実践、超護身術 第三回 間接護身に必須の「聴勁」02
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武術の根幹と言えば身を護ることにある。法治国家である現在の日本においてもそれは同じだ。時として、理不尽な要求や暴力から自分や大事な人の身を護るためには、決然と行動を起こす必要があるだろう。しかし、そうした行為もまた、法で許されている範囲の中で行わなければ、あなた自身が法に裁かれることになる恐れがあるのも事実だ。
では果たしてどのような護身が有効なのか?
本連載では元刑事であり、推手の世界的な選手でもある葛西真彦氏に、現代日本を生きる中で、本当に知っておくべき護身術を紹介して頂く。
元刑事の武術家が教える、本当に役に立つ術
実践、超護身術
第三回 間接護身に必須の「聴勁」02
文●葛西真彦
警官時代の苦い思い出
せっかくなので、聴勁の話に触れる前に、私自身、警官時代に刃物を持った相手に襲われたケースについて書いておきましょう。
交番勤務時代に、「バイクを盗まれた、現場で待つ」という通報がありました。人気のない現場に一人で向かったところ男が一人いて、「ここで自分のバイクを盗まれた」と言います。そこで、その場でまずは被害状況を確認しようと思い、メジャー等の道具をカバンから出そうと相手から目をそらしたところ、突然刃物を出して襲いかかってきました。
当時私はまだ経験が浅く、襲われたその瞬間まで、相手の殺意に気付きませんでした。何が起きたか分からず、まず刃物の一撃を胸の左脇に食らいました。そのときは鉄板の防護衣を着けていたので、刃物は刺さりませんでしたが、肋軟骨が折れました。着けていなければあるいはそこで死んでいたかもしれません。
この不意打ちで、恐怖と混乱が私を襲いました。“どうしたらいいのか!? 銃で撃ってもいいのか? いや、警棒で対処すべきなのか!? 殴るべきなのか?”正直そんなことを判断する余裕すらありません。
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