世界初のiPS細胞を使った心筋シードの実用化を目指す!【クオリプス株式会社】
最終更新日:2024/4/5
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
2017年8月28日 第一三共から1億円の資金を調達
2018年7月20日 第一三共、京都イノベーションキャピタル、テルモから総額約10億円の資金を調達
2020年12月18日 ステムセル研究所、ダイダン、テルモ、京都大学イノベーションキャピタル、大幸薬品、朝日インテックから総額約20億円の資金を調達
2021年3月16日 JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、ジャフコグループ、セルソース、富士フイルム、日本ベンチャーキャピタルから16億円の資金を調達
2021年10月31日 3000万円(出資元不明)
⇒累計資金調達額49.1億円調達
一度目の資金調達は株式引受であり、第一三共の持分比率が大きいと考えられる。
企業概要
事業概要
世界初のIPS細胞を使った心筋細胞シートを始め、各種細胞製品の製造や実用化を目指している。2022年度に実用化予定している。
ビジネスモデル図解
クオリプスのビジネスモデルを把握することは難しかったため、経済産業省の『バイオベンチャーのビジネスモデルと資金調達のあり方』に記されているビジネスモデル分類のうちの創薬基盤技術型バイオベンチャーのビジネスモデルを作成した。
事業における強み
▼テクノロジー
・ヒトiPS細胞の安定的な未分化継代培養
・ヒトiPS細胞の分化誘導、分化細胞作製(特に、心筋細胞)
・ヒトiPS細胞由来心筋細胞の高純度精製と未分化細胞除去
・ヒトiPS細胞および分化細胞の分析、特性評価解析法
▼パートナーシップ
大阪大学のiPS細胞由来心筋細胞シートに係る研究成果、ならびに第一三共株式会社が保有する医薬品の商業化に関する様々なノウハウやiPS細胞由来心筋細胞の作製ノウハウを活用し、大学との共同研究、および第一三共をはじめとするパートナー企業とのアライアンスを通じ、iPS細胞由来心筋細胞シートの実用化を目指している。
大学・研究機関:大阪大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科学
企業:第一三共株式会社 テルモ株式会社 三菱商事株式会社
想定用途・市場規模
心筋細胞シートをはじめとする各種細胞製品
【市場全体のトレンド】
(参照『PR TIMESによるKenneth Researchのレポート発表の記事より抜粋』)
北米は2018年に世界の心不全薬市場をリードし、ヨーロッパがそれに続く。
米国は、この地域には心不全治療薬メーカーの大多数の存在により、市場を支配している。
しかし、大規模な心不全患者集団の存在と幅広い薬剤の入手可能性により、最も速い成長率はAPAC地域であると予想されている。
U.S. Centers for Medicare&Medicaid Servicesによると、米国のヘルスケア業界の総支出は、2027年末までに約6兆米ドルに達すると予想されている。このような要因を背景に、市場は今後数年間で大幅な成長を観察すると予測されている。
【ベンチマークとなる企業】
・iHeart Japan株式会社
・マリオリッジ
・メガカリオン
マネタイズに関して
【事業全体の収益性に関して】
・キャッシュポイントの額と頻度
現在は研究開発を行っている段階であり、売上は立っていないと考えられる
【固定費】
人件費、研究開発費
【変動費】
不明
経営層
代表取締役社長 最高経営責任者:草薙 尊之
取締役副社長 最高執行責任者:井上 学
取締役(非常勤)最高技術責任者:澤 芳樹
取締役 最高財務責任者:小林 太一
社外取締役:大谷 哲平
社外取締役:島崎 亮平
常勤監査役:住吉 透
監査役:山本 光太郎
監査役:阿部 慎史
スキルマトリクス
バイオベンチャー企業であるが、財務・会計、企業経営経験者が充実している特徴がある。製薬という不確実性の高いビジネス領域に挑戦しているが、豊富な経営的素養を持つ役員により、資本市場を意識した企業価値向上が期待される役員構成であるといえる。
理念など
社名の由来
CUORIPS = CUORE(心臓(イタリア語))+iPS(人口多能性幹細胞)理念
新たな医療の提供により、世界中の患者さんに貢献し、患者さんとその家族のこころを動かすことを目指す。
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:記載なし
・媒体 :自社HP
・採用職種 :【再生医療・細胞医薬品】製造スタッフ、品質管理スタッフ
【等級・配置】
記載なし
【評価制度】
記載なし
【報酬】
製造スタッフ・品質管理スタッフのみ:250万円~400万円
【教育】
記載なし
インターン生による考察
ガバナンスに関して
現在の代表取締役は2020年8月から、他の取締役・監査役は同年12月以降から務めている。これは前任の方々が創業5年以内で退任されているということになるが、公開情報には原因は記されていなかった。新しい役員層の経歴を見ると、銀行や財務系の方々が多かったが、バイオベンチャーは技術者が多く参画している印象を持っていたため、非常に興味深い事実であった。
また、現社外取締役の大平氏と前任の村上氏がそれぞれ、第一三共経営企画部長、経営推進部長と、第一三共との関係性の強い会社であるということがわかる。
第一三共からの出資額が大きいことも影響していると推測するが、ガバナンス配置の意図については不透明である。
仮に、IPOやプライム市場を目指すなど、規模を拡大していくとするならば、より多様性に富んだ経営陣が求められるであろうと考える。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査記入:SHO
さいごに
スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら↓
弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから↓
【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。