東京と大阪の比較について

東京と大阪は様々なところで比較される。

今日はインフラ整備について見てみよう。
結論から言うと大阪のインフラ整備のスピードは東京のそれと比べてかなり遅い。

現在開業に向けて準備が進められているなにわ筋線や大阪モノレールも、40年ほど前に計画されていたものがようやく実行されているだけに過ぎない。

方や東京は計画から完成まで20年くらいのスパンで動いていく。

このスピードの違いが両者の経済的格差をもたらしたと言える。

具体例を見ていこう。

90年代〜現代
開業した路線

①東京
南北線、半蔵門線と東武スカイツリーラインの直通、つくばエクスプレス、りんかい線、京葉線、東横線と副都心線の直通、副都心線、南北線と目黒線の直通、目黒線と多摩川線の分離、上野東京ライン、相鉄東急直通線、大江戸線、相鉄JR直通線、湘南新宿ライン、成田スカイアクセス線

②大阪
東西線、中之島線、おおさか東線、今里筋線、うめきた新駅

この違いは何か。

やはり政治制度に尽きる。

大阪も東京も中心地を超えて、市街地が大きく進展していると言う共通点がある。

東京は、23区を超えて都市化が東京都全体に広がるが、インフラ整備など大規模な行政を扱う行政機構は東京都一つに集約され、23区は住民サービスなどの基礎行政を担う。

インフラ整備なども、東京都知事がゴーサインを出せばすぐに建設に向けて動き出す。

大阪も、大阪市を超え、大阪府全体が都市化している。しかし東京と違い、大阪府と大阪市の二つの行政機構が並ぶ。

そのため、大阪府知事が必要と決めたインフラ整備でも、大阪市が財政赤字などを理由に却下できる状態となる。この対立が戦後70年間ずっと続き、東京に遅れをとってきた。

一方、大阪市は広域行政権を保有しながらも、保育園の割り当てなど、基礎行政を行わなければならない。

大阪市の人口は270万人。当然、270万人もいれば区ごとに抱える問題は大きく異なる。市長が270万人の面倒を見切れるわけはなく、その結果、西成などのスラム街は放置されてきた。また、給食やエアコン設置なども放置されてきた。

さらに、大阪の区は公選区長ではなく、市長が任命する方式である。任命された公務員は、自分の任期が無事に終わればそれで良い。住民から選ばれた公選区長のように、その地域ごとの個性ある行政を行おう、という動機は発生しにくい。

これは、23区ごとに特色のある街づくりや行政サービスを行う、東京都は大きく異なる点である。

もちろん、維新政権になってから、大阪市と大阪府の一体化は進み、住民サービスも大きく拡充した。インフラ整備や再開発も大きく動き出した。

だが、それでも東京に比べれば意思決定スピードは遅い。

結局、東京のように広域行政と住民サービスを完全に分離する、大阪都構想を実現しない限り、根本的な解決には至らない。

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