台風で新幹線の中に15時間閉じ込められた話
先日、静岡の台風に巻き込まれて、なかなか貴重な経験をしまして、そのことを書きたいと思います。
ちなみにこのことはガジェット通信さんが記事にしてたりします。笑
はじめましての方、こんにちは。デザイナーの市角です。
毎週木曜日は #デザイナーの頭の中 というテーマで書いてますが、今回は番外編!!災害に遭ったときのデザイナーの頭の中です!笑
いやー大変でしたよ。本当に。
23日の台風で新幹線の中に15時間閉じ込められる
23日の台風14号の影響により静岡にある掛川駅において、東京発新大阪行き、のぞみ241号が立ち往生。
その中で15時間も外に出ることができないという経験をしました。
新幹線が動かなくなった時間から、一旦外に出ることができた時間までカウントすると、
23日の18時から翌朝24日の9時までですので、15時間。
しかし新幹線の中に居たのは合計で19時間です。
徐々に車内に広がる不安
そもそも、この日は東京から名古屋までの出張目的で一人旅。
直前まで友人たちと語らい、明日の名古屋(起業家むけワークショップの講師)に備えて前日入りしようと思い東京駅から乗車していました。
23日 17:00
順調に走行していたのぞみ241号。しかし例の台風の影響で掛川駅で突然様子見の停車をします。
車内アナウンスは「新大阪名古屋間で強い雨が降っているとの報告があり運転見合わせ中です」
とのこと。結構よくあることだなと思い、そのときは気にもとめず資料を作っていました。
23日 19:00
「名古屋仕事の前日行われる懇親会に参加したくて早めに向かってるのに、足止めのせいでパァになりそうだな〜、あぁ、、名古屋名物味噌カツ、食べたかったなあぁ、」などとのんきに考えていたのがこの頃。周りの席でも徐々にため息をつくのが聞こえ始めます。
このとき、のどが渇いたので緑茶を一本買いました。(今思えばナイス判断 1回目)
時間を有効活用しようと溜まっていた仕事に手を付けます。
23日 21:00
完全に懇親会は参加不可能に。車内アナウンスはこのとき「安全を確認中です。目処は立っておりません」を何回も連呼していたのを思い出します。
水がないことが一番恐ろしい
23日 22:00
「どうなっちゃうんだろう…」
徐々に車内に不安が広がり、お子様たちが泣き始めたのがこの頃。外は今まで聞いたこともないような轟音とともに雨が降り、窓や車体をバシバシと打ち付けます。一分に一回くらいの割合で雷鳴と稲光が。さながらこの世の終わりのような光景が繰り広げられます。
「機内販売の飲み物食べ物売り切れました」と落ち着いたアナウンスが入り、乗客たちを動揺させます。
「するってえと何かい? アタシらは水も食料もなしでここに閉じ込められ続けるのかい?」
ことの深刻さを理解しはじめる乗客たち。
掛川駅の追い越し車線(ホームに隣接してない車線)に停車ののぞみ241号。外に出ることはできず、唯一の水は手洗い用のこれだけ。でも、しっかり表記されてますね。。
そしてふと豪雨の中外を見ると自販機が、、、苛立ちがメンタルを破壊します。笑
水がないということは本当に恐ろしいもので、生存の危機がちらつき始めると、こころなしか車内に殺伐とした空気が立ち込め始めました。
この頃になると車中泊も決定してきたので、前向きにVlogでも撮影しようとカメラを回し始めます。
ないものに注目すると人はパニックになるもの。幸い、電源とWifiはあるぞ!と気持ちを持ち直しました。
豪雨と雷の中、寝ることを強いられる乗客たち
24日 0:00
全く止む気配のない雨と雷。そればかりか勢いが増してる気もする。
雨のせいで窓が割れちゃうんじゃない?っていうほど。
それでも明日の仕事に備えてオイラは寝ないといけません。
全力で体力を回復させようと可能な限り快適な寝床を作り始めますが、、、、
クレームが来ないように気を利かせて車掌さんが全力作動させてるエアコンが、寒がりな私を直撃。これだけで風邪をひいちゃいそう。また新幹線に消灯の概念があるはずもなく(夜中走らないからね)、真夜中の間ずーーーと煌々とライトが灯っております。これも寝るのを妨げる、、!!
