モンスターデザイン研究 FF11編①
もう10月も半ばになり、今年も終わりが見えてきました。今年の抱負は「苦手なことに挑戦」するということでいろいろやってきたのですが、やろうと思ってやれていないのが「モンスターのドット絵を描く」です。
実はこれまでゲーム制作ツール開発のお仕事ではサンプル素材として収録するドット絵の一部を自分で描いたりもしてきたのですが、モンスターについては手間がかかるし苦手意識があるしで、いつも他人任せにしてきました。
「こんな感じで」とイメージと伝え、あがってきたラフに「あーだ、こーだ」と注文をつけ、完成へ導く……。これを「ディレクションをしている」と言えば聞こえはいいのですが、他人が作ったものを変えて良くしていくのは簡単で、誰にでもできることなんですよ。
というわけで、今回は(大そうなものを描こうというわけではありませんが)自分で最後まで描くため、あらためてモンスターデザインについて考えてみようというわけです。
FF11の世界に降り立つ
ちょうど、プレイしてきたMMORPG『FINAL FANTASY XI』(FF11)には"土地勘"があり、モンスターデザインの良さには定評があるので、まずはFF11の世界のモンスターデザインを見なおしてみて、参考になるポイントを探っていきます。
FF11の人気モンスター(たぶん)ベスト3
はっきりしたランキングがあったか不明ですが、FF11プレイヤーに人気のあるモンスターの1位は(おそらく)、マンドラゴラです。
FF11ではグッズ化の定番となったうえ、FF12やFF14にも登場するシリーズおなじみのモンスターとなりつつあります。大きな目と頭もさることながら、その動きがめちゃくちゃかわいい!
FF11のサービス開始当初はプレイヤー間で通称「カブ」と呼ばれていましたが、人気を博した結果「マンドラ」と正しい名前をもとにして呼ばれるようになった珍しい経緯のあるモンスターです。
2位は(おそらく)、ゴブリン。
中身はたぶんシリーズ過去作のゴブリンと同じく"キモイ奴"なのですが、マスクやヘルムを被せたことでデザイン的に大成功したケース。これもグッズ化の定番のほか、FF14にも登場しています。
第3位は(おそらく)、カニ。
ただのカニと言うよりヤドカリとかヤシガニ的な要素を併せ持ち、丸っこいデザインに納めたセンスは秀逸です。攻殻機動隊の「タチコマ」に似ているとも。これもグッズ化の定番かつ、FF14にも登場しています。
やはりどれも、キモくなく、かわいい、丸いというのが人気の秘訣のようですね。いくらモンスターと言っても「強そう」「怖そう」ではダメなのでしょうか?
なお、ぼくがFF11で一番好きなモンスターは上記3種のどれでもなく、「イビルウェポン」です。
怖い! キモイ!
ちなみにこのモンスターの本体は頭上に浮いている剣の方で、キモイ部分に当たるのは剣に操られている地霊だそうです。
好きなくせにキモイキモイと言って悪いのですが、このイビルウェポンさん(というか地霊)の出す声がひとが喋っているようで愛嬌があるのと、動きが必死感に溢れていてなんだかおかしいのが好きな理由です。なんだかんだでコミカルなうちに入るということですね。
シリーズ定番の天野喜孝デザイン
なおFF11のモンスターは独自デザインが多いのですが、FFシリーズおなじみのモンスターとして天野喜孝さんデザインの定番モンスターも登場します。
まずは、ボム。FF11では自爆してプレイヤーを即死させるレベルの凶悪モンスターですが、デザイン的には目が大きくてかわいく、そして丸いです。
次は、モルボル。FF11ではなぜか性別的に女の子扱いされています。長い触手に目がいきがちですが、実はこれもデザインの中心には丸さがあります。
プリンもいます。全身が顔ですし、これも目が大きく、丸めです。なぜかFF11では公式名で「フラン」と呼ばれます。フランス語"flan"は、カスタードプリンのことだそうです。へー。
最後に、クァール。FF11用語辞典によると、「A・E・ヴァン・ヴォークトのSF小説『宇宙船ビーグル号』に登場する、同名の生命体がモデルと思われる」とのこと。神話・伝承が由来ではないんですね。これは知りませんでした。
このほか定番中の定番「ベヒーモス」なども登場しますが、特にこのクァールなど天野喜孝デザインのモンスターはFF11のモンスターのなかではある意味で"例外的"なものになっています。次回は、そのあたりを掘り下げようと思います。
(つづく)