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アメリカ人家庭のサンクスギビングに参加してみた | 30代のアメリカ生活
先日は我が家でおもてなしをしましたが、サンクスギビング当日はアメリカ人の知人にご招待いただきディナーに参加させてもらいました。
サンクスギビング(Thanksgiving Day/感謝祭)はアメリカにお住まいの方ならみなさんご存じですね。日本でも名前を聞いたことがある方は多いと思います。
アメリカのサンクスギビングの始まりは一般的には以下のように言われています。
感謝祭は、イギリスからマサチューセッツ州のプリマス植民地に移住したピルグリム・ファーザーズの最初の収穫を記念する行事であると一般的に信じられている。
ピルグリムがプリマスに到着した1620年の冬は大変厳しく、大勢の死者を出したが、翌年、近隣に居住していたインディアンのワンパノアグ族からトウモロコシなどの新大陸での作物の栽培知識の教授を得て生き延びられた。
1621年の秋は、特に収穫が多かったので、ピルグリムファーザーズはワンパノアグ族を招待して、神の恵みに感謝して共にご馳走をいただいたことが始まりであるとされる。
ただ、ピルグリム・ファーザーズとインディアンの間に友好関係があったとされるという事実は確認されているとは言いがたいとする説もあり、事実とは異なった話が一般になっている背景には、入植当初のアメリカには暗い歴史しか無く「明るい話を広めよう」とこのような話が使われたとも言われているようです。
先日サンフランシスコにあるアルカトラズ島に行ってきましたが、インディアンがこのアルカトラズ島を占拠する出来事があったのもサンクスギビングの日だったそう。
また、上記説によるとサンクスギビングのはじまりは1621年となりますが、当初は食事会というよりもどちらかというと教会で礼拝を行い神に感謝を捧げる宗教的な意味合いが強く、その後しばらくは当時の指導者や各州により感謝祭の宣言がされ、それぞれ祝う日が異なるという状況だったとのこと。
現在のような国家の祝日、家族で過ごす日となった経緯はリンカーンがきっかけとのことです。
これを連邦国家の祝日として定着させたのは、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンであった。父と息子が南軍・北軍に別れて互いに戦うほど悲惨であった南北戦争の終結後、彼は国内の融和を図り国家としての団結を取り戻すために感謝祭を連邦休日と定め、家族の集いを奨励した。
この試みは成功し、感謝祭は単なる「大型連休」以上に、遠く離れた家族・親戚が再会して絆を深め合うアメリカの伝統として根付いている。
とくに20世紀になって、先住民の歴史問題が意識されるようになると、子供たちも小学校低学年から、建国以前の入植者たちの困難とそれを助けた先住民の逸話に基づく感謝祭の意義を学ぶようになった。
とまあ背景はいろいろあるのですが、わたしはアメリカ人家庭の一般的文化としてのサンクスギビングを楽しませていただきました。
当日は16時にみんなで集まってお食事会ということで、最初に聞いたときは「はやっ!!」と思ったのですが、サンクスギビングの祝い方としては一般的な時間のようです。
感謝祭の伝統的な食事をいつ摂るかは、昼食、夕食、午後4時ごろなど、家庭によって異なる。
「サンクスギビングの日は早い時間から集まって夕食を食べて、そのあとは何もしないで過ごすのが最高なんだ。」とわたしが伺ったご家庭の息子さんも言っていました。
ちなみにサンクスギビングの日は家族、親戚、友人と。
クリスマスイブは近しい家族と。
クリスマスは家族、親戚と。
というのがそれぞれのホリデーの過ごし方だそうです。(こちらも息子さん談)
時間も早いということで当日はバスで向かったのですが、サンクスギビング当日の夕方、街から人が消えるんですね。驚きました。
わたしが住んでいるアパートの近くは飲食店やスーパーマーケット、バス停などが多く、普段は人通りが多いところなのですが、この日は人っ子一人いない。日本の元旦の朝のようでわくわくしました。
(人気がない一方、ホームレスは変わらずいるので少し怖かったですが)
サンクスギビングもお正月も家族で過ごす日ということで、同じような感じなんですね。
幸いバスは運航していたので16時頃にお家へ到着。まだわたしたち夫婦の知人は来ておらず初めましての方ばかりでしたが、温かく迎えていただきました。すでにテーブルにはご馳走がずらっと、そしてさらに準備ができたものがどんどん並べられていきます。
最初からずらっと、そこからまだ並ぶの?という感じですが、サンクスギビングの伝統的な食事はこんな感じ。
感謝祭の食事
