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【海外HR事情】歩きながら話しましょう~交渉結果はどう変わるか

同じ性別の者同士でペアを組み、リクルーター役と就職希望者役に扮して30分間、仕事内容や報酬について交渉する。その際、半分のペアは部屋の中で机に向かい合って座り、もう半分のペアは屋外を散歩をしながら交渉する。スタンフォード大学のマーガレット・ニール教授が実施した160人参加の実験である。

結果、散歩をしながら交渉したペアのほうが、相手に好意を抱きやすいこと、また特に女性ペアの場合、交渉結果がより公平で好ましいものとなることが明らかになった。

「散歩をすることで、交渉に対するネガティブな気持ちが薄まった。これは特に、交渉で不平等な立場に置かれる女性にとっては大切なことなのです」とニール教授は語っている。

女性の場合、交渉で強く主張しすぎると損をしてしまうことが多い。しかし、ほんの小さな環境の変更で、女性の交渉経験は大きく変わりうるという。部屋の中で交渉であっても、相手が同じ種類の椅子に座っているか、違う高さの椅子に座っているかで、交渉の印象も結果も違ってくるのだ。

他方で男性については、散歩しながらの交渉で、部屋で向かい合って座るよりも必ずしも、より公平な交渉結果が得られず、交渉過程自体にもネガティブな印象を抱く傾向があった。理由は定かではないが、ニールは「男性はこの実験そのものを競争だと考えたのではないか」と考えている。

散歩も交渉も、共通の目的に向かって、相手と歩調を合わせながらすすんでいく、という点では同じだ。従来、交渉は「勝ち負け」の世界であると考えられてきた。しかし勝ち負けでは、どちらか一方が総取りをするだけのことで、新たな価値は生まれてこない。交渉を勝ち負けではなく、「共同で行う問題解決」なのだと見方を変えること、つまりリフレームすることが、交渉を劇的に変える。
「できる交渉者とは、交渉相手を合意へと向かう散歩に自主的に参加させることができる人のことなのです」とニール教授は語っている。



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