そこでさいとうたかをの名著「サバイバル」を思い出しシェルターを作ることに。幸い指定席は空いてたので三席を使うことができました。快適な寝床は自分で作らなければ生き延びられない。それが新幹線だ!
まず、すべての席の肘掛けを収納してフラットシートを作成。折りたたみ傘を広げて吹き付けるエアコンと車内照明を防ぎつつ、少しでも体温の低下をふせぐためにリュックサックを抱き枕。傘の内径に収まるように身体を折り曲げて小さくします。
背中には席の隙間の段差がゴツゴツあたり痛いし、窓ガラスを叩きつける豪雨と雷鳴の大合唱。それでも全力で精神を集中させて眠ろうとがんばります。
何回か大きな音で目覚めはしたものの、最終的に3時間くらいは眠れました。
このとき、旅慣れていて本当に良かったと思いました。
地獄に仏。救援物資届く
24日 3:00
真夜中の三時くらいだったでしょうか。JRの職員さんと思しきひとたちが避難口から入ってきて、われわれ難民に救援物資を届けてくれました。それがこちら。
たった500mlの水があることで不安がだいぶ和らぎ、ひもじい思いをしていた人たちはカロリーメイトにさぞや救われたことでしょう。見た感じ駅に備わっていた備蓄ではないかと思います。あの雨の中、真夜中に出勤して対応してくれた職員の方々にはただただ頭が下がる思いです。ありがとう。いやマジで。
あと何よりも、Twitterで励ましてくれた友達のみんな!マジでありがとうございます。
一人旅だとねえ、皆さんのコメントが唯一の生命線なんですよ。
一瞬だけ外出許可、しかしそれは孔明の罠だった
24日 8:30
夜が明けて外は台風一過。うってかわって快晴なのが腹立ちますよね笑
目を覚ますと車内通路に行列ができてるではありませんか。
「これはなんの列ですか?」眼の前に並んでいた女性に尋ねると、一瞬外出ができるのでみんな並んでいるとのこと。
なるほど、食料の買い出しなどこのタイミングでやるんですな!
みると皆さん手ぶらで外出の様子です。スーツケースなどは座席上の棚においたまま。
しかしワンチャン、カフェやレストラン行けるかもと考えた私はリュックにパソコンを忍ばせて出ることにしました。
今思うとこれ、ナイス判断。(2回目)
職員さんの誘導のもと、臨時でかけられた吊橋を渡ります。
いつ頃動き出すか、紙にしっかり張り出されていました。
「正午ごろ、動き出します。」
「本当かなあ?突然動いたりしない?」
それでも不安なので、職員さんに2時間程度外出して大丈夫か聞きました。
「問題ありません、それまで動きませんので」
後でわかりますがこれは罠でした。笑
デニーズがパラダイス
24日 9:00
Googlemapsでデニーズを発見。朝早くてもやってますね!
普段は24時間営業などに否定的なわたしもこのときばかりは日本のOMOTENASHI精神に心から感謝しました。こんな時間開いてるって最高だよデニーズ!
ドリンクバーとサラダと白米というチョイスに、異常事態で判断力が低下したのが見えますね。笑
文字通りはしごを外され、混乱する現場。急に動き出すこだま
24日 10:00
現場の様子どうなってるか、漁っていたTwitterで気になる一文を発見します。「10時半には新幹線動き出すらしーよ」
やっぱりかお前!!!!!wwww
小走りでJR掛川駅にもどると、恐ろしいことが発覚。
なんと外出する時にこだまとのぞみの間にかけられていた橋がないではありませんか。
駅員さんに事情をきくと、、、、
「はしごは外されました。車内には戻れません」
え!? さっきと言ってることぜんぜん違う!
