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ヤマトノミカタ#番外「坂本龍一と大和路の風景」

大島渚監督への坂本龍一さんのお別れの言葉を聞いてから、坂本龍一さんをとても身近に感じるようになった。
大島渚監督が坂本龍一さんの才能に惚れ込み声をかけ、坂本龍一さんは新境地の映画界で新たな才能を開花させる。
彼は言った「監督との出会いがなければ今の私はない」
 坂本龍一さんは大島渚監督との出会いで人生が大きく変わった。
そして、その出会いに心から感謝されていた。

私事で大変恐縮ですが、レベルは違えども、私も大島渚監督との出会いから映像の世界で生きていこうと決意した。
あれは20歳の時、自主制作のドキュメンター映画が神奈川県芸術祭映像コンクールで最優秀賞を受賞した。 表彰式の講評で「新しい時代の新しい才能(監督)」と少々褒め過ぎではないかと思うほどの評価をいただいた。
私は大島渚監督の言葉で自信を持って映像の世界を歩き始めた。挫折しかけた時は、大島渚監督の言葉を思い出して歯を食いしばった。

坂本龍一さんと私、世界は違うが大島渚監督に導かれた共通点から、お会いしたことはないが、まるで兄弟弟子のように感じていた。
だからといって、熱心なファンというわけではない。持っているのはYMOのLPだけ。

そんな坂本龍一さんと大島渚監督が私の夢に現れた。 天国から降りて来られて夢枕に立たれたわけではないと思う。私が一方的に見た夢でしかない。
その夢で坂本龍一さんが闘病生活中に制作した最後のアルバム「12」に映像をつけてはどうかと提案された。
そのアイデアはまったく構想にはなく、「12」  の事も知らなかった。
早速、アルバム「12」をネットで購入して繰り返し聴いてみた。
私は、最近に撮影した映像を合わせた。 
すると、とても自然なのだ。自然に映像が音を捕まえて一体になる。 自画自賛で申し訳ないが、音楽と映像が互いに高め合っている。
失礼を承知で言えば、音楽だけを聞いていると物足りなく不完全な印象を受け部分が、映像を添えると途端にイキイキと輝き出して音楽が立体的になり奥行きが生まれる。

きっと私の映像に限ったわけではない。映画音楽を続けて来た坂本龍一さんが最後に生み出した音楽は、まだ映像と出会っていない映画音楽だったのだ。

そして、昨夜、再び坂本龍一さんと大島渚監督が夢に出てきた。
いや、しっかりと夢枕に立たれた。  
何を話されていたのかは覚えていない。 
ただ、とても穏やかなお顔だった。 

映像と結びついて本来の姿を表した「12」を是非、観て聴いて欲しい。
そして、私だけではなく、多くの映画監督がこの曲に映像をつけて欲しい。 それが坂本龍一さんへの一番の追悼だと確信する。

大島渚監督、本当にありがとうございました。 監督のおかげで、いい人生を自信を持って歩くことが出来ました。
天国にいらしても、私を覚えていてくださり、心から感謝します。

*坂本龍一 アルバム「12」

https://youtu.be/NuYwuwTFQ6I

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保山耕一
皆様からのチップは映像作家として奈良を撮影する事に限って活用させていただきます。 撮影での経験をnoteに綴ります。 撮影のテーマは「奈良には365の季節がある」 奈良の奥深さ、魅力を多くの人に届けたいです。