週刊オールライター第102号 「鉄道の日2024に舞台鑑賞」
皆さんは、先週の10月14日が何の日かご存知ですか?この日は今から152年前の明治5年(1872)のこの日に日本で初めての鉄道が新橋〜横浜で走り始めたことから「鉄道の日」とされています。そして今年、2024年の鉄道の日は、私が学業を収めている身分としては最後の鉄道の日になります。ですが、卒業論文の関係で遊ぶ時間は制限されています。そこで、限られた時間を活用して鉄道趣味を満喫することにし、夕方にはとある事情で舞台鑑賞にも行きました。
今回は、鉄道の日に私がどう過ごしたかについて特集します。
1. むさしの号からスタート 大宮→国立
私は朝から自転車を漕いで自宅最寄駅に向かい、上野東京ラインから鉄道の日乗り鉄を始めました。大宮駅で下車し、「むさしの号」に乗車しました。この配信でも何度も登場している便利な列車「むさしの号」。今回は、中央線でこの前日13日からプレオープン運転を開始したある車両に乗車するため、国立駅で下車しました。
2. 「新型」グリーン車に乗車‼︎ 国立→神田
小見出しの通り、今回のお目当ては中央快速線(東京〜大月)と青梅線(立川〜青梅)に登場した快速列車のグリーン車です。来年3月のダイヤ改正まで、宣伝や乗務員・清掃スタッフなどの習熟を兼ねた「お試し期間」として普通車扱いで乗車できます。このグリーン車は、すでに導入されている上野東京ライン、湘南新宿ライン、横須賀・総武快速線と違って両開きドアを採用しているのが特徴です。これは、東京駅の中央線ホームが1面2線という大変手狭なうえ、折り返し時間がかなり短い朝夕のラッシュに対応するためです。
待つこと30分。お目当ての列車がやってきました。
グリーン車を組み込んだ最初の3編成のうちの1編成、T24編成による青梅発東京行きです。
車内は満席でしたので、新宿まで立つことにしましたが、武蔵境で運良く席が空いたので座ることにしました。
座った感想ですが、座面は硬めでした。ですが、中央線のグリーン車運用は一番長くても東京〜大月でその距離は100kmにも満たないですから、柔らかめの座席を採用すると人間工学的にあまりよろしくないのか、硬めの座席が採用されたのだと思います。正直、快適です。
2-1. 中央線になぜグリーン車を?
中央線にグリーン車が導入される理由は、増収でしょう。
「中央線・青梅線と並走している京王線が京王ライナー、西武新宿・拝島線が拝島ライナーを運行開始したからそれに対抗したかっただけでは?」
と思う方もいるかも知れませんが、それは間違いと言っていいでしょう。JR東日本は、JR西日本やJR東海のような「並行して布設されている私鉄と快適性・速達性を競走している」というようなことはほぼないですが、中央線・青梅線の場合は並行している京王線、西武新宿・拝島線という私鉄幹線があるので、そのように想像しやすいのかも知れません。ですが、京王・西武と違ってJR東日本は沿線開発をそこまでしていない、というより中央線東京〜高尾・青梅線立川〜青梅の沿線がほぼ開発し尽くされたので「自分たちの開発した街から都内まで快適に通勤できる列車」としてグリーン車が導入された、という理由は成立しません。ですから、付加価値を求めたかったのでしょう。そこにあると思っていいです。
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主に参考にした記事
3. 神田下車後〜夕方まで
中央線の新型グリーン車で神田まで乗車後、山手線に乗り換えて大学に向かいました。その後は夕方まで大学で卒業論文を執筆していました。私の通っている大学はゴールデンウィークを除く祝日も開講する大学なので、学食が営業していたこともあって昼食にも困らず、図書室の個別ブースでひたすらパソコンと格闘。結構捗りました。
4. 舞台「楽屋」を鑑賞! 大塚
そして夕方少し前に大学を出て、歩いて大塚に向かいました。大塚駅から庚申塚方面に歩いて4分の場所にある「萬劇場」が本日2つ目のメイン行事の舞台。この劇場でモリハラプロデュース「楽屋」を鑑賞しました。この舞台を見に行った理由は、この公演に出演している俳優・高橋茉琴さんが、ライブ配信アプリ「ポコチャ」での配信で
「今度やる『楽屋』のチケットに学生割引(チケット)あるから見にきて」
