見出し画像

文系人間・理系人間を無くすために

世の中には人間を文系と理系に分けて区別しがちな人がいるのは確かです。これは他人の区別だけではなくて、「自分は理系(文系)の人間だから」といって自分のことをどちらかに区別して説明してしまう人も結構いると思います。

しかし、当然ながら人間は文系と理系のどちらかに分かれて生まれてくるわけではありません。文系理系という分け方は、ただ単に大学入試の際の科目や難易度に差を付けるために便宜的に分けている区別に過ぎません。

文系と理系で人間を二分するような思い込みは無くすべきですが、大学入試で分けられていることが大きな影響を与えているのであれば、以下のような改革案が出てくるのも宜なるかなと思います。

文系・理系に偏った大学入試の改革を、教育再生会議提言
https://univ-journal.jp/26013/
 提言によると、大きく社会が変化しつつある現代は文理両方を学ぶ人材の育成が急務だとして文系か理系のいずれかに偏った現在の大学入試制度を改革するよう求めた。政府には入試改革を実行する大学に対し、積極的な支援を求めている。

国公立大学のほとんどは現時点で大学入試センター試験で英語・数学・国語・社会・理科の5教科受験を義務づけていることもあり、一応は高校でも5教科全てを勉強しているのが大半だと思いますが、実際に自分が受験する大学・学部で必要とされていない教科があるのであれば、その教科に力を入れて勉強しなくなるのも当然でしょう。

文系と理系に二分しないような意識や学問を身につけるための一つの方法としては、全ての大学受験において、文系理系に分けない教科設定にしてしまえばいい話です。
英語は文系だろうと理系だろうと必須になっている入試がほとんどだと思いますが、文系(国語社会)・理系(数学理科)を分けず、それこそ理学部数学科を受験する人間でも必ず古文や世界史を受験しないといけないとか、文学部サンスクリット語専攻であっても数学2Bも物理も受験しないといけない、という仕組みにしてしまえば、片方に凝り固まった「文系人間」「理系人間」は減るはずです。

もう一つの方法としては、大学に入ってから副専攻を選択する制度を義務づけ、さらにその副専攻の分野は主専攻の文系理系と逆の方を選ばないと行けないものとする、というものです。例えば法学部の学生なら副専攻は理系の学問を、工学部なら副専攻では文系の学問を選ばないといけない、とすれば多様な考え方を身につけられるのではないでしょうか。

副専攻制度を設けている大学は日本でも結構増えてきましたが、こんなふうな文系・理系で必ず逆の方を選ぶ必要がある大学はあまりないのではないでしょうか。当然ながら、そもそも単科大学や学部数が少ない大学では不可能なケースもあると思いますが、その場合は近隣の大学と提携するとか、ネットを使った遠隔講義でカバーするといった方法もあり得るでしょう。

副専攻制度を義務づけることで主専攻の研究がおろそかになってしまう、という指摘が出てくるかも知れません。しかし大半の学生にとっては研究のために大学に行くのではなく就職のために大学に行っているのですから、将来的に文理両方の考え方を身につけた方が学生にも社会にも役立つのではないでしょうか。

そもそも長期化する就職活動によって3年次にあまり大学に行かないようになっている現在の在り方の方が問題でしょう。就職活動に要する時間を減らす方策をまず立ててこその「教育再生」であるはずです。

いいなと思ったら応援しよう!