TikTok禁止法は今の日本じゃ難しい
TikTok禁止法がアメリカのモンタナ州で成立しました。
バイトダンス社もユーザーも反発して裁判になるでしょうから、どこまでこの法律が有効なものになるか知りませんけれど、州ごとに州法が存在する連邦制の国家ならではの事象だと思います。
日本の地方自治体では独自に条例を作ることは出来ますが、あくまで法律の範囲内という制限があります。法律と同じ事柄に関して、法律より厳しい規制を課す上乗せ条例や、規制対象を広げる横出し条例といったものもありますが、法律そのものが無ければ不可能です。
こういう比較をすると、アメリカと日本では法律(&条例)によって社会に影響を及ぼせる範囲や基準、あるいはスピードに差があるのは当然だと思えてしまいます。
アメリカには急進的な州も、逆に保守的な州もあります。それぞれの州で何か良くも悪くも画期的な法律が制定され、そしてそれが重要かつ効果があれば他州にも広げたり連邦法として国家全体に普及させることも出来ますし、逆にその法律がダメなら、最初に制定した州だけに留めることで、他州や国家そのものへの悪影響を出さないことが出来ます。
いわば、法律のテストが出来るのに対し、日本では自治体の条例は新規の事柄で法律の範囲を超えた制限は出来ません。一応、法律が規制していないところを条例で規制することはあり得るものの、今回のケースで言うと、日本の地方自治体がTikTok禁止条例を制定することは不可能でしょう。やったとしても、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例(いわゆるゲーム禁止条例)のように、罰則を設けずに個人レベルでのルールを促す程度のものだけです。
日本はとかく、新しいものごとに対して法律が追いついていないと批判されがちですが、地方レベルで勝手に法律を作ってテスト出来るアメリカやドイツなどの連邦制国家と比べて「遅い」というのは、ちょっとアンフェアな気もします。もちろん、現実の日本の国会議員や官僚の対策が遅くないと擁護するつもりもありませんけれど。