と呼びかけてくれたからです。高橋さんは舞台を中心に活動されている俳優で、私が彼女を知るきっかけは、私の21歳の誕生日に見に行ったトークショー「恋する!たび鉄部」でした。このトークショーの出演者であるオオゼキタクさんがちょうどこの日に新曲「花火」をリリースしており、歌のコーナーで披露した際にそのカップリング曲「グレープフルーツ」も披露しており、その曲のバックコーラスをしていたのが彼女でした。その際に高橋さんがポコチャをやっていることを知り、ちょうどその時にスマートフォンのアプリ・容量を整理していたのでそれが終わるのを待ってから配信を見に行くようになりました。
(ポコチャは元々、私の推しているアイドルが配信をしていたので知っていました。)
この「楽屋」という作品は、調べたところとても有名な戯曲だそうで、劇作家・清水邦夫氏によって1977年に作られ、さまざまな劇団などで上演されており、その累計上演回数を全て足すと、その数は日本一になるそうです。
以下、あらすじ及び舞台セットへの言及につきネタバレあり。
〈あらすじ〉
とある楽屋。亡霊になった女優Aと女優Bが楽屋で念入りに化粧をしながら、永遠にやっては来ない出番にそなえています。この時、上にある舞台ではチェーホフの代表作「かもめ」が上演中。ニーナ役の女優Cが楽屋に戻って来ると、プロンプター(簡単にいうと「人間カンペ」みたいなものです)をつとめていた女優Dがパジャマ姿で枕を抱えて現れます。実はDは精神を病み入院していたですが、すっかりよくなったのです。彼女はそれを理由にニーナ役を返せとCに詰め寄ります。言い争いになり、Cは思わずDの頭をビール瓶で殴ってしまいます。Dは起き上がってふらふらと出て行きますが、Cが楽屋を出ていった後に戻ってきます。この時亡霊のAとBが見えているのです。実は彼女、先ほど殴られたことで死んでしまったのです。こうして3人になった楽屋の亡霊は、何かの拍子にやって来るかもしれない出番のために稽古を始めます・・・。
私が観に行った回では、高橋さんは女優D役で出演していました。
まず、率直な感想を言うと面白かったのですが、見ていたその時間よりもこの作品について色々と調べている時間が面白いという不思議な感覚になりました。
私がお世話になっている、舞台芸術に造詣が深い鉄道ライター・土屋武之さんがこの講演を初日から見に行っており、その期間内の投稿の内容・その意味を上演後に考えてみると、謎が面白いように解けていきました。まず、舞台上に2つの机があるのですが、このうち下手側は傾いていて、上手側は普通の状態です。土屋さんはこれを例に
「さりげなく意味を持っている」「そういうところをを感じてほしい」
と発言していました。ここに誰が座っていたのかというと、下手側にはA・B、上手側にはCでした。何が言いたいかわかりましたね。傾いた方には亡霊がいたのです。
また、上演2日目の土屋さんの投稿を見ると最後の一文が意味深な発言でした。
「エンディングとともに客席で事切れて、幽霊になってそこへ住みつくのが夢です。」
そう、A・B・Dのように・・・。
こうした「謎解きの答え合わせ」をしていくにつれて、この作品の面白さに触れた気がしました。同時にとても良い勉強になりました。
4-1. 舞台鑑賞はしたことあるの?
ここで、私の舞台鑑賞歴について軽く触れておきます。私がこれまで舞台を鑑賞したことは過去1回しかありません。高校2年の冬に高校の芸術鑑賞会として、埼玉会館にて「EDDIE」を見たことが最初でした。この作品は、井岡弘樹氏やガッツ石松氏、赤井英和氏などを育てたことで知られるボクシングトレーナーのエディ・タウンゼント氏を描いた物語です。
ちなみにこの時は高校の行事の一環として観に行ったので、チケットを買って観に行くという行為は今回の「楽屋」が初めてです。
5. 終演、帰宅
カーテンコールも終わってめでたくモリハラプロデュース「楽屋」は大千穐楽を迎えたのですが、終演後出口に向かうと今回の出演者の4名が出迎えてくれました。そこで私は高橋さんに
「ポコチャいつも見に行ってます」
と話しかけると、ポコチャネームで私のことを呼んでくれました。もしお誘いをいただかなかったらこのような学びを得られなかったでしょう。本当に感謝しかなく、終始私は頭を下げました。
そして私は大塚駅から山手線に乗り、上野駅で快速に乗り換えて家路につきました。
むすびにかえて
今回は、鉄道の日の私の出来事を紹介しました。さまざまな学びを得た1日でした。中央線のグリーン車、今は3編成しかいないので大混雑していますが、2025年3月のダイヤ改正のプレスリリースが出る11月下旬〜12月初旬頃にはグリーン車も多くの編成に組み込まれている頃でしょうから、卒業論文の完成を待ってからまた乗りに行こうと思います。また、舞台鑑賞は本当にいい勉強になります。表現力という面でも生きた教材になった気がします。今後も教養のアンテナをしっかり手入れしようと思います。
それではまた。