012:Neurodiversity と助産師
『ニューロダイバーシティ(Neurodiversity)とは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)など、発達障害を神経や脳の違いによる「個性」だとする概念のこと。 』だそうです。
今回、英国の助産師の先生で、補完療法を助産師に教えているデニス女史の投稿文が物議をかましていて、初めて知った『単語』でした。
私たち(リドルキッズ界隈かも?)は、発達凸凹と呼んでいます。
私の拙い(?)英語力による訳なので、理解に誤りがあるといけないと思いますが、多分『そういう事。』と思って、論を展開していきますので、そのつもりで読んでいただければと思います。
日本でも産科で妊産婦の心と体のケアに補完療法あるいは、リラクゼーションとして、あるいはファッション(?)として、アロマテラピーを取り入れている産院があります。一般化や標準化はしていないと思いますが、英国では、たびたび、訴訟が起こるほど、きちんと学んだ人からふわっと安易に行う人まで存在するポピュラーな、補完療法の選択肢として候補になりやすいものになっています。
その為、きちんと学ぶように『ガイドライン』が存在しています。
日本で例えるならば、厚労省に補完療法の一覧があって、そこにアロマテラピーの分野があり、各健康状態において使用可能な精油の情報もある。と言う感じだと思います。
一説によると、現国王のチャールズさんが、補完療法(自然療法)やオーガニック農法などを後押ししていたとも聞きました。国王になられて、国王としての職務によって、皇太子時代の仕事の多くができなくなり、オーガニック団体に叱責された部分だけを切り取ったニュースも見ましたが、全体像はそう言う事なのか。と、思ったものです。
話が少しそれましたが、そう言う理由で、英国内におけるアロマテラピーは、良くも悪くも裁判によって淘汰されているようです。
私が、所属しているIFA(国際アロマセラピスト連盟)でも、正会員であると言うことが、すべての疾患にアロマテラピーを適応できると言うことではないので、子供、妊産婦、高齢者、がん患者、その他の既往症のある患者、とにかく一般的な健康な成人を対象としないアロマテラピーの提供には、それぞれの専門家から学習をするように指導を受けます。
そんな理由もあって、IFAに登録されているアロマセラピストは、更新時にCPDの提出(現在は、緩い審査で提出を要請された時に出せる事となっている)することになっています。
そんな背景で、デニス女史は、グリニッジ大学で教鞭を取り、リサーチを続け、助産学における補完療法のガイドライン作成に参加しており、出版もしている人で、IFAからも指導者として支持されている方なのですが、定年によりご自身の学校を持たれているからもあると思うのですが、時折、矢面に立っていることがあるのを見かけます。
今回は『マッサージ中にモバイル(スマホ)をしないように。』と言う記事をフェイスブックに書かれたことによるものです。
その前に、昨年、分娩時のアロマテラピーが原因で死産になったとされる妊婦の夫による訴訟で、産科の補完療法からアロマテラピーが槍玉に上り、その夫(産科ではないが医師)とラジオで討論する番組があったのですが、その番組、放送日時が、医療従事者のストライキによって延期され、その後の情報が追えていません。もしかしたら、放送されて、それによるプラスアルファーもあるのかもしれませんが、ふわっと加味したとしても、私はデニス女史の書いていることの方が納得できました。
イギリス英語を母語とする方が、感情的にどう感じるかは、分からないので、書き方、言い方の問題なのかもしれないのですが、日本でも問題になるであろうことだと思うのです。
つまり講義中(助産師のみのクラス)に、フットケアの相モデルでの実技の間、モバイル(スマホ)をずっと触っている女性に、デニスが『リラックスの為にはモバイルを手放すように』と指導すると、その女性は『若い女性はモバイルがある事でリラックスするかもしれない。』と意見したのだそうです。
しかし、助産師が、妊産婦ケアとして行うフットケア(リフレクソロジー)には、助産師が助産の為に必要な情報を会話する為にも使われている時間であるとデニスは続けています。
私は助産師ではありませんが、私も、ケア≠リラクゼーションであり、触れる事に非言語コミュニケーションとしての意味があり、また、言語によるコミュニケーションを補完するものであると思っているので、そこには同意できました。
言葉にするのは難しい感情もあり、必ずしも会話になるわけではないのですが、意識がスマホに向いていると、非言語コミュニケーションもうまくいきません。文字通り『身を委ねる』意識があってこそ、アロマテラピーの施術は、身体、感情、精神、魂をホリスティックにトリートメントできる療法なのです。
