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人事制度を設計するうえで抜けがちだと思うこと

こんばんは。株式会社HRize代表の岩見です。弊社はHR機能を丸投げできるサービスを提供している会社で私は「HRパートナーサービス」と呼んでいたりします。

HRizeの領域

私もスタートアップの人事マネージャーで2度人事制度を作りましたが、1度目はそこそこ失敗しました。

今日はHRizeなりの「人事制度ってなんだ?」を書いていきますので、もし人事制度を今から作る経営者の方や人事マネージャーに届けば幸いです。


1.すべては「持続的利益創出」につなげる

HRシステムの全体像

制度の話に入る前に、広義で人事というのは”人という側面からみた利益を生むシステム”だと思ってます。極論、会社はお金がないと社会への貢献も社員への貢献も何もできない。だから人事も、利益を生み出すシステムを必死に考えないといけないと思っています。

その考え方に則ると、制度をはじめ、採用や労務や育成など、各機能で構築される人事システムの中心には「持続的利益創出」というパーツがあるべきです。経営者や人事の皆さんと議論していると、皆さん頭のどこかで意識してはいるけども、知らない間に忘れられがちなパーツだなと思います。

すべては「持続的利益創出」を活動の発端とし、各機能においてその目的に基づいた意思決定が循環していき、最終的に利益に還元されていく。これが人事システムだと思います。

ただ、言うのは簡単ですが、やるのがめっちゃむずい・・・。今回は「継続的利益創出」に紐づく制度設計・運用にフォーカスを当て、かみ砕いて考えてみたいと思います。

この先、あれこれ書きますが
・設計→「継続的利益創出」のために、から思考がスタートしているか
・運用→「継続的利益創出」につながっているか、を確認&フィードバックできているか
が言いたいことです。先に書いておきます。

①利益→目標管理

【設計のポイント】
正直、これが一番難しいです。なぜなら利益を出し続ける会社全体のKGI・KPIを上手に置けなければ、うまく目標管理ができないからです。
そして「努力しているが上手に置けていない」がリアルだと思います。でもそんなもんだし、人事システム上の目標管理は会社のKGIやKPIをブラッシュするための要素集めくらいに思ったらいいと思います。
 ※だからこそ運用が大事

プロセスとしては、全社目標→部門目標→個別目標と落とし込んでいくプロセスに近いですが、盲目的に全社目標から細分化していくのではなく、各プロセスごとで常に「その目標は会社の持続的利益創出にどのくらい効くのか?」「その目標に人件費を投資することの投資対効果はどうなのか?」を考えると少し目線が変わると思っています。

例えば、よく目標を置くときに
定量:事業目標
定性:行動目標(バリュー目標)
でおいて、それらの割合どうするかという議論とかあるじゃないですか?
で、割合を50:50と置いたとして、そのことを皆さんはどう捉えますか?

こういう時こそ「バリューに50%の人件費を割いたとして、本当にそれが持続的利益創出に寄与するか?」を真剣に考えないといけないってことです。仮に20人の社員がいて、一人あたり50万円/月のお給料だとすると、20人×50万×50%=500万円の人件費を、毎月バリューのために投資しているわけです。


もちろんバリュー浸透や行動目標にも意味があるので、その手段そのものを否定しているわけではありません。大事なのは「今、その金額を投資することが、会社の継続的利益創出につながるのか?」それを問うことを忘れないでください、ということです。

【運用のポイント】
目標管理の運用における肝は、

  1. 利益創出を生み続ける指標を常に「可視化・計測可能」にしておくこと

  2. 目標管理と行き来して「目標設定が機能しているか自体を評価し続ける」こと

の2点だと思っています。

例えば、「全社成長120%/年から落とし込んで目標設定して、全社員の目標達成が100%した時に120%成長したんだっけ?」を振り返るのがすごく大事ですし、「全社員の目標達成の平均が90%ならどうなる?」をちゃんと仮説で持っておくことが大事です。

人事として、社員一人ひとりの達成率までは追うこともあっても、おそらく「その結果、全社成長は○%?」まで振り返る人事の方は多くはないのではないでしょうか。

いやはや、でもこのプロセスが一番ムズイです。そして、これを独力でやれたら凄腕CHROだなって感じっす。普通に経営管理の話だから。

②目標管理→評価

【設計のポイント】

「目標管理と評価は分けましょう!」
これにつきます。

よく「評価が半年単位だから、目標管理も半年!」みたいな決め方を見ます。でも目的が違うので分けましょう。

目標管理は上述の通り、あくまで「利益創出の観点を計測可能にしていくこと」が大事ですし、目標を課すことで「従業員に120%の力をだしてもらうこと」に目的があるわけです。そして、その結果頑張った人を評価する、というのが評価の目的です。

例えば、事業がめちゃくちゃ変化するときって、半年スパンで目標管理をしたとしても、結局形骸化するじゃないですか。そういう時は、別に律儀に半年に合わせる必要はなくて、1か月ごととかに目標をおいてもいいと思うんですよ。
で、目標1か月×6回分の達成度で半期の評価行いますとかでいいと思うんです。

