仕事で学んだこと『企画3原則』①動機
シリーズにしたい"仕事で学んだこと"、その第1弾は『企画3原則』。最初にお断りしておきますが、たぶん『非核3原則』を元にしたダジャレです。
ぼくがこの原則を教わったのはもう25年以上前、ツクールシリーズの編集・ディレクションをやっていたころで、誌名でいえば『ログイン』(ちょっとだけ)、『TECH Win』、『ログインソフコン』あたりで少し活かされています。
だからといって企画3原則は出版独自のものというわけではありません。ゲーム開発でもアニメや音楽、あるいはパン屋さん運営でも活かせる普遍的なものです。
企画3原則は"動機"、"利益"、"革新性"の3つから成ります。この3つがきちんと揃っているといいのですが、それはなかなか難しいので、最低2つは抑えておけと言われました。
1. 基本的な動機
動機とは、やりたいという気持ち。だから「それがない企画なんてあるわけない」……と思うかもしれませんが、それがそうでもないんです。
まず、「"出せ"と言われたから出した。儲かるとは思う」なんて企画はザラにあります。これではだめです。
「企画を出して、実現したい」と思いながらその機会を得られない人が大勢いる反面、そんな気はまったくないのに出せ出せと求められる人もいます。世の中不条理ですね。
ただ、本人にやる気があるかないかは、あまり関係がありません。
というのも、ここで必要とされる動機は企画者個人にとっての動機ではないからです。誰かに対して企画を提出するのですから、基本的にそこにはチームや会社などの組織があります。必要なのは、その組織にとっての"動機"です。
基本的には、組織がなにを欲しているか、どこへ向かおうとしているかを把握し、それに沿ったものにすればOKです。
それだけに、動機については組織の上の方からあらかじめ定められていることも多いでしょう。ゲーム開発なら「既存のキャラモデルを流用できるゲーム考えて」とか、アニメ制作なら「もしヒットしたら夏休み映画にできるようなシリーズ考えて」とか、パン屋さんなら「ろくにイベントのない6月に売れる新商品を考えて」とかです。
2. 応用的な動機
前段で例を挙げた、基本的な"見えている"動機はあらかじめ定められていることも多いので、企画をより優れたものにするには、"まだ見えていない"動機を盛り込みたいところです。
わかりやすい例は、調査して潜在的なニーズを探り当て、それに応じる企画にすることです。調査会社に依頼するような本格的なのでなくても、お客さんから届いたご意見やアンケート結果を分析してみるとか、SNSでお客さんたちの声を聴く、あるいは外国の事情を探ってみるのもありです。
3. 動機の禁じ手
動機はある意味、無理矢理こじつければどうにでもなるので、「なんでもあり」になりがちです。ですが、禁じ手もあります。
企画3原則には"利益"と"革新性"という項目もあるので、「利益が大きいからぜひやるべき」とか「斬新で注目されやすいからぜひやるべき」というのは動機としてカウントしません。それ以外に「やるべき意義」を見出す必要があります。
動機は企画3原則のなかではおそらく一番省略しやすい項目です。しかし、だからこそ動機を見出し、提示できれば企画のレベルは上がり、企画者の評価も高まります。
(つづく)
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