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週刊オールライター第90号 「鉄道系の博物館について」

先月21日、小田急電鉄は、自社が運営する博物館「ロマンスカーミュージアム」が鉄道会社の運営する施設としては初めてとなる、博物館法に基づく神奈川県所管の「登録博物館」の仲間入りを果たしたと発表しました。

実は、広義で「博物館」「ミュージアム」と称していても、法律上では博物館とは言い切れない施設が山ほどあります。
そこで今回はこの機会に、鉄道系の博物館が博物館法という法律でどのように扱われているか解説します。
なお私は、博物館学芸員の資格修得を目指して授業を取っていましたが、単位を落として資格が取れませんでした。

1. 博物館法の定める「博物館」とは

1952年に施行された博物館法では、博物館のあり方を以下のように定義しています。

博物館法における「博物館」は、歴史資料や美術品や自然史資料、動植物など、資料の種類に関わらず、資料の収集・保管(育成)、展示、資料についての調査研究、教育普及活動やレクリエーションに資するために必要な事業等を行うことを目的とする機関であり、法の規定による「登録を受けたもの」と定義されています。
(文化庁 博物館総合サイトより引用)

そして広義での「博物館」はこの法律で以下の3種類に分類しています。

・指定博物館
・博物館相当施設
・博物館類似施設

まず、「指定博物館」とされるためには以下の条件を満たす必要があります。

①国と独立行政法人以外のあらゆる法人
②博物館資料の収集、保管及び展示ならびに博物館資料に関する調査研究を行う体制が基準に適合する
③学芸員やそのほかの職員の配置が基準に適合する
④施設および設備が基準に適合する
⑤1年を通じて150日以上開館する
(文化庁 博物館総合サイトより引用)

この条件を満たさない施設も多く、その場合は法律に従って博物館相当施設や博物館類似施設とされるわけです。

ここで「文化庁 博物館総合サイトより引用と表記した内容は全て以下サイトから引用しています。↓

https://museum.bunka.go.jp/museum/act/

2. 鉄道にまつわる「博物館」を博物館法で分類すると

私が訪れたことのある博物館から4つご紹介します。

2-1. 鉄道博物館 「(埼玉県所管)指定博物館」

埼玉県さいたま市にある鉄道博物館は、埼玉県所管の指定博物館です。
鉄道博物館の前身にあたる「交通博物館(2006年5月閉館)」は博物館類似施設の扱いでしたが、2008年に埼玉県所管の指定博物館に「昇格」しています。

2-2. 京都鉄道博物館 「博物館相当施設」

京都市の梅小路公園内にある京都鉄道博物館は、元々存在した梅小路蒸気機関車館の敷地内に建物を新しく増設し、そこにかつて大阪に存在した交通科学博物館で展示されていた車両と新たに保存が決まった車両を収蔵する形で2016年に開館した博物館ですが、ここは大宮の鉄道博物館とは違って博物館相当施設の扱いとなっており、京都府の管轄する博物館ではありません。

2-3. リニア・鉄道館 「博物館類似施設」

引退が決まった923系ドクターイエローの所蔵が決まったニュースを聞いて久しいリニア・鉄道館は、博物館類似施設の扱いです。

2-4. 博物館明治村 「(愛知県所管)指定博物館」

蒸気機関車の動態保存や御料車(皇族専用車両)の展示などで鉄道ファンの知名度も高い明治村。ここは、愛知県管轄の指定博物館です。

3. テーマパークなんだけど・・・ 碓氷峠鉄道文化むら

碓氷峠の群馬県側の関所、横川にある碓氷峠鉄道文化むら。戦隊モノやゲームバラエティなど、多くのテレビ番組のロケにも使用されるここは、しばしば「鉄道系の博物館」と言われることもありますが、ここは明らかにテーマパークです。
確かに昔の車両を展示していたり、体験乗車があったり、昔の建物を利用した施設もあるのですが、少なくともここに博物館の要素を感じることはないです。勘違いなさらないでください。

むすびにかえて

今回は、なるべくわかりやすく「博物館」について鉄道を交えて解説してみました。博物館、と一口に言っても法律上では異なる場合があるので、その違いにも注目して訪問してみるのも面白いかもしれません。

それではまた。

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