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モンキーマン

2024/09/05投稿

どちらかといえばダメでした。
ヒット作の何番煎じかと思える部分もあるものの、要素ごとに考えてみれば王道な展開であり、一定以上面白くなるはずなのですが。
しかしながら、全体を通してどうにも盛り上がらず、テンポが悪い印象でした。
見どころ毎に高まったテンションが続かない構成であり、退屈さすら感じる場面もあったのです。

作中でも言及されていたジョン・ウィックと比較すると、やはり力不足が否めません。
ああいった外連味とエモさ、アクションに振り切った作風とは違うアプローチであると考えたほうが良いのではないかとも。
前述の要素は表現の一部でしかなく、本質的に人の生きざまや受け継がれる意思、精神性を説く方向性であるとしたら。
それであれば、母と森、木々の根を何度も提示することで、連綿と繋がる先祖、血の歴史をなぞらえた部分は腑に落ちます。
あくまで、表現したいことはそれであり、アクションという皮を被っているにすぎないのやも。

良さを感じた部分もあり、タイトルの出し方やハヌマーンになぞらえた展開、手斧を使ったアクションはスピード感もあり面白かった。
また、太鼓の音に合わせてリズミカルにサンドバッグを叩き始めた時は正直好印象で、民族的なニュアンスも相まって期待できたのですが。
修行をもってして強くなるというパートは、いかに論理的であるか、もしくは超常的かの説明が重要です。
どちらにしろ観客が納得できる内容でないと、強くなったということの合理性が不十分となります。
後半の展開にどうにも活かされていないというか、あまりファイトスタイルに反映されていなかったですよね。
もっと音に合わせたアクションを釣瓶打ちするだとか、修行の成果をはっきり見せてくれないと、あのパート自体が冗長に感じてしまうのです。
実際、サンドバッグを叩いただけで強くなるのか、というシンプルな疑問もありますし。
覚悟を決めたちょっと強い人、というレベルでは正面から特攻するには厳しい。

2時間という尺が長いと感じてしまったのは、全体的に状況説明や回想が多用されすぎて、間延びしているからではないでしょうか。
諸々を詰めて、90分前後にまとめた方が中だるみしなかったのではとすら思えました。

なんだか、もったいないような気がしています。


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