
誰得ドット絵『微妙な角度の兵士たち』
先月描いた"微妙な角度"のマップに、建物などの新しいマップパーツを追加していこうと思いまして。でもその前に、「人」をきちんと描いておいた方が良いと思い、今回チャレンジすることにしたのです。『真・女神転生』風の"位置ポインター"ちゃんも捨てがたいのですが、絵的にはちょっと弱いですからね。
ランチェスターふたたび
こういうときにいきなり新規オリジナルキャラクターを考えるのはたいへんなので、既存のキャラクターを使いまわします。ただ、使えそうな全身キャラのストックはひとつしかありません。以前、「ランチェスターの第二法則」について書いたときに使用した『兵士』です。
『兵士』は16x16ドットで描いたので、ちょうどマップに合いそうです。とりあえず、ためしに置いてみましょう。

おお! わりと、いけますね。このままでいいじゃない……と妥協したくなります。
でも。うーん。やっぱり微妙といえば微妙ですから、この『兵士』をマップにあわせて少し斜め上から見下ろしたものにリメイクすることにします。
なお、今回は男女の描き分けをしたいので、兜を脱いだ状態にし、元の兵士では省略した腰の部分があるものとしてデザインも変更していきます。
まずはアタリをつける
マップパーツの幅にあわせた24x24ドットのキャンバスに、少し見下ろしぎみのキャラクターを描きます。きちんと描いていく前に、構造の「あたり」をつけるのです。
やっていきますよ……

うー。まず、「少し見下ろす」のが難しい!
もともと、こんな微妙な角度の視点でプレイするゲームはありませんから、参考にできるものがありません。そのうえ昔ながらの2D見下ろし型のRPGも、マップは見下ろしているのにキャラクターは真正面から(見下ろさずに)描いたものがほとんど。
マネして済ませることができないので、これはなかなかタイヘンです。
さて……とりあえず頭部は球体っぽい形状なので、どの角度から見てもそんなに形は変わらない……ということにしてササッと輪郭を描きます。実際は、人間の頭は意外と前後に長いんですが、そこは目を瞑って! 頭部の左下に目が来るようにしたうえで、もみあげ&耳を表現できる最小サイズを模索します。
あとは体の左側面(画面的には右)が少し見えるように心掛けて全身を描いていきます。
大事なのは、手足の位置。奥の手足は画面の少し上に、手前の手足が画面の少し下に、ずらして描くことで見下ろし視点であることを示さなくてはなりません。
アタリとしては、こんなところでしょうか。さらに描き込みを進めながら、細かいところを調整していきます。
頭部・顔を整える
まず、重要な「顔周り」を整えていきます。

素体の「イガグリ坊や」感がなにより気になるので、髪から手を入れます。前髪を少し作り、上部をツンツンさせ、髪全体の下部に暗色を入れて膨らんだ雰囲気にし、という具合です。
次に顎のあたりの黒いフチドリ線をなくします。
黒縁ドットにおいて、絵の内側にまで黒線をいれるかどうかは大いなる悩みどころなのですが、今回は「見下ろしたら、下にある黒線は見えない」と考えられるので、各部位の下側にある黒線はできれば消していきたいところです。
なお、顎の下の黒線をそのまま消すだけでは胸甲との境界がわからなくなるので、胸甲の色を暗くして区別しやすくしました。肩のモスグリーン部分も、頭部に接する部分を暗色にすることで頭部を浮かせるように見せています。
全身を整える
同じ要領で、胴体以下も整えていきます。

前の手順までは腰(腹)と脚を黒線で区切っていましたが、これをなくします。太い腹巻みたいでしたからね。ただ、あのようにスペースをとっておかないと女性キャラなどのスカートを表現しきれなくなるので、アタリの段階ではあの腹巻はとても重要だったのです。
なお、腰を加えたこともあって元の16x16ドットのころより少し背が高くなっていたので、足の下にある黒線はカットして少し背を縮めました。また、左足カカト側のカドを1ドットを削ることで爪先側との差別化を行ない、足の向きを表現しています。ここで爪先を1ドット前に出す方法を採用すると、かなり奇抜な感じになるのでやりません。
男性兵士は、ひとまずこれで完成です。
女性化する
続いて、男性兵士をベースに女性兵士を作ります。これまた頭部、顔周りから手を入れていきます。

「女なら長髪なのか」みたいな話はよく承知しています。が、今回はわきに置きます。そもそも長髪をしばりもせず戦争するのか、という疑問も残ります。とはいえ絵として抽象的にシンボル化するときには仕方ない、と割り切って長髪化します。
男性兵士は前髪を垂らして少し子どもっぽくしたので、こちらは「おでこ」を出して(少し)大人っぽくしました。こっちまで前髪を作って「女の子」にすると差別化はどんどん難しくなります。
また、両者の違いをできるだけ多く出したいので、耳元の髪を長く垂らし、耳自体は隠します。耳は出してもいいのですが、エルフっぽい感じで強調されすぎてしまうので今回は隠すことにしました。
「髪を長くしただけ」という感じではあるのですが、なんとなく長髪男子には見えないのは不思議です。
体型を整える
続いて、体型を少し整えます。なにより気になるのは、肩を張ったマッチョ感です。これを直します。

少し肩をすぼめて、上腕を細めました。
なんだか少し、「ブリブリした感じ」になった気がしてちょっとどうかなと思わなくもないのですが、「軽やかな雰囲気」になったと思って先に進めます。
さらに女装化を加速する
女性兵士としては前の手順で完成としてもいいのですが、もう少し続けます。このあとさらにいろいろなキャラクターを追加するときの「素体」として活用するために、スカートを履いたキャラを作っておきたいのです。
女装化を進めます。

長髪なびかせ、ミニスカートで戦争か! という"戦死フラグ"総立ちのいでたち。もはや兵士ではなく、『勘違いミリ系コスプレイヤー』ですね。
作業のポイントとしては、スカートが膨らんでいるイメージのぶん、胸甲の下の黒線をなくし、またブーツにスリム感を出すため明暗2色を縦に塗り変えています。
(オマケ)男っぽさ増強
女性兵士だけ振り切ったものを作るのもアレなんで、バランスを取って男っぽさ全開のバリエーションを追加してみることにしました。
えいっ

というわけで、男っぽさといえば……スキンヘッド!
なんか、ついでに歳とっちゃいましたけどね。こんな高齢者まで戦わないといけないの……?
もう少し、思いやり成分を注入しておきましょうか。

マップに並べてみる
最後に、ここまでに作ったキャラたちをマップ上に並べてみます。

いかにも水没しそうな町へ、救助のために兵士たち(コスプレイヤー含む)。彼らが揃って見つめる海の向こうには、いったい何があるのか!?
物語は続く……?
(おしまい)