また、デニスは、こうも理論として加えています。
つまり、相モデルであると言うことは、共に学習する施術者への敬意を評する意味でも、携帯電話に意識が向いていることは失礼にあたる。
しかし、それだけではなく、携帯電話はホルモンを妨げる熱源で、ズボンのポケットに携帯電話を持っている男性は、陰嚢の近くの一定の熱が精子の生産を妨げるため、生殖能力を低下させる可能性があることが証明されている。同様に、この熱はストレスホルモン、コルチゾールを悪化させ、内部ストレスレベルを増加させる。ストレスが妊娠中の障害となり、早産または陣痛の開始の遅れを引き起こす可能性があることを考えると、妊娠中は、少なくともストレスを低減させる為のマッサージを受ける間は奨励されるべきではない。
そして、妊娠中に補完療法が提供される時、施術者は産科医と協力して働く必要があることを理解されるべきで、これには、水分摂取量を増やし、コーヒーやアルコールなどの毒素を避けるなど、アフターケアのアドバイスに同意することも含まれる。つまり、携帯電話を置くことを拒否する人は、例えば、ホメオパシーは、携帯電話、テレビ、電子レンジからの熱によって不活性化されるなどの理論上、その治療法を受けることができないことを知るべきである。そして、(デニスのもとで学んでいる)その助産師にとって、学んでいる補完療法と、それを受ける経験が、その学習にどのように貢献できるかを理解する必要がある。
全くもって、同意だと思ったのです。
しかし、この投稿への反論者は『Consider that some midwives are neurodivergent.』と、論じ始めました。もちろんこの記事に対しては、『You have missed the point here.』とデニスの言う通りだと、私も思います。
しかし、同時に英国では発達凸凹でも助産師になれると言う事ですね?と言いたくもなりました。まぁ、発達凸凹の凸凸だったら学問的に問題なく、社会的なというか、性格に難ありくらいで、その職業につくこともあるのかもしれないと思いますが、本当に真のダイバーシティが実現してるのならば、一考すべき事柄になるのだろうね。と、問題提起された気持ちでした。
妊産婦ケアを受ける妊婦が、どのような背景を持っているかを、瞬時に知ることはできない。と言う事です。
そうは言っても、限られた時間の中で言語と非言語を駆使してコミュニケーションをとっていくことは、アロマセラピストの本懐です。
一度や二度で無二の親友の領域に達せるなどとは、おこがましくも思っていません。努力はしますが『出来る!』『出来た!』と驕ることはありません。
ずっと『あとちょっと』と無限に続くのだと思います。
タッチケアがいかに脳神経の発達に有用であるかと言うことは、マイアミのタッチリサーチ研究所を皮切りに、世界中で多くの方が研究し、立証してきています。アロマテラピーは、嗅覚のメカニズムがようやく、2004年にノーベル医学生理学賞を受賞したレベルで未開の地でしたので、芳香成分の薬理作用が嗅覚からどのようなバイオアベイラビリティを受けるのか『知られていなかった』と言っても過言ではないでしょう。
だからこそ、まだまだ、アロマテラピーは学問として未発達であり、多くのリサーチを必要としているので、日進月歩で学ぶ必要があるのです。
しかし、実践する相手はヒトです。薬学的、学問的にアロマテラピーを学ぶ一方で、臨床の場で相対するのはヒトです。
ヒトは十人十色、百人百葉。
日本の産科でも、さまざま迷信や呪いをかけられた妊婦さんがいたり、妊娠期をエンジョイしすぎて、人生の一大イベントである出産を録画しようと、医師や助産師の職務の邪魔になる程、はしゃがれる人もいるとも聞きます。
出産は妊婦が一人で行なっているわけではなく、それこそ胎児との共同作業であり、それを産科医や助産師が補助しているものと考えて良いと思います。
子供との初めての共同作業。妊婦の思惑通りに事が進むとは限りません。
本来、十月十日(英語ではナインマンス)親子の非言語コミュニケーションは行われていたと思います。分娩もまた、胎児の意思もある!だからお母さんの思う通りにならない最初の日だと思います。
自分か自分以外か、自分以外の意思を尊重しつつ、敬意を払いつつ、理論上、その方が良いと思う『最善の提案』をしていけるように、ひとりひとりに『あなたにとって最善と思われる提案』を模索できるアロマセラピストであるように、永遠に修行します。
そんな、掲載された記事から考えさせられた話でした。
フォロー&いいね、コメントなどで応援してくだれば、気が向いて、仕事と研究の合間に、研究成果を書いていくと思います。
ただ、ヒトミシリーなので、気軽にお返事はできないかもしれません。
あらかじめご了承ください。