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室井慎次 敗れざる者

2024/10/31投稿

ダメです。
正直、この作品単体では満足のできる劇場版とは決して言えない仕上がりですし、根幹をなす設定が過去の遺産頼りで目新しいアプローチもありません。
せっかく12年ぶりのリブートだというのに、こんなにパッとしない作品を一発目に持ってきて今後大丈夫かと心配になるレベルでした。
似たジャンルでの長寿作品のリブートでは、あぶない刑事が記憶に新しく、最新作(帰ってきた あぶない刑事)はロートルを全面に押し出し、なお健在であると示していました。
一方、本作はあの室井が夢破れて余生を送っており、その様子が数々の過去映像と対比されることにより時代の変遷と、もはやオワコンであることをメタ的にも提示します。
ファンはこれを見たかったのかと問われればNOでしょう。
それくらい全体を通して盛り上がらず、次回作へ期待が持てませんでした。
ここから後半で巻き返すことは可能なのでしょうか。

そもそも、全6話位で配信ドラマとして展開すれば、それなりの評価が得られたのではないかと思っています。
映画館に足を運ぶ一本としては、まったく物足りません。
内容的にも新規の取り込みが難しいでしょうし、集客の大半は往年のファンであることは想像だに難くない。
であればこそ、満を持したインパクトのある作品を持ってくるべきだったのではないかと。

過去映像のアスペクト比の違いによる編集がバラつくのは映画として上手くなかったですし、G-grooveの使い方には納得がいきません。
室井登場の代名詞を、警察登場のシーンで使うのは意味合いが違いませんか。
また、物静かな室井と比較するかのような乃木真守と桜章太郎における距離感、躁感。
普通に失礼ですし、キャラ造形が一線超えていて不快。

良かった所をあげるとするならば、生駒里奈扮する弁護士 奈良育美の描き方が必要以上に露悪的だった点でしょうか。
あんなに趣味の悪いバランス設定には中々お目にかかれません。
また、新城と再会した室井が自分を負け犬であるとはっきり言及した点。
こちらも、つわものどもが夢の跡を感じられました。

リリースされている過去作をひととおり鑑賞し直しましたが、時代に沿ったドラマであり、THE MOVIEまでは本当におもしろい。
ただ、THE MOVIE2以降はどうにも蛇足に次ぐ蛇足の印象が強く、尻すぼみしていったシリーズであることは否めません。
そんな状況から脱却し、もう一度語り続ける価値がこの脚本にあるのでしょうか。
どちらにしろ、次回作は必見ですね。


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