❶はじまり
3年半前の夏、営業の仕事をしている彼と客として出逢いました。何だか今までに感じたことのない感覚に戸惑いながら、いつしか打ち合わせの日が楽しみになっていました。
その日の打ち合わせが終わって、いつものようにどうでもいい話をしていましたが、話が聞いて欲しくなって、気がつくと自分のプライベートであった色々何ことを打ち明けていました。
「仕事でなく、人として今後もお付き合いさせていただきたいと思っています。だから僕でよかったらなんでも話してください。頑張る必要ありません」と言ってくれました。
「あっ お昼ですね。一緒にランチ行きませんか?…嘘です笑笑」
家に帰って彼にメッセージを送りました。
「お家に着きました。今日は話を聞いてくださりありがとうございました。恥ずかしい所をお見せしてしまいすみませんでした。追伸、ほんとはランチご一緒したかったです」
しばらく経ったバレンタイン前日、ちょっと高いボールペンとGODIVAのチョコを用意しました。
「ご迷惑とは思っていますが、たまには自分の気持ちに正直になりたいと思ってしまって。」
「迷惑なんかじゃありません。いつもと瞳が違ってたので、わかりました。」
1週間後の午前11時30分
「時間ができたらでいいので連絡ください」
嬉しいメッセージが届きました。
「どうしましたか」
「僕今日は休みだけど、仕事しに会社に来ています。お腹が空きました笑」
「私もお腹空きました。でも今から外回りで先方と13時の約束が…」
「残念…」
「残念…」
タイミング悪いなぁと思っていました。
「近くのコンビニの駐車場で待ってます!」
と返ってきました。わたしは返信することもせず、行ってきまーすと会社を飛び出しました。
コンビニの駐車場。白い車を見つけ私は車を彼の車の隣りに駐車しました。
中から手招きされ彼の車の助手席に座りました。
「今日、誰もいないオフィスで仕事してたら、急にあなたの顔が頭に浮かんで、どうしても逢いたくなったんです。すみません。時間大丈夫ですか?」
「15分有れば着くのでもう少し大丈夫です」
一緒にコンビニのおにぎりを食べました。
緊張してほとんど話もできないまま時間が過ぎて、私は取引先に出発する時間。
「…また逢ってもらえませんか?」
「僕も同じこと考えてました。また逢ってください」
わたしは彼の車から自分の車に乗り換えて出発しました。