第54話 夢で休息
夢の世界で休憩
ハジメたち三人は初めての睡眠をとる。
チビ:地べたで寝るわけにはいかんのじゃ!
チビ:このベッドを使わせてもらうぞ!キラー
キラー:は!許可はとってあります!
キラー:こちらの部屋はご自由に使っていただいて構いません
キラー:お時間までごゆっくりお過ごしください
エリ:ありがとう!キラーさん!
チビ:うむ!世話になるな!キラー
チビ:ハジメ!エリ!こっちのベッドで横になっておれ!
ハジメ:す…すまない…チビ
エリ:ありがとう!チビさん!
ハジメとエリは夢の世界に来てから初めて横になった。
睡魔が刻々と迫ってくる。
ハジメ:なぁ…チビ、聞きたいことがあるんだ
チビ:なんじゃ?ハジメ
ハジメ:さっき言ってたイレギュラーってどういうことなんだ?
チビ:ああ、なるほど
チビ:お前たちは今、現実世界から生身の姿のまま、ここにおるじゃろ?
ハジメ:ああ、そうだ
チビ:この夢の世界は本来、意識の集合体で動いておるもんなんじゃ
チビ:夢と現実世界では意識にかかる負担が異なる
チビ:夢の世界では負担が軽くなり…
チビ:現実世界では負担が重くなる
チビ:身体影響はその逆なんじゃ!
ハジメ:なるほど…この夢の世界だと…
ハジメ:身体への負担が大きくなるということだな
チビ:そうじゃ、お前たちは本来、現実世界で夢を見て意識として…
チビ:この夢の世界に来るべきじゃった
チビ:それがレギュラー、普通なんじゃ
チビ:ただ、お主は勇者、次元の超越者だ
チビ:次元の扉を使って好きな世界へと行ける存在じゃ
チビ:それが既に常人にとってのイレギュラーなんじゃ!
ハジメ:なるほどな…なんとなくは理解できた
ハジメ:ありがとう…チビ
夢の強制連行
疲れ切ったエリは既に眠ってしまった。
エリ:スースーzzz…
ハジメ:なぁ…チビ…
ハジメ:もうひとつ聞いていいか?
チビ:なんじゃ?寝れんのか?
ハジメ:いや…さっき聞いた話で、疑問があってな
ハジメ:生身で夢の世界へ行くと身体への負担が…
ハジメ:大きくなることはわかったんだ
ハジメ:じゃ、この夢の世界に強制的に連れてこられた人々は…
ハジメ:リアルなのか?それとも夢の意識なのか?
ハジメ:リアルならこの世界にいるだけでも苦痛だろう…
チビ:そうなるな、ハジメ
チビ:生身のまま、この世界に連れてこられた人間にとっては…
チビ:この夢の世界は地獄となるじゃろうて
ハジメ:やはり…そうか…
チビ:わたちは政府の人間ではないので何とも言えんが
チビ:労働者たちの声は聞こえる
チビ:日記という記録もあるしな
チビ:労働者のほとんどはこの夢の世界へ
チビ:現実の世界から…生身のまま…
チビ:強制的に連れてこられた者たちだ…
ハジメ:タマの記憶通りか…
チビ:この夢の世界では…
チビ:時の放浪者と呼ばれておる
ハジメ:時の放浪者?どこかで聞いたな
ハジメ:それはどういうことだ?
ハジメ:ドクン…
チビ:ハジメ、お前と違って自らの意思でここに来たわけじゃない者たちだ
チビ:分かりやすく言うと、流れ着いた場所がここだったわけだ
チビ:この夢の世界に辿り着いたことが…
チビ:運が良いのか…悪いのか…
ハジメ:自分の意思でここに来たわけじゃないんだな
ハジメ:その原因はなんだ?
チビ:次元の歪みと天球の能力じゃ
チビ:次元の歪みはお主の次元の扉みたいなもんじゃ
ハジメ:次元の歪み?
チビ:理由はわからぬが…
チビ:突発的に生まれる次元の渦じゃ!
チビ:小さなものから大きなものであるんじゃ!
ハジメ:大きなものはどんな大きさなんだ?
チビ:さぁな…わたちは見たことないのでなんとも言えんが
チビ:日記には小さな星まで吸い込んだとあるのう…
ハジメ:…次元の歪みか…
チビ:あとは作為的なもの…能力じゃな
ハジメ:天球のチカラか…
チビ:そうじゃの…
チビ:天球を使った能力で強制的にこの世界へと連行する
チビ:収容所にいる、ほとんどの時の放浪者がこのケースじゃの…
ハジメ:なるほど…そういうことか…
ハジメ:これでタマの考察とも一致する…
ハジメ:…やっぱ凄い奴だよ…タマは
チビ:本来、この夢の世界は…
チビ:働かなくても生きていける世界…
チビ:だったんじゃがな…
チビ:それを政府が…変えてしまったのじゃ…
ハジメ:なるほど…政府か…
ハジメ:タマの考えは正しかったのか…
ハジメ:お前が必死に探していた…
ハジメ:次元の扉と転移の天球か…タマ
夢の世界の睡眠
ハジメ:話をしてくれて、ありがとう…チビ
ハジメ:おかげでぐっすりと眠れそうだ…
チビ:それは良かったの!
チビ:ぐっすりと眠れ、ハジメよ!
ハジメ:そういや…ここで寝ると夢はどうなるんだ?
ハジメ:夢を見るのか?
チビ:現実と同じじゃよ、ハジメ…
チビ:ただし見る夢の種類は2種類だけとなる
チビ:個人の夢か特殊な夢の二択だ
チビ:夢の世界へ行くという選択肢はなくなる
チビ:まぁ当然じゃの
チビ:夢の世界で寝て、夢の世界を散策するという矛盾はおきない
チビ:ただし…能力を使えば別じゃ…
チビ:夢を見れば、2つの夢のどち…
ハジメ:グーグーzzz…
チビ:やっと寝たか…
チビ:ぐっすりと眠れ…勇者よ
チビ:お前たちには…未来がある…
ハジメの夢
夢の世界で眠るハジメ。彼の異変は一体…何なのか?
ハジメ:ここは…どこだ?
ハジメ:声が出るということは…
ハジメ:他人の夢ではないな
ハジメ:ドクン…
ハジメ:またこれか…なんでだ?
ハジメ:ここは夢の中じゃないのか?
ハジメ:ドクン…ドクン…
ハジメ:どうなってやがる…
ハジメ:俺の身体がおかしいのか?
ハジメ:俺の意識がおかしいのか?
ハジメ:ここで予知は…できない…
ハジメ:てことは…ここは個人の夢
ハジメ:これは…俺の脳が見せる幻覚か?それとも…
ハジメ:俺の無意識の中の記憶か…
ハジメ:ドクン…ドクン…
ハジメ:ハァ…なんだ!?…ハァハァ
ハジメ:急に…息が…ハァハァ
ハジメ:ハァ…ハァ…早くタマたちを助けに行かないといけないのに…
ハジメ:ハァハァ…しっかりしてくれ…俺…ハァハァ
ハジメ:ドクン…ドクン…ドクン…
ハジメ:…くっ…くそっ…
ハジメ:い…意識が…
ハジメ:誰か…助けてくれ…
ハジメ:…タ…マ…
つづく。