【要約】銀河の図書室/名取佐和子
『銀河の図書室』は、名取佐和子による2024年8月1日に実業之日本社から発売された小説です。本作は、前作『図書室のはこぶね』の舞台となった野亜高校を再び舞台に、宮沢賢治の作品と人生を研究する弱小同好会「イーハトー部」の高校生たちの群像劇を描いています。
物語の主な展開は以下の通りです:
野亜高校2年生の高田千樫が、入学式で「イーハトー部」の部員勧誘をする場面から始まります。
部長である3年生の風見昂祐が突然不登校になり、「ほんとうの幸いは、遠い」というメッセージを残して姿を消します。
イーハトー部の面々が、宮沢賢治の作品や言葉に触れながら、風見昂祐の謎を追い、それぞれの「ほんとう」に直面していきます。
本作の特徴は以下の通りです:
青春の明るい面に焦点を当てています。著者は、世界や自分にどれだけ絶望しても走るのをやめない高校生たちの希望の物語を描きたいと考えました。
宮沢賢治の作品、特に『銀河鉄道の夜』が重要な役割を果たしています。著者は賢治の作品を「宇宙文学」と呼び、あらゆる読み方と読者自身の物語をのせることができる器の大きな小説だと評価しています。
不登校という現代的なテーマを扱っています。学校に来られなくなった部長の謎を追うことが物語の縦軸となっています。
登場人物たちは、部活動では見せない一面を持っています。勉強、家庭、自分自身など、それぞれが人に言えない悩みを抱えており、リアルな高校生像が描かれています。
「ほんとうの幸い」というキーワードが全編を通して重要な役割を果たしています。
前作『図書室のはこぶね』同様、物語で言及される実在の本に読者が興味を持つことを意図しています。
本作は、青春小説でありながら、不登校や悩みを抱える高校生たちの姿を通じて、現代社会の問題も提起しています。同時に、宮沢賢治の作品を通じて、人生や幸福について考えさせる奥深い物語となっています。
著者の名取佐和子は、「根っからの読書家でなくても、本に助けられることはある。本に委ねるときもある。ままならぬ青春を宮沢賢治の本と進む高校生たちのお話です」とメッセージを寄せています。
『銀河の図書室』は、高校生たちの等身大の青春群像を描きながら、宮沢賢治の詩や作品に導かれ、人を思いやることへと昇華していく様子を描いた作品です。読者に、自身の青春時代を振り返らせたり、理想の青春像を提示したりする力を持っています。
本作は、前作『図書室のはこぶね』で得た反響を受けて執筆されました。幅広い年代の読者から支持を得た前作の成功を踏まえ、再び青春小説に挑戦した作品となっています。
参考文献:
[1] https://j-nbooks.jp/novel/columnDetail.php?cKey=223
[2] https://bunko.sumikko.info/item-select/4408538590
[3] https://www.netgalley.jp/catalog/book/398099
[4] https://note.com/jippibungei/n/n03d036150605
[5] https://bookmeter.com/books/21970676
[6] https://www.yodobashi.com/product/100000009003857820/
[7] https://www.j-n.co.jp/books/978-4-408-53859-4/
[8] https://x.com/JITSU_NICHI/status/1818937241940718059