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DX閑話~「綺麗な月ですね」…進まぬDX

私が、このnoteのどこかで『DXにおける、空気・行間を読むハイコンテクストな日本的コミュニケーションの功罪』について触れねばならないと思いつつ、先延ばしにしていたのですが。

尊敬する武智倫太郎さんが以下のnoteで日本のハイコンテクスト文化を見事に指摘されているのを見て、書いてみようかと思う次第です。

ハイコンテクストの功罪

ハイコンテクストとは

相手が、知識・考え方などを自分とほぼ同じである事を前提として、抽象的であいまいな言葉で意思疎通をすることです。日本語では「空気を読む」「以心伝心」「行間を読む」「忖度」という言葉が使われます。

  • 空気を読む:その場の人の考えを想定して適切な行動や発言をする事。

  • 以心伝心:言葉を使わないで、人と人が考えを理解する怪奇現象。

  • 行間を読む:前提や前後の内容から書かれていない事を理解する事。

  • 忖度:偉い人が居心地よいように予測して行動を取る事。

なお、ハイコンテクストな特徴を、極力排除したものをローコンテクストと言います。

なぜハイコンテクストになるのか

長い間、人と人が同じ経験をし、同じ情報に触れることで、だんだんと前提となる知識・考え方が共通化され、ハイコンテクストな意思疎通でも問題の発生が少なくなります。

日本だけハイコンテクストなのか?

これはNoです。人の集団はハイコンテクスト化します。わかりやすいケースは、どこに行っても国や村、企業、何かのファン等が、部外者には分からない独自言語を用いている事が挙げられます。

なぜ、このnoteは「日本的コミュニケーション」というのか?

多くの日本人は、相手が誰であっても自分と共通化された知識・考えを持っている事を前提に意思疎通をするためです。その原因は、ローコンテクストな意思疎通の方法を訓練されていない事が挙げられます。

ハイコンテクストの良いところ

処理スピードに優れる

「あれ」と言う2文字で通じる事もあり、処理スピードに優れます。

エネルギー消費量が少ない

文字数が少ない事は、エネルギー消費も少なくて済むことになります。環境にやさしい点も優れています。

(例)「I love you.=綺麗な月ですね」ハイコンテクストな世界の住人

「月が綺麗ですね」「え、告白されちゃった?」

ハイコンテクストの悪いところとDXへの影響

集団の拡大・維持の難易度が上がる

ハイコンテクストな意思疎通は、新たに入る人が理解可能になるまで時間がかかります。

また、集団が大きくなると、内部の小集団で独自のハイコンテクスト化が起こりローカル化し、意思疎通がうまくできなくなるので、前提を共通にするために時間をかけることになります。

(例)「I love you.=綺麗な月ですね」が共有されてない人たち

「月が綺麗ですね」「本当だ!おいしそうな月だねぇ!」

やり方を変える事の難易度が上がる

ハイコンテクストな意思疎通で行われている事を変える場合、その前提となる経験・知識の更新から行う必要があります。そのため、時間がかかります。

また、昨今は情報システムを活用して、やり方を変える事が有効ですが、情報システムはローコンテクストのコマンドで動くため、活用することができません。

(例)突然、「綺麗な月ですね」の文脈が「I Love You」から「いただきます」に変更された世界の人々

「綺麗な月ですね?(いただきます、はこれだよな?)」、「(こ、告白された?)」

まとめ

とまぁ、こんな感じでハイコンテクストな日本的コミュニケーションの功罪を書いてみましたが。

結局は、人手不足で外国人採用したり、業務改革やらDXやらをするときには、ハイコンテクスト文化を捨て去らないとうまくいかないという事です。

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