見出し画像

(1)会社を良くする

コンサルタント四方山話は
コンサルタントの役割やクライアントとの関係、
コンサルティング活動の留意点等をご紹介していきます。

何十年とコンサルタント人生を送ってきて、
思い出はたくさんありますが、

コンサルタントとは何か?

は幾度となく考えさせられた問いです。

まず、コンサルティング会社に入社してすぐの先輩の言葉。

「コンサルタントは会社を良くするために存在している。」

「そうか、自分たちは会社を良くするために支援するんだ。」
すっと心に入ってきました。

それ以来、「できる、できない」ではたくさん悩んできましたが、
コンサルタントの存在価値の根っこを疑ったことはありません。

でも、現代の複雑な社会にあっては、

・良い会社とは何か?
・良くなるとは?
・良くするために何が必要か?

が見えにくく、
コンサルタントも多様化し、
役割も分かりにくくなっていると感じます。

コンサルタントが報道される時は
情けないことに
犯罪への関与など不適切なケースが多い。

コンサルタントはプロ経営者でもなく
口先だけだ、という批判もあります。

真摯なコンサルタントなら、
自分達の社会的意義や役割について
自問し続けるのが当然と思います。

それでは
会社を良くするとは、どんな状態にすることでしょうか?

最終的には業績向上が分かりやすい結果ですね。

しかし、コンサルタントが業績向上そのものを
依頼されることは多くはありません。

私の場合ですと、キャリアの前半は業務改善、
例えば業務のムダを20%削減する等の支援をしていました。

キャリアの後半は人材マネジメント
人事制度の設計や運用支援、人材育成等をご支援しています。

これらはすべて、業績向上そのものではないですが、
それにつながる、それに役立つ
課題解決の支援と言えます。

ところが、多様な経験を積む中で、
会社を良くする=業績向上
と単純には言えない事態にも直面することが増えてきました。

端的に言えば、
業績が向上していても
社員が繁忙感やストレスを抱え
ハッピーとは言えない会社も多くあります。

短期業績を極大化することに集中し
中期的に弱体化してしまった企業もあります。

業績が上がらなければ会社は成り立ちませんが、
業績が向上すれば会社が良くなる
と単純にとらえるのも禁物ですね。

会社が良くなるとは、
(1)短期・中期両面で業績が維持、あるいは向上すること
そして
(2)会社に関わる人たちが幸せになること
これらの両立が大事と思います。

この(1)と(2)をマトリクスでとらえると
会社の状況は以下の4つに区分されます。

①業績も良く、社員もハッピーな会社
②業績はいいが、社員がハッピーでない会社
③業績は良くないが、社員はハッピーな会社
④業績も良くなく、社員もハッピーでない会社

コンサルタントは
クライアントがこれらのどの状態にあるか、
を念頭に置きながら
会社を良くするために貢献する意識が大切と思います。

私がコンサルティング会社に入社するかなり前の話ですが、
ある先輩が
コストダウンのテーマで支援したコンサルティングの報告会で
"貴社の真の問題はマーケティングにあり”
と報告した逸話を耳にしました。

簡単ではありませんが、
「依頼されたことに応える」という狭い意識では
より良い貢献にはつながらないのですね。

会社を良くするために
真に何が大切か、を考え続けながらご支援する。
すぐできないことがあっても、
展望を持ってご支援する
ことが大切と思います。

コンサルタントは会社を良くするために存在します。
その意味を問い続けることこそ
コンサルタントの基本姿勢と考えています。

26

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?