約1年作り続けてわかった、上製豆本の作り方(最終製本編)
個人出版レーベル「HS書架」代表の春紫苑です。
HS書架流「上製豆本の作り方」シリーズ、残すところあと1回となりました。最終回の本記事は、前回、前々回作成した本文と表紙を合体させて、上製豆本に仕上げる方法を解説します。
ここまでくれば、完成まであと一息ですね。それではさっそく見ていきましょう!
豆本製作記事の構成
最終製本編(この記事)
(豆)本の構成について
最終製本で使用する道具
最終製本に使う道具一式です。
表紙と本文を接着するボンド
ボンドを塗るための細筆
完全に接着するまで固定するクリップ
効き紙を厚紙に貼り付けるスティックのり
効き紙貼り付けに挟み込むクリアファイルの断裁したもの
以上の5点です。
その他補助的なものは、登場したときに説明しますね。
表紙と本文の接着
最終製本の工程は二つ。一つは『表紙と本文の接着』、もう一つが『効き紙を表紙の厚紙に貼り合わせる』です。
まずは表紙と本文の接着から。下の写真のように、あらかじめ背表紙にそって表紙を軽くおりまげ、型を整えたあと背表紙と表(裏)表紙の間にある表紙デザイン紙にボンドを塗ります。
そして表紙と本文を慎重に合わせます。このとき表紙が本文より少し大きいことをお忘れなく!上か下のどちらかに合わせると、他方の余りが酷いことになってしまいます(笑)。
真ん中に合わせたら、接着部分を指で押さえます。その後クリップで固定。
豆本製作を解説している他のWEBサイトや動画では、竹ひごを溝に挟んで形を整えることもあるのですが、クリップが接着面にピッタリと合うため、私はクリップ止めのみで接着しています。
クリップで固定したときに手を離すと、表紙が自然と開くことがあります。これは(私的に)表紙がきれいに作れた証拠です! 厚紙の位置がずれると、閉じたまま開かないこともあるんですよね……。
あくまで経験からくる私基準の評価なので、参考程度に読んでいただけると幸いです。
効き紙を厚紙に貼り付ける
では本当の最終工程です。効き紙を表紙裏の厚紙に貼り付けます。
この工程の前に質問です。本文作成編で効き紙について解説した内容を覚えていますか?そう、ガイドラインが印刷されている面を、外側(表紙側)に向けておくよう、説明していました。
ここでようやく答え合わせです。下の写真はガイドライン残りがほとんど見られないので影響は小さいのですが、この面にガイドラインの印刷が残っていても、厚紙に貼り合わせるので、ちゃんと隠れるんです!(ついでにはみ出たガーゼも隠れます)
無地だとガーゼの存在が少しわかるかもしれません。しかし下の写真のような柄がある紙では、まったく目立ちません。
以上のことも頭に入れつつ、効き紙の用紙を選びましょう。
では実際に貼り付けます。
まず効き紙の表紙側全面に、薄くのりを塗ります。端までしっかりと塗らないと、はがれて見た目がわるくなるため、端材を利用した紙を敷いて、スティックのりで余すことなく塗りましょう。
塗り終えたら、厚紙と貼り合わせます。まず敷いていた端材の紙を外し、同じ場所に本文判型より一回り大きく断裁した、廃棄用のクリアファイルを挟み込みます。
そして表紙を閉じて、しっかりと貼り付けます。
なぜ貼り付けるときにわざわざクリアファイルを挟み込むのか。
実は以前何も挟まずそのまま貼り付けたところ、乾いたときに効き紙が下の遊び紙とくっついていたことがあったんです。おそらく全面に塗った時、端にのりが付いていて、それが下の紙にも付いてしまったんだと思います。
以来、貼り付けるときにも下の紙にくっつかないよう、クリアファイル(の端材)を挟んでいます。
さらにHS書架特製の重し(笑)を上に置き、表紙が勝手に開かないよう、本全体を圧縮します。
効き紙をきれいに貼り付けることができました。
これで上製豆本の全製作工程は終了です。お疲れ様でした!最終的な製本の様子はこちらになります。
以上、春紫苑が1年間作り続けた結果たどり着いた、HS書架流・(上製)豆本の作り方をすべてご覧いただきました。
大量に作る必要があったり、販売するためにこだわった箇所もありますが、あなたが作るときは、まず身近な道具で作り始めることをオススメします。
そしてうまくいかなかった場合に、この記事の解説を思い出し、自分なりに工夫して製本してみてくださいね。
それではよい豆本製作ライフを!
豆本製作で参考にした動画、WEBサイト、書籍
私が豆本を初めて作るときに、参考にした書籍や動画、サイトを共有いたします。どれもわかりやすいので、あなたのためになること間違いなし!
動画
【製本紹介】豆本絵本の作り方
WEBサイト
簡単な豆本の作り方
書籍
美篶堂とつくるはじめての手製本
書架の豆本たち
豆本製作ほかの工程は、こちらからどうぞ。
最終製本編(この記事)