レビュー 『すべての教育は「洗脳」である』
ぼくが会社を退めることを考えているときに、「退社して本当に大丈夫か?」と悩むぼくを、精神的にも論理的にも支えてくれた本が『すべての教育は「洗脳」である』。
退職を前向きに考えてはいるが、一歩踏み出せない人や、やりたいことがわからない、またはやりたいことをする勇気がない人にも本書はおすすめです。
やりたいことができない理由
やりたいことがある人が、自分にブレーキをかけてしまう理由は「学校」であると著者は断言しています。
「学校」という仕組みができたのはイギリスで、その目的は①子供を過酷労働から保護するためと、②従順な労働者を育てるため。
いまの日本の学校でも、②を主な目的として教育がおこわれており、「従順」とは、ルールで子供たちを縛りつけ、子供たちの欲望を抑えてしまうこと。
学校だけでなく、親や他の大人、会社もルールを強制してくるので、会社員はますます自分のやりたいことにブレーキをかけてしまっています。
このことが、多くの人にとって、やりたいことに一歩生み出せない理由です。
没頭力の解放が、新しい仕事を生み出す
本当の学びには「没頭」が必要で、試行錯誤をいとわないこの没頭こそが、イノベーションを引き起こします。
これは「必要だと思われる」資格の取得などの「お勉強」とは全く質の異なる学び。
やりたいことをやって、本当に仕事になるのかと二の足を踏んでしまう人がいますが、現実に、仕事につながりそうにないことに没頭し、仕事にしてしまった人はたくさんいるのも事実。
そして、バカになって何かを夢中にやれば、後から教養もついてきます。
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちに65%は、大学卒業時に今存在していない職業につくだろう」と言ったニューヨーク市立大学大学院センター教授のキャシー・デビットソンの言葉も取り上げあれ、ますます何かに没頭し、「新しい仕事を自ら作り出していく人」の時代がきていることを教えてくれます。
「会社なんて気軽にやめればいい」という著者の言葉が、現実味を帯びています。
3つのタグで自分の希少性をあげる
希少性をあげるとは、「多少のお金を積んでも、この人でなければ困る」と言われる人材になるということ。
そしてその方法論が「3つのタグ」を作ることです。
3つのタグを使ったレア人材の例が以下。
・「ムエタイの達人」、「歌手活動」、「女子高生」
・「在日外国人」、「IT企業役員」、「お笑いタレント」の厚切りジェイソン氏
・「起業」、「女子高生」、「社長二世」の椎木里佳氏
ここで重要なのは、手持ちのコマを使って何ができるかを考えるよりも、こんなことをしたい!という「ビジョン」のほうが大切だということ。
過去は過ぎてしまった時間にすぎないので、自分の「やりたいこと」に集中するべきです。
おわりに
人間は「環境に慣れる」いきものだから、変化を好まない。
とはいえ、一度しかない人生、組織や他の誰の意見も気にせず、退職することが「不安」に思えても、自分のやりたいことに忠実にやってみるほうが面白そうではないでしょうか。
その「不安」が幻想だということや、「やってみたい」ことをやったほう絶対に正しいことを本書が教えてくれ、一歩踏み出す勇気をあたえてくれます。