伝統的な正餐のメインディッシュとなるのは、七面鳥の中に角切りにしたパンを用いた詰め物(「スタッフィング(stuffing)」または「ドレッシング(dressing)」と呼ばれる)や野菜、ハーブなどの詰め物を入れた大きな七面鳥の丸焼きである。そのため、感謝祭の日は「七面鳥の日」(Turkey Day)と口語的に呼ばれることもある。切り分けた七面鳥にグレービーソースとクランベリーソースを添えて供する。ベジタリアン向けには、七面鳥を模し豆腐や麩で作った食品(トーファーキーなど)も市販されている。
副菜
副菜には、以下のような料理がある。ほとんど同じ献立をクリスマスの正餐に用いる家庭が多い。
・マッシュポテト
・グレービーソース
・オレンジ色のサツマイモの料理
・グリーンビーンキャセロール - インゲン豆とマッシュルームをクリームソースで煮込み、オーブンで焼き上げた料理
・ヤム芋の甘露煮
・コーンブレッド - コーンミールやコーングリッツを使った簡素なパン
・デザートには、アップルパイやパンプキンパイが供されることが多い。
これ、全部ありました。
なんならこれに追加してアップルサイダー、パンプキンスープ、ローストビーフ、各料理のビーガンバージョンなどもあり、それはそれは豪華な食卓です。
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ターキーの作り方はいろいろありますが、なんと1週間ほど前から仕込みを始めることもあるようです。
まず数日かけてターキーを解凍、さらに数日かけてDry-brine(そして日々マッサージする)し、当日は数時間かけて焼き上げる。いかにドライにならずジューシーでモイスチャーな焼き上がりにできるかが腕の見せ所だそうで。
サンクスギビングにかける熱量の高さが伺えます。
さて、ひととおり食事が並んだところで、集まったみんなで輪になって手をつなぎ、それぞれ順番に自分が感謝しているものを述べていきます。
急に言われて緊張しましたが、みんなの前で感謝の気持ちを言葉にすることってなかなかないと思うのでいい機会になりました。
I'm thankful for all of you guys having me here today, all of these food, my friends, my family, and my husband.
これが済んだらお待ちかねの食事タイム。人が多いのでバイキングのように順番にお皿を持って食事をとって回ります。これもまた普段の食事と違って楽しいですね。
どれも日本ではあまりなじみがない料理ですが、またとない機会なので全てのお料理を少しずついただきました。(ターキーにクランベリーソースだけは苦手なのでパス。これに限らず食事にフルーツが混ざるのが苦手です。酢豚にパイナップルとか。)
マシュマロが乗ったヤム芋の料理は不思議でしたが、どれも美味しかったです。ターキーガイ(ターキー担当)のパパさんも「うん、ドライではないね。ジューシーにできてる。」と焼き上がりに満足そうにしていました。
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あとはもう好きにおしゃべりしてお代わりしてデザートを食べて。奥の部屋ではアメフトの試合が流れていてそれを見ている人も。
そして、ホストのご家族も招待客に気を遣いすぎることなく、普通に家族やそれぞれの友人と内輪の話をしたりもしていて、このあたりの緩さがいいなあと思いました。
ちなみに集まっていたのはホストのご家族、親戚と様々なグループの友人(お互いの面識はなし)で15人以上いたと思うのですが、そんな人々が集まって楽しく食事をしてってすごいですよね。
アメリカ人(全員がアメリカ人というわけではなかったですが)のコミュニケーション力の高さにはいつも本当に驚かされます。初対面力がすごい。
日本ではそもそも友人を招いてのホームパーティーってなかなかないと思いますし、ましてや全員が知り合いというわけではない状況ってかなり稀だと思います(それともわたしの社交性が低かっただけ?)が、アメリカだとこんな感じにいろんな友人を招いた食事だったり、会社の集まりでもパートナー同伴だったり、わたしも初対面の人とご一緒する機会がすごく多いです。
そのたび自分の初対面力、英語力の低さに落ち込みますが、当初よりはかなり話ができるようになってきたのではと思います。
最後に驚いたことをもう一つ。
食事をしてしばらく各々歓談タイムを楽しんでいましたが、じゃあそろそろお開きにしようか~とかなく、みんなそれぞれ好きなタイミングでさらっと帰る。気が付いたら最後のほうまで残ってしまっていました。この感じも緩い。
こんな感じで今年のサンクスギビングは楽しく過ごすことができました。
わたしもいつかこんなホームパーティーができたらなあ、日本でも留学生や駐在者の方を招いてのお正月の食事とかできたら素敵だなぁなどと思いましたが、日本で自宅に大人数を招くスペースを作るのは少々難しいかもしれません。
それでは。
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