急神戸線に乗り換えて高速神戸まで乗車する
3. その場にとどまるという選択肢も間違いではない
振替輸送などの迂回ルートは、現在SNSで簡単に情報が手に入る時代にはなっていますが、それを発信する人物は鉄道に詳しい人であったり、鉄道会社の人間であることがほとんどです。もし、それが思いついたとしてもきっぷ等々のルールもある程度知らないと自分で解決できる問題ではないので、迂回するかの決断は人によっては非常に難しい問題になります。ですので、迂回経路が思いつかなかったり、持っている特急券の精算等が煩わしくて嫌になる方は、その場にとどまることをおすすめします。この手段も、間違いではありません。これは声を大きくして言いたいです。今の今まで力説してきた振替輸送・迂回にも実は欠点・懸念があります。それは
「普段使わない人で逆に混雑が起き、現場が混乱する」
という点です。先述の東海道新幹線の保線車事故でANA(全日本空輸)は臨時の大阪/関西国際〜東京/羽田を飛ばして対応していましたが、ここでも混雑があったことは否めないはずです。東京〜大阪は飛行機も稼げる路線で、さまざまな
航空会社が就航させている区間ですから。
混雑が嫌いであったり、病気になりやすいなどのハンデを抱える方は大きな混乱がある程度収まるまでその場にとどまることを強くおすすめします。
むすびにかえて 動くよりも前に考えろ
今回は、遠出先で大規模に交通機関が麻痺してしまった場合の対処法を述べました。やはり、無理に帰ろうと動くよりも先に一度立ち止まって考えてください。逆にあなた自身も混乱しますから、いいことなど一つもないですよ。
それではまた。