本来これが目標管理と評価の在り方。
ただ、評価はぶっちゃけ回数少なくしたいですよね・・・。なぜなら評価の回数だけ、工数が増えていくから。

【運用のポイント】
個々の目標設定はしっかり追うべしです。全員レビューして全員にアドバイスするくらいの気概が必要です。人数が多ければ、心配な目標設定してる人をマネージャーにピックアップしてもらって、その人だけでもOKだと思います。
世の中自分だけで筋のよい目標を立てられない人がほとんどだと思った方がよいと思っています。なぜかというと、社員は日々業務に向き合っている中で、「持続的利益を出すためには?」の視点でずっと物事考えてないです。毎日目の前のことに必死なので。ずれて当然なんです。全員が常に持続的な利益創出のことを考えているなら、全員役員になれます。それくらい難しいし立場や役割とかもあったりすると思います。

③評価→報酬

【設計のポイント】

  1. 事業計画に見込まれている生産性向上と昇給率はちゃんとリンクさせましょう

  2. 人は昇給しないとモチべが下がります。現状維持は生産性低下ととらえて、しっかり設計する必要があります

  3. なので、生産性が上がった成長に対してしっかり評価する必要があり、何も短期的な業績だけではなくそういう要素を評価とかに組みこんでもいいと思います

  4. 報酬は「金銭報酬」と「非金銭的報酬」があり、かつ前者については「ベース賃金」や「インセンティブ」などと要素分解がなされていきます

上記を踏まえて、どのようにパーツを組み合わせて設計すれば、利益創出にポジティブか、そして社員のモチベーションアップにつながるのかを見極める必要があります。

【運用のポイント】
月々の人件費の上昇と、事業の伸びは見た方がいいかなと思います。
できるだけみんなのお給料上げてあげたいですけど、資源は有限ですからね。

④報酬→持続的利益創出

【設計のポイント】
報酬制度がきちんと利益創出につながるものになっているかは確認が必要です。
基本は「活躍者にちゃんと報いること」のみだと思っています。
活躍者が辞めることが一番利益創出に打撃なので、活躍者が辞めない報酬体系や報酬、インセンティブを設計しましょう。

報酬とかはどうしても全体を見てしまいがちですが、スタートアップとかだと「キーマンにフォーカスして」設計する視点の方が僕は大事なんじゃないかなーと思っています。

【運用のポイント】
正直ここにはあまり解がありません。社員からのフィードバックをもらうしかないですかね。アンケートでもいいかもですが。自分の処遇どう思ってます?みたいな。

2.自分だけで作ろうと思わないこと

これは完全持論なので怒らないでほしいのですが、「人事制度設計は社内の人事に作ってもらって納得感をもって運用コミットしてほしい」的な考えが多い気がします。僕はこれ反対派です。

なぜかというと、人事制度構築初期は、ビジネスを理解していて、ある程度賢いひと(目的に向けて、要素分解されている各種パーツを、最適に最速に組み立てられる人)が作ればだいたい一緒になると思っているからです。

それであれば、社外のパートナーの専門家を使ってできるだけ最速で作って、一秒でもはやく運用に乗せるべしと考えています。

運用の中で検証し、ブラッシュアップし、そこで独自性が生まれてくると思うんです。なので設計の段階から独自性出そうと思うと失敗する論者です。

逆に独自性のある人事制度に最初からなるのは「ビジネスモデルや利益創出モデルが独自性がある」場合だと思います。
なので、人事側から経営者へのオーダーとしては「人事制度の前に、利益創出モデルをもっと固めてほしい」ってことだと思います。
人事制度って見えやすいので手を出しがちですが、大上段の利益創出モデルがぶれてたら全部ぶれます。

もし利益創出モデルがぶれているなら、早めに大枠おおざっぱな人事制度をつくって目標管理との行き来で利益創出モデルを固めにいくのが最速な気がします。

3.最後に

まずは、ぼくのこの考え方ですが、半分くらいこちらの講座の影響受けているのでご紹介しておきます。
2回人事制度を設計して、1回目失敗したときの課題感で受けた講座で、本当にいい出会いでした。
さすがにいろいろ情報拝借してる感あるので載せておきます

上記いろいろ書いてきましたが、あくまで経営者と人事マネージャーに寄せたロジックです人事制度は会社の組織に対する考え方の言語化にも近く、また従業員にとっては結構気になるところです。ちゃんと設計の目的を伝えて、愛のこもった運用をするしかないんですね!

もし、経営者や人事マネージャーの方で、現状制度設計考えているけどもやもや困っていて、みたいな方がいたら、ぜひご連絡ください!

【連絡手段 メールかXのDMか本記事へのコメント】

Mail naoya.iwami@hrize.jp

全然仕事発注とかしなくてもいいので1H程度であれば相談にのります!
なぜかというと、僕が最初に制度設計した時に、いろんな先輩人事に凸って、みな快く教えてくれたからです!僕もそうでありたい。

みなさんの会社によき人事制度が舞い降りますように!

ーFinー


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