著作権を認めない自由と引き換えのリスク
著作権を侵害するウェブサイト・ウェブサービスは浜砂の真砂よりも尽きません。
それらを運営している側にも、利用している側にも様々な言い分や言い訳があるのでしょうけれど、運営している側のほぼ確実な理由は売上・利益のためです。非正規に取得したデータを公開することで金儲けをしています。
中には、純粋に著作権・版権という概念自体に反対する信念に基づいているサービスもありますが、理念だけではサーバの運用は出来ません。サービスを運営するための経費はどこかで賄う必要があります。費用のためにサービス利用者に等しく利用料を課金しようとしても、そもそもそんなサービスを使う人が利用料を払うわけがありません。利用者側がさらに抜け道を探して無料で何とか利用しようとすることもあり得ます。非正規サービスの運営側と利用側の間で信頼関係は築けないでしょう。
結局はウェブサイトやアプリなどに広告を載せることになりますが、広告が少なければ立ち行かず、多ければ利用者に嫌がられて他のサイトに逃げられます。
一方の利用する側はどうでしょうか。お金が無いとか、正規料金を払ってまでは視聴するものではないと思っているとか、あるいは視聴して気に入ったものは買っているといった正当化しづらい摩訶不思議な理由はあるでしょう。
ただ、あまり考えられていないのだと思いますが、そういった非正規・非合法のサービス経由で鑑賞する著作物は、中身の同一性が担保されていません。もしも改変されていたとしても分かりません。小説・漫画・アニメ・ドラマ・音楽など一部または全部を勝手に改変るのは困難ですが不可能ではありません。もしかすると改変(おそらくは大半の場合は改悪)されているかも知れない著作物を視聴して、良い悪い・面白い面白くないという判断を下しているのかも知れないのです。
そうなるとその著作物を体験した結果の感想で気に入ったものは買うというのもおかしな話です。本当のものかどうか分からない状態での感想に果たして価値はあるでしょうか?
さらに言うと、非正規・非合法のサービスですので当然ながら運営側の倫理観・遵法意識は期待できません。
そのサービスを利用する際に、利用者側のデバイスにコンピュータウイルスやスパイウェア、ランサムウェア、ボットなどを仕込まれるかも知れません。そういった違法な行為によってブラックなお金を運営側が稼いで、サービス費用を賄っているとしたらさらに闇が深くなります。
単に利用者が個人情報を悪用されたり、銀行口座やクレジットカードの被害に遭うのであれば、その人の自己責任の被害のみに留まりますが、そのデバイスを悪用されてDDos攻撃などに利用され、政府機関から国家機密を抜き取るような使われ方をしてしまうと、もしかしたら逮捕される可能性だってあります。
そういった非正規・非合法のサービスを利用するということは、本当に利用したい著作物なのかどうかも確信が持てず、さらに個人の被害のみならずとんでもない事件に利用されるかも知れないリスクを覚悟した上でのことになります。
それこそネットリテラシー・ウェブリテラシーですが、多分、法律の制定や罰則の強化だけでなく、こういったことを啓発していかないとダメでしょうね。