
ドット絵メイキング『カボチャ』
みなさん、こんにちは! 最近すっかり名乗り忘れていますが、誰得ドット絵芸人さんですよ!
今回のドット絵メイキングは、モンスターデザイン研究とあわせてやってみた「合成モンスター」企画の素材として作った『カボチャ』です。これをどう誰得な感じに料理するか、非常に悩ましいネタです。
普段日本のお店で買って食べるカボチャはもうちょっとつるっとしたタイプのものが多いかと思うのですが、「モンスターにしたときに部分的に見せてもカボチャだとわかりやすいようする必要がある」ので、もこもこしたタイプのカボチャを選びました。ハロウィンでよく見る"黄色いやつ"を資料として用意したら、作業開始です!
まずは下書き

①まず、32x32ドットのキャンバスに、少し小さめの潰れた丸を描きます。「もこもこ」部分がまだないぶん細くしておき、あとから「もこもこ」を描き加えて太くするようなイメージです。
②画面手前向きの「もこもこ」から描いていきます。狭いキャンバスにリアルに「もこもこ」をたくさん描くのは無理なので、ひとつの「もこ」が細くなりすぎない範囲で収めます。
③さらに横方向や画面奥側の「もこ」を加えて1周させます。天井部分は平たい(もこもこしない)のと、あとで「へた」を描き加えるので空白にしておきます。
ひととおりの要素を揃える

④「へた」の部分にアタリをつけます。また、天井の空白部分が広すぎたので、「もこもこ」のラインを整えて少し「へた」に向けてのばしました。
⑤ざっくり色付けしたうえで、「へた」の部分を描き込みます。実はこの「へた」の部分が最難関です。
特にその"実重"の体をしっかり支えるために「緒」の部分は太く、そして角張った固い構造になっているのですが、キャンバス上では幅4ドットしかないので表現しきれないんですよ! 丸いケーブル的なものにすると柔らかく見えてしまうし、四角いと人工的・機械的になってしまいます。あーでもない、こーでもない、と一番悩んだのはここでした。
⑥続いて、全体の立体感をつけていきます。一度全体を明るい色にしたうえで、少し窪んでいる「へた」周辺と、「もこもこ」の下の方を暗色に塗り替えました。疲れていたら「これくらいでいいじゃろう」と思えるところまできたと思います。
さらに描き込む

⑦もうちょっと立体感を増すために、さらに暗い色を1色加えます。「もこもこ」の下部・暗部の段階を増すことで丸みを出したほか、逆に「へた」周辺の平面的な窪み部分を少し広げました。
⑧フチドリ色を明暗2段階にわけつつ、全体の色調整を行ないます。「へた」も平面的すぎたので色を加えて少し丸みを出しています。
⑨最後に、「もこもこ」の上端あたりのラインがくっきりしすぎているのが気になったので、少し薄めにすることで「へた」周辺との境界を曖昧にしました。これにて「ひとまず」完成です。
見慣れた緑のカボチャに
ハロウィン的なビジュアルでよく見る黄色いカボチャを選んだものの、やはりどうも食欲がわきません。そこで、やっぱり緑のカボチャも用意することにしました。

⑩まず全体を緑系の色に置き換えます。うーん。橙色の外皮だと明るいのであまり気にならなかったのですが、彩度の低い緑色にすると、なんだか乾いた感じがします。「紙風船」みたいだなって。
⑪そこで「もこもこ」にさらに明色を1色加えます。これでだいぶマシになりましたが、ううーん。まだなんだか「味気ない」ですよね。カボチャなのに黄色いカボチャ色が使われていないことで、すごく無機質になっています。
⑫と、いうことで少し黄色味のある色をさらにハイライト色として「つや」の表現を加えます。これで完成! です。それほど食欲がわく感じではないのですが、このへんが限界かなって。
実際、八百屋さんや野菜売り場で売っているカボチャやスイカも、「緑のゴツイ塊」はちっとも食欲を誘わないので、半分とか1/4とかに切って「断面の黄色い身」を見せて売るようにしているんですよね。
美味しいカボチャを作るのとはべつに、それを手に取ってもらうには、また別の努力が必要だということなんでしょうね。これは、野菜に限らずドット絵やあらゆるモノづくりに関わる人が意識しないといけないことなのかもしれません。
・
・
・
あー。そんなこと言ったら、やるしかないじゃないですか。
カボチャを切る!

⑬ザクッと切ります。おう、その切り方かい! とツッコミが入りそうですが、転んでもただでは起きないために、今回はカボチャをカップにして飲むスープのイメージで太めに切ります。少し、おなかがすいてきましたよ!
⑭切り口周辺のラインを整えます。内側のフチドリに濃い線を入れるのはやめて、皮の厚みをイメージして中間色を使います。また、断面の身の色も外側周辺を少し薄目の色に変えて、ちょっと「ほわっ」とした感じを出します。
⑮中央に穴を開けます。種が入っているところですね。品種の違いや個体差があるかもしれませんが、Y字に3つの部屋に区切られているようです。ここで部屋の仕切りをまっすぐ「Y」にすると人工的になってしまうので、ちょっと斜めにくにゃっとした感じにして意地を見せます。
種を入れて完成

最後、3部屋それぞれに種を入れましょう。黄色い身の部分が主役ですから、部屋や種はあまり目立たないよう薄めの色にして、なんとなく「もしょもしょ」している程度にしておきます。言っちゃなんですが、種、見方によってはちょっとグロいですからね。
というわけで、今度こそ完成~! おつかれさまでした!
なお、日本にあるもこもこタイプの緑のカボチャは、「菊座かぼちゃ」とか「小菊かぼちゃ」という品種だそうです。今回のように上部を切り落としたときの、その断面が菊の花のようなかたちになるため、そう呼ばれているそうです。さすがにドット絵はもともとガタガタした作りになるので菊の花の輪郭のような綺麗なもこもこ感は出しにくいのですが、凸凹のない円にならないようには気を付けました。
そうか、じゃあ身の色も「黄色」じゃなくて「菊色」と言ったら良かったかもしれません。
もちろん、そのことは最初からわかっていて記事を書いたのですが、はじめから「菊色」と言っていたらネタバレになってしまいますからね。
「種」は最後まで、明かさないものなのです。
