
放送大学大学院(18) 修士論文の執筆と提出
■修士論文の執筆
レポート3を提出した後、M2の9月からは修士論文の執筆になる。既に示したwordのナビゲーションウィンドウは結構優秀なので是非活用をいただきたいと思う。
この時期の生活は修士論文中心になる。仕事中であっても、論文の構成や文章を考えたりすることもある。僕はLINEで自分1人のグループを作り、思いついた論文のネタやフレーズを(自分に)送るという手法でメモを蓄積した。
平日はまとまった時間を確保して論文を書くというのは難しい。土日も家事があり時間は確保できない。こういう環境だと、土日に2~3時間を確保できたとしても、「どこまで書いたっけ?」と読み返してから執筆にかかるので、実質的な執筆時間は更に短くなる。僕は9月~12月の間に結構な有給休暇をとった。
■修士論文作成上の注意(経験則)
(1)不安になっても、新しい資料には手を出さない。
「これでいいのかな」「もっと良いものにしたい」という感情は始末に悪い。これが昂ぶると、この時期に新しい本を買ったり論文を探す。
10月や11月にこの感情に襲われた。これは良い方向には向かない。この時期に買った本を熟読できる訳はない。摘まみ食いになる訳だが、そんな知識を論文の本筋に使うのはリスキーだ。なので、この時期に手を出す資料は、用語の定義や概念の解説など、枝葉のためのものに留めるべきだ。
11月を過ぎたら、もう「今の自分に書けるものでいい」という割り切りが必要であろうと思う。
(2)用語には細心の注意を払う(失敗例)。
テクニカルな話になる。
例えば日本を表すとき、「我が国」「日本」「本国」などが考えられる。書く際には「"本国"を統一して使用する」と決めた方がよい。
僕の失敗を紹介しよう。上の用語例で喩えるなら、僕は途中で「日本」→「本国」という一括置換を行った。この際に「我が国」は置換から漏れた。置換前の用語使用にブレがあったからだ。口頭試問で表現の揺れがあると厳しく指摘された。この手のミスは様々考えられるので注意されたい。
(3)参考文献/レファレンスに気を配る
自然科学の論文は、追試験ができるように実験プロセスを明らかにする。実験内容について問われた際に答えられるように実験ノートが命である。
小熊英二氏は「人文・社会科学の論文における実験ノートが参考文献/レファレンスである」という(出典はリンク参照)。たしかに論文の内容を検証しようとする際に極めて重要な役割を果たす。こう考えると、参考文献の表示は重要である。この整理を舐めてはならない。
参考文献の表記にはいろんな流派がある。法学の場合は法律編集者懇話会の「法律文献等の出典の表示方法」による例が多い。と学部のお師匠様が言っていた。
僕は、この表記方法に従いつつ、あとは著者をアイウエオ順に並べた。
こういう作業があるので、参考文献はエクセルで管理しておくと、後のソートは楽である。
(4)印刷
印刷も舐めてはならない。修士論文は放送大学のフォーマットで書くと、片面刷りで80枚から90枚に及ぶ。それを主査と副査の先生に出すので、200枚くらいだ。家庭用プリンタはモッサリとした印刷、インクの残量を考えると、早目に印刷した方がよいだろう。
ちなみに、修士論文は指定の色のフラットファイルに綴じる。背表紙と表紙の表記、中表紙などを作る必要もある。「手引き」の熟読が必要だ。
■提出
提出は、中表紙、要旨、目次、本文などをフラットファイルに綴じる。で、追跡可能な郵便で送る。
一部情報ではレターパックでもいいそうである。僕は通常の簡易書留で送った。それは好みだろう。