第52話 チビの決意
無色の天球
タマから受け継いだ天球の謎が解き明かされる。
エリ:えっ…結界って…
エリ:私とハジメさんはすんなりと入れたんだけど…
エリ:結界なんてあったの?
ハジメ:その答えがこれだ…エリ…
エリ:えっ…天球!?
エリ:でもタマさんはこのことを知らないんじゃ…?
チビ:無色の天球じゃ…
チビ:この天球は特殊でな…念力や能力といったありとあらゆるエネルギーを吸い込むチカラがあるんじゃ…
チビ:ただのガラス玉に見えるこの無色の天球は、とても貴重な天球なんじゃ!
チビ:この天球の持ち主はそれを考慮してハジメに託したのだろう
エリ:そんな貴重な天球をなんでタマさんは…
ハジメ:この記憶はあまり話したくはないが…
ハジメ:独房で見つけたんだタマは…
タマの記憶
ハジメ:身体の不自由な労働者たちを庇い…
ハジメ:悪い連中にはめられたタマは…
ハジメ:一週間以上にも及ぶ…監視員たちの拷問と暴行で…
タマ:にゃああやめるにゃああ…
タマ:オラはわるぐないにゃあああ…
ハジメ:骨折で動かない体と…まぶたの腫れた見えない目で…
タマ:…ハァハァ…ハァ…
タマ:生ぎでる?にゃ…?
ハジメ:傷だらけの身体で半年以上の独房生活を過ごした
タマ:…にゃぁぁ…
タマ:がらだが痛い…に…ゃ
ハジメ:タマは独房から逃げ出そうとして…
タマ:…ばやぐ…ごごがら…
タマ:…でだい…にゃよ…
ハジメ:独房で壁と地面の隙間を掘っていたら…
タマ:…ざびじい…にゃ…
タマ:ドモダヂ…ぼじいにゃ…
タマ:…にゃんだ…あれば…
タマ:光っでるにゃ…
ハジメ:月明りに照らされたこの天球を…
ハジメ:壁と地面の隙間で偶然見つけたんだ
タマ:ぎ…ぎれいな…球だにゃ…
タマ:ぎみはだれにゃ…
タマ:オラはタマ…君はだれみゃ?
タマ:オラの…トモダチが…でぎだにゃ…
ハジメ:タマの願いを月は叶えてくれたんだろう…
タマ:う…うれじいにゃぁ…
タマ:君はボロボロみゃ…
タマ:オラにまかせるみゃ!
タマ:オラの…願いが…通じだにゃ…
タマの分身が生まれた理由も、ただトモダチが欲しかっただけ。
その想いが無色の天球によって具現化され自分の分身が生まれた。
ハジメ:クッ…許せねえ…
ハジメ:思い出すだけで反吐が出る!
チビ:…うぅぅ…
チビ:なんてことじゃ…
チビ:酷い話じゃああ…
ハジメの話を聞いて号泣するチビ。
何かを想うエリは重い口を開いた。
エリ:…ごめんなさい
エリ:辛い記憶を思い出させてしまって…
エリ:この話は皆を助けてから…
エリ:…改めて聞くわ
エリの怒りが沸点を超える。
エリの身体中から激しいオーラが放出され、怒りに目覚めた姿となった。
エリの怒り
エリ:絶対にいい許せない!!
エリ:タマさんにそんなことした連中を
エリ:今から、わたしがぶっ飛ばす!!
エリ:再起不能にしてやる!!
チビ:この者、なんちゅうオーラじゃ…
チビ:このオーラは…
チビ:フリーマンか?…
ハジメ:落ち着け…エリ…
ハジメ:今は捕まった者たちを解放することを考えているんだ…
エリ:でも、こんなこと許せるわけないでしょ!!
ハジメ:冷静になれ、エリ!
ハジメ:敵は俺たちよりも残忍で冷酷だぞ!
エリ:ハジメさんはこんなこと許せるの!?
