実践、超護身術 第十回 北風と太陽
元刑事の武術家が教える、本当に役に立つ術
実践、超護身術
第十回 北風と太陽
文●葛西真彦
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文字で分かる相手の精神状態
今回は少し閑話休題ということで、改めて私が一番重要視している考え方と、そこからの影響について、触れたいと思います。
刑事は被疑者を逮捕すると、まずはベンロク=弁解録取書というものを取ります。これは逮捕された事件について、逮捕事実に間違いないかどうか本人の弁解と、弁護士依頼の希望について聴取し、書類化するというものです。
担当刑事が弁解録取書を取るときもあるし、他の刑事が取るときもありますが、この時に相手の、
人相、着衣
態度、言動
振る舞い
精神的状況
臭い
といったことを相手を洞察する材料として吟味しつつ、弁解録取書に当人が署名した文字も、じっくりと洞察します。
文字を事細かに見ていくと、実は色々な情報が分かります。文字の大きさ、筆圧、書き癖、書いた位置、文字を書く速さなど、様々に特徴点はありますが、これらを見ていくと、“逮捕された”という非日常における、相手の精神状態が分かります。
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