
ドット絵ですし(前編)
先日ひさしぶりにおすしを食べましたので、今日のドット絵はおすしです。さっそく、にぎっていきましょう。
ごはんからにぎにぎ
まずは、ごはん部分から描いていきます。
「ごはんではない、シャリだ!」と言われそうなんですけど、そういう専門用語は苦手なんですよ。
例えば、おすしを食べに来たカップルが「アハ、ごはんぽろぽろになっちゃった」「シャリだよ」「え?」「ごはんじゃなくてシャリ」なんて会話していたらムード最悪ですし。
修正しましょう。
「アハ、ごはんぽろぽろになっちゃった」
「アハじゃねえ」
「え?」
「口元にごはんついてるぞ」
「……ありがとう(LOVE)」
はいはい、ごちそうさま! なんて言ってると、まるで食べ終わったみたいですからさっさと前へ進めましょうか。
24x24ドットのキャンバスを用意したら、「このあたり!」と思う位置にごはんを下描きしていきます。

手順1では、まず見せる角度を考えながら、直方体を描きます。
フィーリング重視で描いたところ、長辺(右上に向かう斜めの線)が1-2-1-2と進むガタガタ線になってしまったのが少し気がかりです。小さいドットでガタガタ線を使うと汚く見えてしまうので、いつもは避けています。

ただ今回は、手順②で見えない部分の線を消したところ、ちょうど手で握ったことによる凸凹や、お米粒がにょきにょきしている感じが出ているように見えたので、このまま進めることにしました。あまりキレイな線にすると蟲の卵みたいになりますし、少しガタガタな方が良さそうです。

続く手順③ではカド周辺のラインを丸めてソリッド感をなくし、にぎったごはんらしく形状を整えました。
さらに手順④では下部に影色を入れて、立体感をつけました。

あとは、色調整。手順⑤では、まず全体をふっくら明るい色に変えました。そして手順⑥では影色の部分に明るめの色を加え、お米のつぶつぶ感を出すことで全体が米粒の集合体であることをちょっとだけ主張させます。
そういえば! 昨年プレイを始めたドラクエ10には「お寿司スライム」という概念があります。概念? そう「お寿司スライムがいる」と言わないのは、モンスターとしては存在せず、なぜか帽子としてだけ登場しているから。

ドラクエシリーズの"スライム濫造しすぎ問題"については、プリンスライムのときにさんざんこき下ろした(笑)のでいいのですが、
この「お寿司スライム」、白いスライム部分って「おもち」ですよね? このにせものめー!
というわけで、イラスト的なおすしにとって「おもちじゃないもん!」という主張は、たいせつなものなのです。
ともあれ、これにて「ごはん」部分はできあがり。
ネタをのせる
続いて、ネタをのせましょう!
ぼくは卵が好きなので……ううん、でも「まぐろ」にしておきます。シャリ野郎にうるさく言われるのもいやですし。
「寿司行こうか。寿司ネタはなにが好き?」
「わたし、卵」
「は?」
「え?」
「卵は寿司じゃない」
「……」
もう別れろ!
と思いつつ、流れに身をまかせて前へ進めます。

はじめに作った直方体ごはんに立ち戻り、手順①でネタをのせる位置のアタリをつけます。この段階ではただの板です。続く手順②では、丸みをつけて、昔のアーチ型の橋のような形状にします。
さて、ごはんはいらないので、ここで捨ててしまいます。
……なんだかエコ団体にしこたま叱られそうな言い草ですが、気にせず続けます。

手順③では上面と側面を意識して2色で塗り分けました。ただ、これだとただの赤身の肉のようですし、あるいは明太子にも見えてしまいます。それはそれで食べたいけど、いまはだめです。
そこで手順④では、まぐろの切り身らしい「筋肉の層」を表現するつもりで明色のラインを引き、手順⑤でその層に沿ってハイライト色を加えてみました。

あとは側面部分に暗色を加えてネタにプリプリ感を加えたら(手順⑥)、「まぐろの切り身」部分もできあがりです。
あとはごはんの上にのせて……

本来はここで最後に「ぎゅっ」とひと握りするところですが、ドット絵的に変化はないのでのせるだけです。
そして、2個ひと組スタイルにします。24x24のままでは狭くて無理なので、キャンバスを32x32ドットに広げました。

近代ではおすし1個を1貫と数えることが多いようですが、昔は2個で1貫と数えていたそうです。"貫"は重さの単位なので、あくまで数より量が基本とされていた当時の暮らしがうかがい知れますね。
さあ、これにてできあがり~!
……と言いたいところですが、背景が白い場合はごはん部分が見にくく、遠目に見るとネタだけが浮いているように誤解されかねません。
エコ団体に「シャリを捨てないで」なんて言われた日には怒りが有頂天ですから、オトナの対応としてお皿に乗せることにします。

「へい、まぐろ一丁!」というわけで、ようやく『まぐろ寿司』の完成です。小皿にのせちゃうと、回転寿司みたいですけどね!
さて、あとは次回後編へ続きます。「終わりじゃないの?」と思うかもしれませんが、続きます。だって、ほかのネタも作っていきたいですし、ね。
(つづく)