ドット絵メイキング『榴弾』
今回は『合成モンスターを作ろう!』企画で合成元素材のひとつとして作成したドット絵『榴弾』のメイキングをおとどけします!
「榴弾ってなに? 爆弾との違いは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。投げたり、撃ったり、とにかく飛ばして攻撃するための爆弾のことを「榴弾」と呼びます。今回作る鉄球型のものは古い初期の榴弾ですが、近代的なものでは手に持てる小さめサイズの「手榴弾」がよく知られていますね。
なおモンスターとしては、最終的にカボチャと合成された結果、蓋と導火線の部分しか使われなかった不憫なヤツです。
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爆弾類榴弾族に生まれた運命といえばそれまでですが、壮絶に爆死して跡形も残らなかった榴弾ちゃんの生きた証として、せめて名前は本名で、そして丁寧に生い立ちの記を遺せればと思います。
外形を整える
まずは全体の形状を整えるため下描きをしていきます。32x32ドットのキャンバスに丸を描くところからスタートです。
①とりあえず正円を描きます。
②ずっしり感を出すため少し縦に潰します。
③蓋と導火線を加えます。
ポイントは、導火線となる縄の部分でしょうか。普通に太い管として曲線で描いてしまうとミミズ的な柔らかそうなものになってしまうので、あえて小さい四角形4個をくっつけたゴツイ形状にしています。
縄の角度や形状を調整するときも、もとが曲線だと描き直しがけっこう面倒なのですが、四角形をずらして調整するのは手軽だったりします。
描き込みを進める
続いて各パートの描き込みを進めていきます。まずは鉄球のボディから。
④全体を黒く塗ったら、明部に明るい点を、暗部に暗い点を置いていきます。商品的な綺麗さ・ツヤピカ感を出したくないのでベタっと塗ることはせず、ザラザラ・ガタガタ感を出すため点描にしています。
⑤鉄球のほぼ全面に暗い点or明るい点を置いたら、再暗部(左下方面)と最明部(右上方面)は塗り潰すことで全体の丸みを表現します。塗り潰した部分の周囲に同色の点が散っているのでツヤピカ感は出ません。
⑥蓋を描き込みます。黄銅かなにかでできているイメージですが、これが「金」に見えるとイメージが違ってきてしまいます。安っぽさを出すため土っぽい地味色に寄せるよう気を付けました。
導火線を描き込んで完成
最後に導火線の縄を書き込みます。しっかり編まれた感じと、ボロくて質の悪い感じを両方出したいところですが……。
⑦まず元の小四角形4個を活かし、お互いの境界を縄の「ねじれ」の溝に見立てます。また、元の小四角形のカドを削っていきます。
⑧前の手順では「ねじれ」の境界線が法則的すぎて不自然だったので、これを微妙に動かして不規則性を持たせます。また、縄の先端をバサっと広げて、ほどけた感じを出します。
⑨色を調整して縄はできあがり。さらに蓋があまりに地味すぎたのでツヤを足します。ボディが真っ黒で超地味なので、全体のコントラストを強めたかったのです。ほんとは安っぽい汚い金属なんですが、前述したように「金」と誤解されなければOKとしました。
以上で『榴弾』は完成です
おまけでモンスター化
せっかくですからこれも単体モンスター化してみましょう。足をつけて自走させると、もはや『榴弾』ではなくなってしまいますから、シンプルに顔を描くだけにしておきます。
①顔を描く部分にアタリをつけます。今回は薄気味悪く笑う感じの口だけをつけることにしました。目もつけようかと思ったのですが、ドラクエのスライムになりそうなのでやめておきます。全体が丸いこともあって、下手に目をつけるとかわいくなってしまうという問題も。
②口のなかを塗ります。熱をイメージして赤く塗り、牙を思わせるような位置に明るい黄色を散らしました。なかに火が充満しているならもう爆発してもおかしくないのですが、そこは雰囲気重視の「ご都合主義」です。
③口の周りを紫色で囲みます。口から光が漏れ出てて、ボディの黒がわずかに赤味を帯びた表現です。
そして最後に、導火線に着火すれば……
『榴弾モンスター』の爆誕(そして爆死)です!
お陀仏様でした。
(おしまい)