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【医師論文解説】鼻うがいでコロナウイルスを洗い流せ!? 最新研究が明かす驚きの効果【OA】


背景:

COVID-19パンデミックは世界中で700万人以上の命を奪い、医療システムに大きな負担をかけてきました。

SARS-CoV-2ウイルスは主に鼻腔から侵入し、上気道で増殖することが知られています。ウイルス量が多いほど、症状が重くなり、他者への感染リスクも高まります。そこで研究者たちは、鼻腔でのウイルス量を減らす方法として、鼻うがいの効果に注目しました。

方法:

研究チームは、1946年から2024年1月までの期間で、鼻うがいとCOVID-19に関連するキーワードを使用して、Embase、MEDLINE、Web of Science、ClinicalTrials.govなどのデータベースを系統的に検索しました。

生理食塩水、ポビドンヨード(PVP-I)、または鼻腔用ステロイド剤(INCS)を使用した鼻うがいの効果を調べた in vivo 研究のみを対象としました。

結果:

  1. 生理食塩水による鼻うがい:

    • 10件中9件の研究で、鼻腔のウイルス量減少に効果があることが示されました。

    • PCR検査で陰性になるまでの時間が2〜11日短縮されました。

    • 等張性と高張性の生理食塩水の両方が効果的でした。

    • 3つの研究では、添加物を加えることでさらに効果が高まることが示されました。

  2. ポビドンヨード(PVP-I)による鼻うがい:

    • 7件中4件の研究で、ウイルス量減少に効果があることが示されました。

    • しかし、結果にばらつきがあり、最適な濃度や使用方法は明確になっていません。

    • 0.4%〜2.0%の濃度範囲で研究が行われましたが、高濃度が必ずしも効果的というわけではありませんでした。

  3. 鼻腔用ステロイド剤(INCS):

    • ウイルス量減少効果を直接調べた研究は見つかりませんでした。

  4. COVID-19の感染伝播への影響:

    • 4つの研究が、生理食塩水またはPVP-Iによる鼻うがいが感染伝播を減少させる可能性を示しました。

    • 医療従事者を対象とした予防的使用では、通常の個人防護具(PPE)のみの使用と比べて感染率が大幅に低下しました。

議論:

生理食塩水による鼻うがいは、最も研究され、最も効果的な方法であることが示されました。その作用メカニズムには、物理的な洗浄効果だけでなく、SARS-CoV-2の活性化に必要な宿主プロテアーゼの阻害や、正常な粘液線毛クリアランスの回復なども含まれると考えられています。

PVP-Iの効果については、結果にばらつきがあり、結論を出すには更なる研究が必要です。高濃度が必ずしも効果的ではないという結果は、最適な使用方法を見出す必要性を示唆しています。

キシリトールなどの添加物の使用は、ウイルス量減少や感染伝播の抑制に追加的な効果をもたらす可能性があります。しかし、これらの添加物単独の効果を明確にするには、さらなる研究が必要です。

結論:

生理食塩水による鼻うがいは、SARS-CoV-2の鼻腔内ウイルス量を減少させるのに最も効果的な方法であることが示されました。安全で低コスト、使いやすいという利点もあり、COVID-19対策の一つとして推奨できる可能性があります。PVP-Iの効果については更なる研究が必要です。鼻腔用ステロイド剤の効果を直接調べた研究はなく、今後の課題となっています。

文献:Gandhi, Karan et al. “Washing Illness Away: A Systematic Review of the Impact of Nasal Irrigation and Spray on COVID-19.” The Laryngoscope, 10.1002/lary.31761. 13 Sep. 2024, doi:10.1002/lary.31761

この記事は後日、Med J SalonというYouTubeとVRCのイベントで取り上げられ、修正されます。

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所感:

この系統的レビューは、簡便で安価な鼻うがいがCOVID-19対策として有望であることを示しており、非常に興味深い結果だと考えます。特に生理食塩水による鼻うがいの効果が一貫して示されていることは注目に値します。しかし、研究間でのばらつきや方法論的な制限もあるため、結果の解釈には慎重さも必要です。

今後は、最適な鼻うがいの方法(濃度、頻度、量など)を特定するための大規模な無作為化比較試験が望まれます。また、重症化予防や長期的な健康影響などのアウトカムについても調査が必要でしょう。

さらに、新たな変異株に対する効果や、他のウイルス性呼吸器感染症への応用可能性も興味深いテーマです。鼻うがいは、薬剤耐性の問題がなく、副作用も少ない方法であるため、今後のパンデミック対策の重要なツールになる可能性があります。

この研究分野の進展は、公衆衛生政策にも大きな影響を与える可能性があり、今後の展開が非常に楽しみです。

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バーチャル医療研究会編集部
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