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上場企業の人事施策まとめてみた#0002 楽天グループ

こんにちは。だいぶ間が空いてしまいましたが、今回は楽天グループです。統合報告書・女性の活躍推進企業データベースをもとに人事施策をまとめてみました。

社員の採用、育成、定着を柱として、人材マネジメントを捉えており、加えてダイバーシティ・インクルージョン、健康についてふれています。

一方で、女性の活躍推進企業データベースにおける情報開示は非常に少なかったと言わざるを得ません。詳細は後述しますが、管理職割合・賃金差異・育休取得率のみ掲載されており、具体的な数字での開示項目の充実が求められています。

①楽天グループの概要

楽天グループは、Eコマース、フィンテック、モバイルサービスを中心とした多岐にわたる事業を展開しています。主な事業内容は、楽天市場や楽天トラベルなどのインターネットサービス、楽天カード、楽天銀行、楽天証券などの金融サービス、そして楽天モバイルの通信サービスです。売上構成は、インターネットサービスが最も大きく、フィンテックが続きます。

最近はX(Twitter)で楽天社員が目立ちますね。
モバイルが火の車で、全体の収益をひっぱっているので、そこをなんとかしたいがためにXをやっているのをみると、涙が止まりません。

②統合報告書

サステナビリティ戦略のところに記載されていますが、「採用」、「育成」、「定着」の3つを柱とした「Back to Basics Project」を2017年より実施し、「勝てる人材、勝てるチームを作る」という目標のもと、組織基盤作りに取り組んでいるとしています。
それぞれ、順に説明していきます。

楽天グループ「コーポレートレポート 2022」

採用

求職者との効果的なコミュニケーションを重視し、オンライン・オフラインでの採用活動を展開しています。
多様な職種とインターンシッププログラムを提供し、社員紹介プログラムや採用イベントも実施しています。
「Rakuten Career Conference」に約2,800人が参加したこと、LinkedInの「今、働きたい会社」2022年版で高い評価をもらったことを成果変数としてあげています。

育成

「学び続ける組織」を目指し、従業員の継続的な成長をサポートするための研修制度を導入しています。幅広い研修で、キャリア開発を後押ししています。さらに、組織コミュニケーションの強化のために、1on1ミーティングを導入しています。満足度は90%以上だそうです。

楽天グループ「コーポレートレポート 2022」

定着

多様なキャリアの選択肢が増えたこと、働き方改革といった社会的変化に伴い、個人の労働観が大きく変化しているとしています。
このような社会的情勢のもと、キャリアアップのための前向きなチャレンジを奨励するために、公平で適切な報酬と福利厚生、柔軟なワークスタイルを整備しており、5年間で離職率を1.7pt減少させているとしています。

いまいち何いっているかわからなかったので、追加で調べてみました。どうやらクリムゾンハウスというのがあり、ジムや無料の社食を提供しているそうです。うらやましい。他にもフレックスタイム制などで、柔軟な働き方を進めています。
(こういったことを統合報告書に記載し、アピールすればいいのに…)

ダイバーシティ・インクルージョン

全ての人に機会を提供する文化を醸成しているとしており、誰もが能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めていると伝えています。

グローバル展開の中で、英語を公用語としたことを背景に、人材確保が進んだことを伝えています。
ここは具体的な数字が開示されており、一押しポイントなのかもしれません。

健康

従業員の健康とウェルビーイングを重視し、身体(Body)、心(Mind)、社会(Social)、経済(Financial)の4つの側面で総合的な健康管理を行うことで、健康増進や、働き続けられる組織風土づくりを目指しています。
効果測定もきちんとしており、2022年の評価指標として、アブセンティーズム(欠勤日数)は2.86日、プレゼンティーズム(出勤率)は82.08%、総合従業員体験(TEX)は3.75/5でした。

③女性の活躍推進企業データベース

ここからは、女性の活躍推進企業データベースに記載されている数値をみてみましょう。働きがいに関する実績については(も、)かなり開示されていません。ひとつだけみえるのが、管理職割合です。
高いは高いので、他の数字もネガティブな数字ではないはずなのですが、ここは重要視していないのでしょうか。

次に、賃金格差についてです。これはかなりまともな数字であり、正規雇用労働者をみると、他企業と比較した時、ほとんど差がありません。
ただ、注釈説明になにもないのが気になります。楽天はこの数字をどうとらえているのか、詳しく知れればさらにいいのですが、対話できていません。

最後に、働きやすさに関する実績です。育休取得率だけ掲載されております。これもめちゃくちゃ悪い数字ではないのですが、日数がみれないのが気になります。まだまともなのですが、いかんせん他の数字がわからないとなんとも言えません。

④考察とまとめ

楽天グループの人材マネジメントは、「採用」、「育成」、「定着」を柱とし、多様性や健康管理を重視しています。サステナビリティ戦略の一環として、2017年から「Back to Basics Project」を実施し、組織基盤を強化しています。具体的な施策として、求職者との効果的なコミュニケーション、従業員の継続的な成長支援、公平な報酬と柔軟な働き方の提供などが挙げられます。

一方、女性の活躍推進企業データベースにおける情報開示は不十分で、管理職割合や賃金差異、育休取得率のみが公開されています。これらの数値自体は悪くないものの、さらなる詳細なデータの開示が求められます。例えば、女性の採用割合や各役職における男女比率、育休取得日数など、具体的な数値を公表することで、透明性を高めるとともに、企業の信頼性を向上させることができます。

総じて、楽天グループは人材マネジメントにおいて多くの優れた取り組みを行っているものの、情報開示の改善が今後の課題といえます。透明性の向上と具体的なデータの提供により、さらなる企業価値の向上が期待されます。

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