連載 扇谷孝太郎 「身体と動きの新法則 筋共鳴ストレッチ」20
身体と動きの新法則
筋共鳴ストレッチ
第20回 鳩尾(みぞおち)の解放
文●扇谷孝太郎
Image: iStock
今回も第4チャクラ(心臓)〜第3チャクラ(臍)の間の部位の柔軟性について、ご紹介します。
前回は胸郭の柔軟性/安定性を決定づける要素として、胸横筋、内肋間筋、外肋間筋についてご説明しました。今回は鳩尾(みぞおち)の部分の柔軟性に関わる筋肉を取り上げます。
鳩尾のエリアの構造
鳩尾の部分は、背骨で言うと胸椎と腰椎の境目にあたり、「胸腰椎移行部」と呼ばれています。胸椎の後彎から腰椎の前彎へと、背骨のS字カーブが切り替わるところです。多数の筋肉が引っ張り合って多方向からの力が働くとともに、後述するように非常に複雑な動きを要求される場所でもあります。
また胸郭を鳥かごに例えると、その底の部分には横隔膜があります。鳩尾の部分の固さや動きの偏りはそのまま横隔膜の緊張を反映しているため、姿勢の面からも運動の面からも重要になります。
ロルフィングの創始者、アイダ・P・ロルフ博士は、「もしもどこか1箇所にしかワークができないとしたら、どこにしますか?」という質問に「12番肋骨」と答えたと言われています。
ちょっと意外な感じがするのではないでしょうか?
しかし、この骨の特徴を考えると、(ナルホド)と思います。
12番肋骨は、横隔膜をはじめ多数の筋肉が付着する胸腰椎移行部の動きの要所です。ここに働きかけることは、呼吸と姿勢の両方に同時に働きかけることを意味します。
そして、前回ご紹介したようにここに付着する外肋間筋と内肋間筋の繊維は、手足の小指を動かす筋肉と共鳴しています。小指は身体の左右へのブレを抑え姿勢を安定させる役割があるため、それと共鳴している第12番肋骨の動きは姿勢のバランスと密接に関わっています。
このように考えると、ロルフ博士がこの小さな骨に着目したのは当然の回答と言えるでしょう。
鳩尾のエリアの筋肉
このエリアに属する主な筋肉は、前回取り上げた内肋間筋、外肋間筋を除くと、下記のとおりです。
横隔膜
大腰筋
小腰筋
腰方形筋
下後鋸筋
広背筋
腰腸肋筋
のうち、今回はこのエリアの複雑な動きを生み出している横隔膜と下後鋸筋の筋共鳴について見ていきましょう。
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