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ドット絵メイキング『かき氷』(後編)

ドット絵メイキング『かき氷』の後編です。前編で作成した「ガラスの器」に「氷の山」をのせて、かき氷を完成させます。実物の「かき氷」にはまだありつけていませんが、がんばります!

ざっくり山盛りかき氷のバランスを決める

「ガラスの器」は24x24ドットいっぱいに描いたので、まずはキャンバスを32x32ドットに拡大します。(手順①)

そのあと、ざっくり白い氷の山を重ねます。(手順②)

手順①②

ただし氷の山は、機械的な形状にならないよう左右非対称にしたり、でもやりすぎないようにしたり、直線的にしないよう注意したり、それでいて「ふわっと、やわらか」には見えないように、とか細かいことも考えています。

「ちっとも"ざっくり"じゃない!」とツッコミを入れられそうですが、心のなかでは「ざっくざくした感じで……ウフフ」とか思いながら作業を進めていきます。心の中の擬音は大切です。とても重要なことですからもう一度言いますが、心の中の擬音は大切です。大切です。

なお、背景が白いとどこが氷の山かわからなくなって作業しにくいので、今回は背景を緑色にしています。氷や器は若干青寄りの色にしたいので背景青は却下、いちごシロップをかける予定なので赤も却下、ということで消去法的に赤の補色にあたる緑を選択しました。

シロップをかける

続いて、氷の山にシロップをかけます。(手順③)

ここで考えるべきことは、なにより「シロップがかかった部分は凹むこと」です。氷部分の外周ラインのゆらぎと連動するように、凹ませたい場所に濃い色を配置しつつ、山の形状を調整していきます。

手順③

山の中腹下寄りにある濃い部分は、きっと「シロップのかけ始め」の場所。でも意外と氷がグワッと凹んで「崩れるかも!?」と不安になって。やっぱり上からかけよう、としたけどちょっと左にズレた……という物語を夢想しながら作業を進めていきます。表現できているかはまた別です。

なお、シロップがかかっていない白い部分も、凹みというか"崖"になっている部分に少しだけ暗い色を入れています。

氷粒感を出す

意外といいバランスの山にできたな~と思いつつ、でも「ベタっ」とした感じでかき氷らしくないのが気がかりです。氷粒感を出していきましょう。

手順④

なお今回は、元のベタっとした氷の山に、その場の元の色よりも1段明るい色or1段暗い色のモザイク模様を散らすことで粒感を出してみました。ちょうど雪の結晶のような感じです。

結晶の例

境界を調整する

さて、氷の山自体はこれで概ねOKです。次にガラスの器との境界を調整していきましょう。

手順⑤

もともと単品のドット絵として作った『ガラスの器』の上辺の濃いラインが見えていても仕方ありません。ここは氷が少し覆いかぶさるイメージで、明るい色を散らしつつ境界のグレーラインを薄めていきます。

ガラスの透明感リベンジ!

『ガラスの器』を描いたときからの懸案である「透明感」も出すことにしましょう。ガラスの向こうに背景色が透けて見えるのはNGでしたが、器のなかのかき氷が透けて見えるのは問題ないですからね。

手順⑥

というわけで、ガラスの器の多面のうち、正面とその左隣の面の内側に、白い氷とうっすらシロップを描き込みます。

ここでつい、ガラスの向こうに「たっぷりシロップ」を描きたくなるのですが、あまり山の下の方までシロップが濃くかかっていることにすると「シロップ多すぎ問題」が生じてしまいます。「シロップが染みているぶん氷が凹むはず」みたいなことを考えさせる絵にしてしまうとめんどくさい(正直)ので、ガマンします。リアルには凹んで形が崩れようが、シロップたっぷりで食べたいところですけどね!

色調整して完成

最後に色調整をして『かき氷(いちごシロップ)』完成です!

完成!

なお、調整した色は氷とシロップの部分で、作業中よりわずかに濃くしてコントラストをあげることにしました。

白い絵は難しい!

ここがちょっと難しいところなのですが、かき氷に限らず食べ物の類いは「さわやかな白」など明るい色のイメージを損なわないよう、普段ぼくらが見かける商品の宣伝写真などで影が減らされて明るめに調整されています。現実には、いくら氷やケーキが「白いイメージ」であろうと、ばっちり影はできているんですけどね。

だから、いざ買ってみると「なんか写真と違ってショボイ」と感じることが多いわけです。バードカフェみたいにライティングの問題ではないおせち料理を売って批判を浴びるようなケースもありますけどね(いつまでも掘り返し続けるスタイル)。

イラスト的なものは実物よりもそうした宣伝の写真と(描いている本人も)比較してしまうので、リアルさ重視で強めのコントラストにすることが躊躇われるわけです。特に白はコントラストをつけると目立ちやすいので、ついコントラストが弱く平面的なものにしてしまいがちです。

ところで女性が描くイラストは色の差が弱く平面的なことが多いと言われることがあります(※ひとによります)が、あれは特に女性に向けて「きれい、あかるい」を強調した宣伝が行なわれるせいもあるかもしれません。いまどきは女性に限らず男性向けもそういう傾向はあるのですが、その状況に慣れすぎてしまうのは作り手にとっては一種の「汚染」とも言えます。

じっくり実物を見て、ただ明るいこと以外にその魅力を引き出せたらいいな……と思うのですが、「かき氷」ではそれも難しい。なにせ、もたもたしていたら溶けちゃいますからね。

4色ならべてみました。

(おしまい)


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