選挙に負けても替わらないなら何も変わらない

安倍政権が正当か、あるいは打倒すべきかは人によって考えが異なるでしょうけれど、本当に打倒するのであれば国政選挙で勝つしかありません。衆院選挙で自公政権が過半数を取れなければ、野党が政権を例え取れなくても安倍内閣は崩壊するでしょう。次の総理総裁が誰になるにしても、ひとまずはそれが野党側・反安倍側の勝利と言えるはずです。

逆に言うと、選挙でそうならなければ野党側の敗北です。例え野党のどれかが議席数を増やしたとしても、それは他の野党の議席が移動しただけです。それでは何も変わりません。

一つ不思議なのは、自民党は過去の歴史上、選挙で過半数を切るとたいていは総裁が替わりました。替わらないと内部から猛烈な反発が起きました。特に派閥抗争が激しかった時代では毎日自民党内の抗争がトップニュースになるほどで、選挙戦だけではなく自民党内の戦いも熾烈なものでした。

選挙に負けたら総裁が替わる、と言うのが自民党なのですが、他の野党はどうでしょうか?

国政選挙で議席が増えない、あるいは政権を倒せなくてもほとんどの幹部、執行部は替わりません。かつての民主党は選挙選での敗北を理由に代表が替わったこともありましたが、今存在している野党はどうでしょうか? 選挙で負けているのに執行部やトップが替わらなければ、その政党の支持者はどう思うでしょうか?

自公政権を倒せないのに上が替わらずあれこれ言い訳している政党の支持が広がるわけがありません。執行部総入れ替えする覚悟で選挙戦を戦わないと、結局替わらないでしょ、という諦観が支持者内で広がりかねません。というか、既に広がっているのではないかと思ってしまいます。

熱烈な支持者はその政党の執行部がどんな判断を下しても盲目的に支持してくれるかも知れませんが、そういう存在が本当に政党にとってプラスになるのかどうかも疑問です。内部批判がなければ緊張感も向上心も自浄作用も起こらないでしょう。かつての極左組織の内ゲバ抗争のトラウマでも残っているのかも知れませんが、正当かつ平穏な批判はどんな組織にも必要です。

常にその政党を支持してくれる固定層は重要ですが、その固定層の数が少ないから選挙に勝てていないのです。そうなると、他のところから投票してくれる人を引っ張ってこないといけません。それがいわゆる浮動票です。

浮動票とは、常にどこかの政党を支持しているわけではない有権者の票のことで、政治への関心が低下している象徴のように言われますが、果たしてそうでしょうか? 特定の政党を支持している人が、その政党がどんなことをしても支持し続ける方が無関心と言えないでしょうか?

政党を選ぶのに、選挙ごとに乗り換える人がいてこそ政治にダイナミズムが生まれるはずです。そしてその浮動票を得てこそ新しい政治を作っていけるはずです。野党が本当に安倍政権を倒したいなら、固定層を抱えているだけではなく、浮動票にアピールできないと議席は増やせませんし、そのためには選挙で勝てなければ辞める!という覚悟が野党幹部にも必要ではないでしょうか。

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