数日後にスペイン渡航を控えてる私。どうしても持っていきたいアイテムが残っています。
「これどうやって取り戻したらいいです?」
「お忘れ物ですから、お忘れ物センターに聞いてください」
「…え?」
「….え?」
いや、忘れてねーし!!!車内に戻れるって言ってたのYOUたちだよね??笑
とめっちゃ思いましたけど、「そうなんですね!」と事実を受け入れます。
現場は大変なんです!責めちゃいけません。
そればかりか、車内に戻れないので名古屋に行けるかどうかも怪しくなってきましたね。
外出時なぜ、そのことを言ってくれなかったんだあああああああああああああ笑 (心の叫び)
そんな中、改札口はにわかに混乱し始めます。
「上からの命令で、こだまを動かすことになりました」
「は!?そんなことしたらこの現場混乱しちゃうよ、ダメダメ!」
「でも命令なんで、、どうしましょうこれ??」
駅員さん同士の意見が割れるも、「ハハァ…これはこだま………動きますネ!」と確信した市角、
揉め始めた改札口にくるりと背を向けて一目散。のぞみのとなりに停車していた
こだま号に乗り込みます。
幸いにして、こだまの自由席はスッカスカ。きっとみんなコンビニにいったりカフェに行ったりしてますね、、、
数少ない乗客を乗せて、思ったより早く!走り出します。
このナイス判断(3回目)のおかげで、なんとか名古屋にたどり着き(開始時間遅れちゃいまいたけど!)当日のお仕事を終えることができました。
19時間の閉じ込め生活と、6時間のワークショップをぶっ続けに行い、体力が限界に。
それでも絶対食べたかった味噌カツ!夜は矢場とんキメましたーーーーー美味しかった!!!!
15時間閉じ込められて分かった大切なこと
さて、新幹線に15時間閉じ込められてわかったことを書いときますね。
・なによりも人間は水のあるなしでメンタルが左右される。
水、予備で持っときましょう!乗り物に乗るときにはかばんに忍ばせておくだけでめっちゃ安心できます。
1本しか飲まないペットボトル、余分にもう一本!です。
市角は今回友達に、浄水ストローの持参を勧められました。
そういえば高城剛師匠も持ってましたねこれ! そういうことだったのか。
・公式情報はアテにならない。緊急時には、カンを頼りに
公式では正午に復旧するって言ってたし、のぞみ車内には戻れるって言ってましたが….
…..全部デマでした笑
こういうときは、「なんか嫌な予感する」「職員さん自信なさそうな気がする」
という直感がモノをいいます! 公式情報は程々に信じましょう。
緊急時、約束は守られないこともあります!笑
この辺は海外旅で自然と身についた習慣ですネ。日本は結構公式が信用できるからこそ、緊急時に盲信してしまいがち。でも人間だから間違いますよ!普通に。
・現場の人は常に一生懸命
一言言っておきたいのは、現場の人に責任は一切ありませんし、むしろ全力で乗客のために食料と水を運んでくれたり、混乱収めようとしてくれたり。心からの感謝と敬意をここに示します。I LOVE掛川駅!!! 今度お礼言いに行きたいわマジで。
静岡の災害は今も続く
そんな感じで長かった新幹線閉じ込められ生活も幕を閉じましたが、静岡の台風の被害は私が体験したより根深く。床上浸水や断水で苦しんでいる地域があるとのこと。この記事で言いたいのは何よりも静岡の皆さん、がんばって!です。
どうかみなさんが再び美味しいお茶を飲んで、さわやかのハンバーグを笑顔で食べれますように!!
今回は番外編でしたが毎週木曜日は、#デザイナーの頭の中 シリーズ書いてます!
デザインについてのお話書いてますので、興味があったら。