ブライダル利権・風力発電利権に代表される利益誘導型政治
ちょっと前にブライダル補助金に関する自民党の利権に関して批判が話題になっていました。あっという間に騒ぎが沈静化しましたが、これよりはるかに大きな疑惑であった洋上風力発電事業を巡る秋本議員の汚職事件の方が取り上げられたからとも言えるでしょう。
ブライダル利権にしろ風力発電事業にしろ、自民党が特定業界に利益誘導を行うのはいつものことです。だからといって許されるわけではないのですが、この構図は自由民主党結成よりはるか昔の戦前から続いているものであり、日本社会の根源的なところに理由があると考えるべきでしょう。
そもそも利権誘導する理由の一つは、巨額のキックバックが個人の政治家レベルでも、派閥や党レベルでもあるからですが、それ以外にも特定業界に利益をもたらすと、選挙時にその業界からの支援が得られるのも理由になるでしょう。選挙資金のみならず、人的支援も【無償で】得られます。
選挙支援のスタッフに「報酬」を支払うのは駄目ですから、「無償」で働いてくれる人に協力してもらわなければなりません。だからこそ、公明党との連立を四半世紀も続けていますし、統一協会との繋がりもありました。
組織票にしろ選挙協力にしろ選挙資金にしろ、アメリカの選挙ならロビイストが札束で殴り合う様子を公開で見せてくれますが、日本ではほとんど全てが隠されています。
特定の業界を潤すといっても、その「特定」が不正の横行する国家なら多くても国民の1%くらいでしょうけれど、自民党の場合は10%~20%くらいはありそうです。だからこそ戦後のほとんどの期間で国政を掌握してきました。
自民党の利権誘導の恩恵を受けている人とその家族、それと自民党の思想的支持層を考えると固定的に国民の25%はあるはずです。国政選挙の投票率が50%超ですので、この時点で過半数に迫っています。
田中角栄が言ったと言われる、「8分の1理論」では、国会で過半数を獲っている自民党の内、最大派閥になるにはその半分を自派閥に取り込めば良くて、さらにその派閥内で権力を握るにはその半分、つまり国会議員の8分の1を抱えていれば良い、ということでした。
選挙の得票においても、自民党が投票者(有権者ではなく)の半分を得て、さらにそのうちの半分を利益誘導業界で抱えていれば自民党の方向性を握れます。これで言うと4分の1になりますが、自民党のすることを盲目的に信奉する人もいますし、野党が駄目だから消極的に自民党に入れる人もいますので、4分の1よりも少なくても現状の利益誘導型政治を続けていけるでしょう。
これを打破するには、選挙の投票率を上げるしかないのですが、現在の野党にはその気概も迫力も無さそうです。共産党はそもそも自党内の反対勢力を問答無用で潰していて新規党員など増えそうにありません。立憲民主党は共産党の悪いところと旧民主党の悪いところの寄せ集めみたいになっていますし、国民民主党は維新との保守二番手争いしか出来ません。維新は大阪万博が終わってもIRが出来上がるまでは自民と本格的に対立することは無いでしょう。れいわ? 左派ポピュリズムが政権握れば国家が破綻します。
今後もしばらくは自民党による利権誘導型政治が続くでしょうね。
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