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【医師論文解説】ゴーグル不要!? AIが変えるHITの未来【Abst】


背景

前庭機能を評価するためのゴールドスタンダードとして、ビデオ頭部衝動検査(vHIT)が広く用いられています。

この検査は前庭動眼反射(VOR)を評価することで前庭機能を判定します。しかし、vHITには専用のゴーグルを装着する必要があり、使用前には毎回キャリブレーションが必要という欠点がありました。

そこで研究チームは、ゴーグル不要の新しいアプローチ「インテリジェント頭部衝動検査(iHIT)」を提案しました。iHITは単眼赤外線カメラを使用し、深層学習を用いたビデオ分類アプローチにより前庭機能を自動的に判定します。

方法

iHITのフレームワークでは、患者の前方に単眼赤外線カメラを設置して検査ビデオを撮影します。

これらのビデオをもとに、頭部衝動検査(HIT)ビデオクリップのデータセット「DiHIT」を構築しました。

次に、2段階のマルチモーダルビデオ分類ネットワークを提案しました。このネットワークはDiHITデータセットで訓練され、HITクリップから抽出した眼球運動と頭部運動のデータを入力として受け取ります。出力として、検査対象となっている半規管(SCC)の識別(SCC identification)と前庭動眼反射異常の判定(SCC qualitation)を行います。

結果

DiHITデータセットを用いた実験では、以下の結果が得られました:

  • SCC identificationの予測精度: 100%

  • 水平半規管のSCC qualitationの予測精度: 84.1%

  • 垂直半規管のSCC qualitationの予測精度: 79.0%

これらの結果は、iHITが高い精度で半規管の識別と前庭機能の異常を検出できることを示しています。

議論

iHITは既存のビデオベースのHITと比較して、以下の利点があります:

  • ゴーグルが不要

  • 機器のキャリブレーションが不要

  • 完全な自動化を実現

さらに、iHITは低コストで操作が簡単であるため、ユーザーにとってより多くの利点をもたらすと考えられます。

結論

インテリジェント頭部衝動検査(iHIT)は、ゴーグル不要で自動化された新しい前庭機能評価方法として有望です。高い精度で半規管の識別と前庭動眼反射異常の検出が可能であり、従来の方法と比較して多くの利点を持っています。今後の臨床応用が期待されます。

※注意: この記事は情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。具体的な治療や生活習慣の改善については、医師に相談してください。

参考文献

Ouyang, Yang et al. “Toward Intelligent Head Impulse Test: A Goggle-Free Approach Using a Monocular Infrared Camera.” The Laryngoscope, 10.1002/lary.31848. 18 Oct. 2024, doi:10.1002/lary.31848

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