安倍内閣の長期政権の理由と野党の対策
安倍首相の在任日数が、ついに歴代最長となりました。
安倍首相 在任期間歴代最長 通算2887日に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191120/k10012183471000.html
安倍総理大臣の在任期間は20日で通算2887日で、桂太郎元総理大臣を抜いて憲政史上最長となりました。
理由・原因は色々あると思います。直前の民主党政権(鳩山・菅・野田)時代の混乱や不満に対するカウンターがあったとことか、北朝鮮情勢の緊迫、韓国や中国との外交姿勢、失業率の改善、トランプ大統領との関係性などなど。
しかし、安倍内閣の支持率世論調査において、一番多い支持理由が「他に代わりがいない」というものである以上、あまり盤石の政権とも言えない状況です。
安倍内閣支持率、4ポイント増の48% 時事世論調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111500811&g=pol
内閣支持の理由(複数回答)は「他に適当な人がいない」23.0%、「リーダーシップがある」13.1%など。
内閣批判の手法がもはや陳腐化してしまい世間に呼びかける影響力を失っている野党が力不足なのは確かにそうなのですが、それだけではなく自民党内に取って代わる人がいない、ということでもあります。
その一つの理由としては、今の自民党にはかつてのような派閥が存在していないことがあるはずです。勉強会や研究会の名前で派閥っぽいものは存在しますが、昔は勉強会とは言っても事実上の派閥であり、複数の派閥を兼ねて入っていたり簡単に移動することが難しかったのですが、今は結構ゆるい組織になっているようです。
かつての派閥は、その派閥の大将を総理にするために団結や結束を求められていました。時代の移り変わりもあるのでしょうけれど、今はそれほど派閥の締め付けも無く、総裁ー幹事長のラインの影響も大きいみたいです。結局は議員も選挙に勝つことが必要であり、大半の自民党議員にとっては国政選挙では負けない安倍内閣を支持する理由となるでしょう。
自民党内の派閥抗争が最も激しかった1970年代では、佐藤内閣の次の田中内閣からは1,2年程度でコロコロと総理(及び自民党総裁)が代わっていました。田中→三木→福田→大平→鈴木と続き中曽根内閣が5年持ったところで短期政権の連続は途切れましたが、その後はまた竹下→宇野→海部→宮澤と比較的短期の政権が続いたところで自民党から大量の離脱者が出て細川政権が誕生したという歴史があります。
かつては派閥抗争によって総理が代わっても自民党が政権を維持できていたのですが、今の時代は総理が代わると政権も失うかも知れない、という危機感が安倍内閣の自民党内の支持をもたらしていると思います。
中選挙区から小選挙区に代わったことも派閥の長より幹事長の影響力が強くなった理由にはなるでしょうけれど、それを強引に実行したのが今は野党にいる小沢一郎だったというのも皮肉な話です。
安倍内閣が三選で終わるのか四選を目指すのか、おそらく直前までは分からない状況が続くと思いますが、レームダック化をどうやって避けるか、というところも問題です。桜を見る会のスキャンダルも政権転覆に至るほどのインパクトは無いと思いますが、さらに他の問題も出てきたりしたら支持率も下がってボロボロになるかも知れません。ボロボロになって政権が崩壊する前、あるいは東京オリンピック終了後にサッと辞任する可能性もあるのではないかと思います。
そこで終わり、というわけではなく、再々登板という含みを残して、次の政権が上手くやれなければ三度、首相の座に就くこともあり得るのではないでしょうか。少なくとも、年齢を考えればおかしくはありません。
そんなことを部外者が妄想していても、結局は選挙で負けない限りは辞めることもないでしょう。衆院選は遅くとも2年後の2021年にはあるはずですが、その前に解散総選挙に打って出ることもあり得ますが、改憲のためには参院での議席確保も必要です。それを考えると四選を行って2022年の参院選までやる可能性もあり得ますが・・・。
ともかく、野党・反安倍陣営は安倍総理本人をどれだけ叩いても政権は崩壊しないことを自覚した方がいいと思います。安倍政権の権力の源泉は自民党議員を勝たせる国政選挙での強さであり、選挙や内部抗争で議席数が減らない限りは政権は続きます。そしてその負けない政権を国民が支持し続けるという循環が出来上がっています。そこにくさびを打ち込む戦略が必要なのですが、むしろ野党が分裂したり議席を食い合ったりしている現状では何も変わらないんでしょうね。