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【ISO30414に対する考え】#8各数値から見た企業価値への貢献
最終更新日:2024年4月26日
今までは、具体的な各数値を見てきました。今回はその数値をどのように活用すると効果的なのかを見ていきます。
企業に経営戦略がない場合や、経営戦略に独自性がない場合には、人的資本情報を参考にして改革を検討することがあります。
その活用軸は基本的に「企業価値の増大」になるはずです。そのための改革の方向性は大きく2つに分かれます。「より良い経営」を目指すか、「良くない状況を改善」するかです。
「より良い経営」を目指すためには、今の状況を生み出している強みを伸ばすことが重要です。
「良くない状況を改善」するためには、今の弱みを改善します。まずは、今がどういう状態なのかを把握しなくてはいけません。その基準として過去の自社の状況と比較することも大切です。できれば客観的な比較対象がある方が望ましいでしょう。そこで可能な範囲で、業界平均などの数値を集めることをお勧めします。
業界平均などの数値を得やすいものとして、以下のKPIがあります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査データは、無料でダウンロードできるのでお勧めです。
コスト:平均年収、一人あたり平均採用コスト、対売上高人件費率
⇒厚生労働省の賃金構造基本統計調査や同業上場企業の有価証券報告書を調査することなどで取得可能
多様性:男女比率、年齢比率
⇒厚生労働省の賃金構造基本統計調査から推計可能。経済系出版社が収集した情報を開示している場合もあり
リーダーシップ:管理監督者比率
⇒推計値として獲得可能
健康経営:(疾病理由)休職者比率
⇒経済系出版社や労働政策研究・研修機構データなどから全体数値を獲得可能
採用・移動・退職:新卒採用者数、中途採用者数
⇒競合他社のホームページからの入手が可能
スキル・組織力:有資格者数(対全社員比率などで確認)⇒同上
労働力確保状況:正社員数、パートアルバイト人数⇒同上
非上場企業は、自社と同規模企業の数値を集めることが難しい場合があります。それでも、同業での上場企業数値を確認し、それらを目指して変革を進めることが有効です。
セレクションアンドバリエーション株式会社
参考文献
「ISO 30414:2018
Human resource management — Guidelines for internal and external human capital reporting」(International Organization for Standardization、2018)
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