ハジメ:今もタマと同じような目にあっている者が…
ハジメ:いるかもしれない…
ハジメ:俺は今すぐそいつらを助けたいんだ
ハジメ:わかってくれるな…エリ…
チビ:こっちはウォーカーの血か…
チビ:相反する血縁…
エリ:…ごめんなさい
ハジメ:いやいいんだ…俺も同じことを思っていたからな
ハジメ:ふたりでタマの仕返しだ!
ハジメ:みつけたら、ふたりでぶっ飛ばそう!
エリ:ありがとう…ハジメさん…
チビ:巡り廻って…皮肉なもんじゃ…
チビ:でも…このふたりなら…
チビの推理
チビの推理が確信へと変わる。
チビ:ハジメ…お主…
チビ:だいぶ、ウォーカーの気質がでてきてるようじゃが…
チビ:彼に会ったことはあるのか?
ハジメ:ウォーカー…?
ハジメ:ああ…あのすました顔のむかつく野郎か!
チビ:なっ…なんじゃと!?
チビ:冗談で言ったつもりだが…
チビ:まさか…本当に彼に会ったことがあるのか??
ハジメ:だから、あのくそ生意気なキザ野郎だろ?
ハジメ:俺はあいつのこと嫌いだ
チビ:どこで会った?ハジメ
チビ:詳しく教えてくれ!
ハジメ:俺は自分の夢、特殊な夢の中で…
ハジメ:気を失ったんだ…そしたらあいつがいて
チビ:夢の中の夢…いや…
チビ:特殊な夢の先は無い…
チビ:夢の世界で見る夢はあるがな…
チビ:ということは…まさか…
ハジメ:そういえば…お前は誰?フーアユーとか…
ハジメ:訳の分からん事ほざいてたな…
チビ:フーアーユー…
チビ:それは異次元の言葉じゃな…
チビ:ハジメ…お主は勇者なのか?
チビ:その記憶を読み取らせてくれ!!
ハジメ:いいけど…俺がぼろ負けしただけだ
ハジメ:人に見せられるような…
ハジメ:たいした記憶じゃないぞ
チビはハジメの記憶を読み取った。
彼女は興奮のあまり、またもや号泣した。
チビの決意
ハジメの記憶から何かに気づき、チビは決意する。
チビ:今日という日は…
チビ:なんて日だ!!
チビ:ハジメ、お主は間違いなく選ばれし者じゃ!
チビ:お主は次元の超越者なんじゃ!!
ハジメ:次元の超越者…
エリ:勇者ってこと?
チビ:彼と会った空間は夢の中の夢ではない!
チビ:おそらく彼が呼んだのだろう、お主のことを
ハジメ:夢じゃない?
ハジメ:あいつが…俺のことを?
チビ:彼は生きていたのか…
ハジメ:生きていた?
ハジメ:あいつは、もうひとりの自分じゃないのか?
チビ:この夢の世界にはいないはずだ…
チビ:だとすると…あの噂に聞く…異次元
チビ:異世界は存在するのか!?
ハジメ:異世界…
エリ:異世界…
エリ:ここも十分、異世界だけど…
チビ:なんじゃ!反応が薄いな!
チビ:異世界!異次元じゃぞ!あの異世界じゃ!
チビ:未知の知識と冒険が待っておる!
チビ:知識は永遠じゃ!知識の探求に終わりはない!
チビ:こうしちゃおれん!時間が惜しい!
チビ:ハジメ!予定変更じゃ!
チビ:わたちを賢者の元に連れていけ!
ハジメ:えっ…でも交渉の鍵が…
エリ:そうですよ!チビさん!
チビ:わたちに良い考えがある!
チビ:皆を解放して、異世界を探すのじゃああ!!
ハジメ・ウォーカーと名乗った青年の生存を知った霊能者のチビは豹変する。
彼女の言う異世界とは何なのか?
現世と夢の世界、他にも存在する世界があるのか?
タマたちを救う任務は成功するのか?
つづく。