ボブ・マーリー ONELOVE
2024/5/30
ほめです。
昨今ミュージシャンの伝記映画は多数制作され、それぞれにヒットしている中、
満を持して登場した感のあるボブ・マーリー。
このジャンルの利点としては、再発見の楽しみと新規層の開拓がありますが、
一方で映画としてはイマイチというものも少なくありません。
そんな中、本作は何よりも曲の良さが際立ち、内容が二の次になる部分があります。
ONELOVE、Three Little Birdsあたりは否応なくアガる、Exodusも。
多かれ少なかれ、どこかで必ず聞いたことのある楽曲の数々。
有名曲が生まれた瞬間を疑似体験できるところは醍醐味ではないでしょうか。
そこに至る偶然やプロセスは、なんだかとてもワクワクしますし、自身も当事者になったかのような感覚を味わえるのは良い。
そして、改めて楽曲を聴き歌詞を和訳してみると、宗教色の強いものが多いことに気づきます。
ある意味、賛美歌のような意味や役割も果たしていたのではないかと考えられます。
また、政治に利用される側面にはあまり触れず、全体を通してボブ・マーリーの人柄にフォーカスされています。
他者が描く以上、都合の良い部分のみで構築されるのは仕方ないですが、
人物像がいささか神格化されすぎているきらいがあるのではないでしょうか。
とはいえ、それ自体が評価を下げることはないため、良いバランスなのかもしれません。
全体を通して、個人的にはもっと尺を使ってライブシーンの割合を増やしてほしかった。
序盤から繰り返し挿入される、火に追われる幼い自分と、追いかけてくる馬に乗った父親のイメージ。
当初逃げ出したい、追われることへの恐怖の象徴かと思っていたのですが、
指輪を授かるにいたり、これはいわゆるジャーそのものなのか、とも。
ラスタの概念は鑑賞中には雰囲気でしか理解できなかったので、
映画をきっかけに歴史を含めて学ぶことができ、知識が増える良い経験になりました。
鑑賞後、ふと、あの人達演じているんだよな、と。
当たり前のことですが、なんだか誰も彼もが役者に思えず、妙な現実感があったような。
メンバーそれぞれが実際に歌い、演奏しているからでしょうか。不思議。
人々の拠り所であった男の人生について。
使者と呼ばれた彼の言葉や音楽が残り、後世に影響を与え続ける。
これはある意味……
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