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【開催レポート】第6回 松澤くれは『りさ子のガチ恋❤俳優沼』(Promotion Edit)

ハロヲタ(Hello! Projectを推す人の総称)さんだけが集う読書会「ハロヲタ読書会。’24」。2024年6月2日に第6回を開催しました。この記事では、その開催レポートをPromotion Editでお送りします。


課題本は、松澤くれは『りさ子のガチ恋❤俳優沼』

 第6回の課題本は、松澤くれは『りさ子のガチ恋❤俳優沼』。
 2.5次元舞台の裏側を扱った群像劇。ライヴ・アイドルのハロプロとは異なる界隈の小説ですが、推しとヲタの関係性という点で普遍的な問題に迫る作品。ハロヲタの皆さんはどのような感想を抱いたのでしょうか。
 ジャンプ行為、誘導灯、指定曲以外でのカスタネット禁止などの諸ルールを確認して、読書会のスタートです。

次の写真のあとからは、ネタバレがあります。
『りさ子のガチ恋❤俳優沼』を未読の方はご注意ください。

皿鉢料理風に盛り付けたかったけど、難しいき。

読書会前半戦

 読書会前半はフリートーク。参加者それぞれが本作の感想を自由に話し合いました。

ヲタの視点と推しの視点

 本作は、2.5次元の芝居を舞台とした俳優とヲタの群像劇です。俳優の視点とヲタの視点での記述が並行して物語が進行します。これまでハロヲタ読書会。で取り上げてきた課題本は、推しの物語(朝井リョウ『武道館』、児玉雨子『##NAME##』)と、ヲタの物語(宇佐見りん『推し、燃ゆ』)でした。「推す」側と「推される」側の双方の視点で描かれた本作は新鮮で面白い、というのが皆さんに共通した感想でした。

手作りプレゼントは捨てる

 また描写の生々しさも、皆さんが一様に感じたようです。推す側と推される側の本音や欲望がストレートに描かれています。
 「あっきー」こと秋山悠は特に打算的な俳優。スタバカードは貰って嬉しいプレゼント。イラストや手作り菓子のプレゼントは容赦なく捨てる。人気ある共演者とのツーショット写真でリツイート数を稼ぐ。ファンとの関係は深入りしないが、性処理の相手は確保する。
 現実はどうなのか分かりませんが、さもありなん、という印象です。
 ハロプロ・メンバーの皆さんは、手紙やプレゼントをどう感じるのでしょう。

 一方、ヲタ側の本音も生々しく描かれています。推しに認知してもらうために、手紙はいつも同じ封筒。観劇の際の服装もいつも同じ。これは自作Tシャツで現場に参戦するハロヲタさんと同じ感覚でしょうか。

 「運に頼らず確実にチケットを手にするためなら、お金という解決策はある意味でフェア。戦後に闇市で食料を買わずに餓死した人間のように私はなりたくない。」(114頁)
 本作はチケット不正転売禁止法制定以前に発表されたものです。どこの界隈もこのような感じだったのでしょうね。

「推しが売れると、『私』の抽象度が増してしまう。」(90-91頁)
 推しには売れてほしいけど、ファンが増えると私に気付いてくれなくなる。ガチ恋の方々の本音を端的に表わした言葉なのでしょうね。ハロヲタさんは同担拒否が少なく、推しの「布教」に積極的な方が多いので、このような心理には気づいていませんでした。

りさ子が他人事とは思えない

 出待ちをして手紙やプレゼントを手渡しできる、という推しとの距離の近さは、ハロプロでは考えられない世界です。
 しかしハロプロでも、個別イベント、SNSやブログへのコメントで、推しに直接、言葉をかける機会が増えました。ハロヲタさんが「良かれ」と思ってかけた言葉が推しを傷つける可能性もあります。物語後半のりさ子の行動が他人事とは思えない、というご意見もありました。
 「もし恋愛を通り越して神さまだとしたら。近づきすぎてはいけなかったんだと思う。」(337頁)
 贔屓の引き倒しにならないように、ヲタとして注意しないといけませんね。

推しが女性アイドルだったら、この物語は…?

本作は、推しが男性俳優、ヲタが女性という設定です。性別が逆だったら、つまり女性アイドルを推す男性という設定だと、どうゆう物語になったのでしょうね?というハロヲタには気になる話題も。
おそらくもっと陰惨な結末になっていたのでしょうね、と一同。
「応援する側とされる側。この特殊な関係に、ハッピーな結末があるとすれば。それは決して『ガチ恋』しないことだ。」<234頁>

推しからこの言葉を言われたら…

 りさ子は、これまで身を削って推してきた翔太から「はじめまして」と言われ、自分が認知されていないことに傷付き、大事件を起こします。参加したハロヲタさんにも、推しから言われたくない言葉を伺ってみました。
 「認知されているはずなのに、『はじめまして』は言われたくない」というご意見もあれば、「ファンの顔を覚えなければ、といった気遣いを推しにさせたくない」というご意見もありました。
 また「『ライヴに友だちを連れてきてください』は言われたくない」というご意見も。「アイドルに興味の無い友人をハロプロのライヴに誘いにくい」と。

演劇女子部で本作を上演するなら…

 演劇女子部で本作を上演しないかな、といったご意見も。妄想キャスティングは盛り上がります。
  新山りさ子  小林萌花さん
  瀬川翔太   前田こころさん
  篠戸るる   里吉うたのさん
  秋山悠    高瀬くるみさん
というご意見が有力でした。BEYOOOOONDSばかりですが。
 長谷川祐子役はオリジナルキャストで、須藤茉麻さん。未だ演劇女子部プレイング・マネージャーですよね?
 妄想だけならフリーダムですので、皆さんも考えてみてはいかがでしょうか。 

読書会も後半戦  「私が気になったハロプロ2024春~ビューティフルエブリデイ~」

 読書会後半戦は、恒例のテーマトーク。今回は「私が気になったハロプロ2024春~ビューティフルエブリデイ~」でした。
 前回読書会から3か月が経ち、その間にハロプロでは様々な動きがありました。ひなフェス2024、各ユニットの春ツアー、JAPAN JAM等のフェス出演、ハロプロ研修生実力診断テスト、新曲発表など盛沢山。ハロヲタさんそれぞれに注目ポイントが違うはずですので、それを発表いただきました。
 結果はこちらの写真の通りです。

 テーマトーク後は、飲食しながらのハロヲタ懇親会。今回も盛り上がりました。
 ご参加、ご支援いただきました皆様、ありがとうございました。

今後の予定

ハロヲタ読書会。第7回
2024年7月27日(土)17時~
課題本は、五十嵐貴久『気仙沼ミラクルガール』(2016年、幻冬舎)。https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344028951/

アンジュルム・佐々木莉佳子さんがハロプロ研修生になる前に所属していた気仙沼のアイドル・グループ「SCK GIRLS」をモデルにした感動小説です。事前に読了いただいて、当日は感想を話し合いましょう。

団子ジュルム

これまでの開催レポート

3rd 紹介型読書会 2023年12月9日 (Promotion Edit)
https://note.com/hpdokushokai/n/n330fc8191e82

100分deハロプロ 2023年10月28日 (Promotion Edit)
https://note.com/hpdokushokai/n/nc84f1a07a664

セカンド読書会 児玉雨子『##NAME##』 2023年9月2日 (Promotion Edit)
https://note.com/hpdokushokai/n/n6cb36e2ff7b6

ファースト読書会 朝井リョウ『武道館』 2023年7月15日 (Promotion Edit)
https://note.com/hpdokushokai/n/n8dde91d9a91b

以上
文責 いい乃

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