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実践共同体としての人事図書館の魅力

こんにちは。人事図書館メンバーのうえむらです。本記事は人事図書館アドベントカレンダー16日目の記事となります。昨日の記事はHIDEさんの充されないものでした。私も自分の中に“充されないもの”があることを共感しながら読みました。

本記事では以前から書こうと思っていた「実践共同体としての人事図書館の魅力」について語っていきます。


実践共同体の定義と人事図書館

各人が同じ領域に関心を持ち、その関心事を満たすための協働的なコミュニティにおいて、活動を通じて知識を生み出す実践がある。これらの要素を満たす人々の集まりを「実践共同体」と呼びます。ちょっと堅苦しいなと思われた方は「学びのコミュニティ」と思って頂いて問題ありません。

この定義を人事図書館に当てはめてみると「各人が人事領域に関心を持ち、その関心事を満たすために経験や意見を差し出し合い、その活動を通じて知識を生み出す実践がある」ということになります。人事という領域にフォーカスし、書籍を媒介として学び合う、ありそうでなかったコミュニティ。人事図書館は実践共同体の優れたプラクティスであると私は考えています。

「熟達型」と「交流型」が行き来する学び

実践共同体には、小規模で活動頻度の高い「熟達型」と、大規模で活動頻度が低い「交流型」という2つの型があるとされています。熟達型では文字通り特定の領域を深く掘り下げる学びを得ることができ、交流型では様々な人々との交流を通じて学びの幅を広げることができます。

熟達型と交流型では得意とする学習スタイルが異なるため、どちらが良いというものではありません。重要なのは、両者を包摂する形でコミュニティを行き来する重層型構造を作ることで、より高次の学びが得られる点となっています。

『学びのコミュニティづくり』より引用

人事図書館では人事領域の中で労務・採用・育成・制度・HRBP…などと細分化されたコミュニティが縦横無尽に動いています。(名前がついたコミュニティもあれば、そうでないコミュニティもあります。)またいわゆる「ひとり人事」向けのイベントや、若手人事のための勉強会など、属性に応じた熟達型コミュニティも存在しています。

一方で、領域や属性に関わらず広く学びが得られる交流の場も設けられています。先日開催された「ラーニングバー」はまさにその好例と言えるでしょう。ラーニングバーでは「人事はどう学び、どう生かすのか?」「人事が事業にインパクトを与えるには」といった人事全般にとって重要な問いが設定されています。これには日頃は交わりの少ない領域を攪拌するねらいもあるのだと思います。

さらに、実は人事図書館のメンバーの多くは「人事ではない人々」から構成されています。具体的には組織・人事コンサルタントや教育関連企業、HR Tech企業に勤める方々。交流型イベントでのグループワークでも、しばしば「人事ではないのですが…」といった挨拶に出会います。彼らにとっても人事の生の声が聞ける貴重な場となっているようです。

このように人事図書館では熟達型と交流型の実践共同体がいずれも存在しており、双方が重層型構造となるような仕掛けが施されていると言えます。人事図書館がよく練られた実践共同体である点がここにも表れていますね。

人事図書館にリズムを生み出す「CET」の存在感

次に、人事図書館になくてはならない「CET」の存在について実践共同体の視点から見ていきたいと思います。CETはコミュニティエンパワーチームの略語です。文字通り、コミュニティをエンパワーメントするためのあらゆることを担ってくれています。

エプロン姿がトレードマークのCETさん

CETの方々はイベントの企画・運営や発信活動など目に見える部分で人事図書館を盛り上げてくれているのはもちろん、Slackでのオンラインコミュニケーションなど外部から見えない点においてもコミュニティを下支えしてくれています。

人事図書館Slackで私が特に素晴らしいと思っているのが「今日の本棚」チャンネルです。このチャンネルでCETの方々が発信してくれるおかげで人事図書館に実際に行った方が手に取った本を遠くにいながら知ることができます。

『経営中毒』は以前から目にする機会があり気になる一冊

CETの方々が日々人事図書館の様子を発信することによって、メンバーは人事図書館をより近くに、タイムリーに感じることができます。実践共同体から見ると、こうした体験は「実践共同体構築の7原則」のひとつであるコミュニティにリズムを生み出すことにつながっています。毎日を刻み続けることは大事なのです。

人事の性質を熟知した上での「匿名性」

人事図書館の特徴的なルールのひとつに「名刺交換NG、実名公開NG」というものがあります。匿名コミュニティは伸びないという通説があるなかで、なぜ敢えて匿名性を担保しているのか。それは人事の悩みがオープンにしづらい性質を持つためであり、また人事にとって立場や肩書き関係なく学び合える場が少ないことに基づいています。

実践共同体の視点でみると、匿名性が担保されていることでさまざまなレベルの参加が奨励されることに繋がっています。肩書きや社名を気にせず会話できるため、若手もベテランも、大手もベンチャーも混ざり合って学び合うことができるのです。

さらに、人事図書館の匿名性は実践共同体の核ともいえる価値に焦点を当てることにも繋がっています。人事図書館に参加する最大のメリットのひとつは人事としての経験談や実践知を分かち合えること。

例えば人事施策の失敗談からは多くのことを学ぶことができますが、社名や実名を公開して失敗談をするハードルはとても高いものです。一方で人事図書館では匿名性が担保されているからこそ、日頃は表に出てこない実践知を交換し合うことができます。

このように人事の性質を熟知した匿名性は実践共同体の視点で見ても「さまざまなレベルの参加を奨励する」「価値に焦点を当てる」という点で理に適っていると言えます。

おわりに

人事図書館の魅力は他にも色々とあるのですが、今日のところはこれくらいにしておきます。実践共同体については以下の記事で詳しく紹介していますので、興味を持って下さった方はぜひ読んでみてください。

人事図書館アドベントカレンダー、明日12/17はちょなんさんの記事となります。私も楽しみにしています。乞うご期待!

それでは、また。